暑さや湿気が日に日に増してくるこの季節は、ちょっと動いただけでバテやすく、食欲がなくなることもあるもの。誰しもそう感じることがあるでしょうが、妊娠中はなおさらそう感じるのではないでしょうか。

特に私が接した妊婦さんの声で多く耳にするのは「食欲がなくて、2ヶ月くらい固形のものが食べられなくなった」という話。私も最近、第二子を授かったのですが、季節的なこともあり、第一子の時には全くなかったつわりのつらさを実感しています。

そこで、体調を崩しやすいこの時期を乗り切るためにご紹介したいのが、代表的な夏野菜であるトマト・とうもろこしを使った中華スープ。同じような悩みを持つ妊婦さんのためにも、ぜひおすすめしたい一品です。

 

番茄玉米羹(トマトとトウモロコシのとろみスープ)

(番茄[fān qié]=トマト 玉米[yù mǐ]=トウモロコシ 羹[gēng]=とろみのついた汁物)

【時期】妊娠初期および後期
【季節】夏
【注目栄養素】カロテン、ビタミンB1、B6、カリウム

この料理の主食材はトマト&とうもろこし。『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』によると、大きなトマトを1個食べると「緑黄色野菜の推奨量=一日120gをクリアできる。カロテンは体内でビタミンAに変わり、目や皮膚や消化器官などの粘膜の働きを活発にして免疫機能を高め、体を外敵から守る働き」が期待できるそう。

ビタミンAは妊娠後期にも特に多く摂取することが推奨されている成分の一つですし、外の暑さと冷房の効いた部屋との温度差や、湿気などでも体調を崩しやすくなる時期には頼れる食材となりそうです。

トマト

一方、トウモロコシに多く含まれるのはビタミンB1。ビタミンB1は糖類をエネルギーに変え、ストレスを緩和する働きがあるため、ホルモンバランスの変化によってイライラしがちな妊婦さんにはおすすめの成分。その上、つわりの食欲不振や吐き気を抑えるビタミンB6も含まれているのも嬉しいポイント。薬膳の観点から見ると、むくみを解消する食材として有用…と、まさにこの季節にぴったりの食材です。

トウモロコシ

レシピ(作りやすい分量 ※約5~6名分)

クリームコーン  1缶(約400g)
ホールコーン  約90g(フレッシュコーンでも可)
トマト  2個
マッシュルーム  1パック(約100g)
グリンピース  60g
[調味料]
 3カップ
中華スープ  3カップ
 大さじ1
 大さじ1/2
 小さじ1/2
水溶き片栗粉  大さじ4(水と片栗粉を1対1の割合で作ります)
卵白  1個分

 

■作り方

(1)トマトを小さめに切り、マッシュルームは薄くスライスします。

トマト マッシュルーム

(2)鍋に油を入れて熱し、酒を加え香りが立ったら、水と中華スープを入れ、さらにクリームコーンとホールコーンを加えます。油に酒を加えるとき、油がはねる場合があるので注意してください。

(3)(2)を沸騰させます。

(4)トマト、マッシュルーム、グリンピースを加えて再び煮ます。

(5)煮立ったら弱火にして…

(6)スープを混ぜながら、水溶き片栗粉を適度な濃度になるまで数回に分けて入れます。

(7)器に卵白を入れてコシを切るように混ぜ、少し高い位置から(6)に流し入れます。

(8)卵白が白く固まり、材料が混ぜ合わさったらできあがりです。

 

離乳食アレンジ

今回ご紹介したスープは、使用している食材に対するアレルギーがなければ離乳食として利用できます。
スープから具を除いたものなら8か月くらいの赤ちゃんに、粒状のトウモロコシとグリーンピースを取り除き、マッシュルームを刻めば1歳くらいまでの赤ちゃんにお召し上がりいただけますよ。
ポイントは、皮のあるトウモロコシやグリーンピースを除くこと。皮がかたいので、赤ちゃんが食べてもあまり消化できないのがその理由です。大人と同じ風味の料理で、ぜひ一緒に食事をお楽しみください。

 


参考文献
『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社編 2013年 講談社
『培梅食譜第二冊』傅培梅 2009年 旗林文化出版社
『最新版 妊娠大百科』2012年 ベネッセコーポレーション

Text / Recipe / Photo(料理・調理プロセス・子供) 山田早苗