秋冬は新鮮でおいしい根菜類が安く手に入る季節。そこで今回は、お財布にも健康にもうれしい、さつまいもを使った中華風のお菓子をご紹介したいと思います。
さつまいもといえば、まず「食物繊維→便秘解消」を連想される方も多いはず。しかし、魅力はそれだけではありません。妊婦さん視点で見ると、
1. 便秘解消に役立つ
2. 身体を温め、血行をよくする
3. 旺盛な食欲を健康的に満たす
4. お財布にやさしい
と、頼れる要素が満載。その理由は、こういうことなんです。
まず、妊娠中は便秘になりやすいため、食物繊維を意識的に摂取することが肝心。とはいえ妊娠中は薬の使用を控えた方がいいので、適度な運動+食べものから便秘を防ぐことが理想的です。その点、さつまいもなら、食物繊維に加えて他のいも類よりカルシウムが豊富に含まれているので、妊娠期に適した食材といえます。
次に、さつまいもをはじめとした根菜類は身体を温め、血行をよくしてくれる働きがあります。御存知の通り、女性にとって冷えは大敵。特に妊娠中は骨盤に負担がかかり、骨盤周辺の筋肉が緊張して硬くなるため、血行が悪くなり、より冷えやすくなるのが困りもの。血行が悪いとお腹が張りやすくなってしまうだけでなく、筋肉の硬直によって難産にもつながる可能性も…。その点、身体を温め、ほんのり甘いさつまいもは、おやつにぴったりなのです。
さらに、妊娠生活はとにかく食欲と戦うことが大変! 特に妊娠後期は体重管理に悩む方も多いでしょう。私自身も、妊娠初期のように「酸っぱいものばかり食べたい」とか、「油っぽいものばかり食べたい」といった偏食性を感じることは少なくなる代わりに、全体的な食欲が確実にアップしたことを覚えています。赤ちゃんのためには、あまり太らない方がよいとわかっていても、食べたい気持ちを抑えるのはつらいもの。なんとか少しでも身体にいいおやつはないか、あれこれ調べたものです。
そしてとうとう救世主となったのがさつまいも。すぐ調理できなくても、よほどのことがない限り日持ちするので、買い置きできるのもいいところですし、これはもう、食べない手はありませんよね。
松子番薯煎餅(さつまいもと松の実のおやき)
(松子 [sōngzǐ]=松の実 番薯 [fānshǔ]=さつまいも 煎餅 [jiānbǐng]=おやき)
このお菓子は、ほとんど油を使わないで作れるのでヘルシーな上、サツマイモ本来のやさしい甘さを味わえるのが魅力。さらに材料の一部を離乳食としても使うことができるため、産後は赤ちゃんと一緒に、同じ食材を楽しむことができるのもママにとって嬉しいポイントです。松の実は身体を温める性質があり、香ばしさもプラスしてくれる、さつまいもと相性のよい食材ですので、常備しておくとよいでしょう。
【時期】妊娠初~中~後期、産後授乳期 【季節】秋冬がおすすめ 【注目栄養素】食物繊維、カルシウム |
レシピ(7~8個分)
さつまいも | … | 100g(小さめ1個分くらい) |
中力粉(うどん粉) | … | 100g |
黒ごま | … | 小さじ1程度 |
松の実 | … | 30g(フライパンで軽くローストしておく) |
砂糖 | … | 大さじ2 |
水 | … | 約50cc ※粉のまとまり具合で調節してください。 |
■作り方
(1)さつまいもを洗い、皮をむいて蒸しやすい大きさにカットします。
(2)1を蒸し器に入れ、火が通るまで蒸します。電子レンジで加熱してもいいでしょう。
(3)2をボールに移し、ゴムベラでつぶしてペーストにします。
(4)3に砂糖を加えて混ぜ合わせた後…
松の実を加えて…
混ぜ合わせます。
(5)お焼きの皮を作ります。中力粉に少しずつ水を加え、耳たぶよりやや固めくらいになるよう、様子を見ながら生地をこねます。
(6)生地を7~8等分に分け、分けた生地を丸めて、綿棒などで手のひらくらいの大きさに伸ばします。
(7)皮にさつまいもペーストを乗せて…
(8)さつまいもペーストを包み、形を整えます。→包むコツはこちら
(9)ごく少量の水を8の表面に塗り、ごまをまぶします。
(10)フライパンに9を並べ、弱火で煎り焼きします。フッ素樹脂加工されていないフライパンでない場合は少量の油をひいてから焼いてください。全体的に焼き色がついたらできあがりです。
調理ワンポイント
※中力粉は、強力粉と薄力粉を半量ずつ合わせたものです。
※使用するサツマイモの種類によって風味が変わるので、色々と食べ比べてみるのも楽しいもの。今回のレシピは紅あずまで作っていますが、サツマイモが甘い時は砂糖の量を加減してください。
参考文献
『懷孕養身特効食譜』林禹宏・康鑑文化編輯部 著 人類智庫數位科技股份有限公司
『最新版 妊娠大百科』 2012年 ベネッセコーポレーション
参考資料
国立病院機構・西埼玉中央病院 骨粗鬆症予防のための食品栄養成分ノート
Text / Recipe / Photo 山田早苗