一日三度の食事の中でも、圧倒的に外食率が高まるランチ。その一食に中華料理への愛を託し、お昼に食べた中華を語るという、80C(ハオチー)のFacebookランチレポートが「ひる中華」です。
6月からは「よる中華」も始まり、「ひる中華」の回数が減っているため、今回のランキング2014年6月17日~11月14日の約半年分の集計です。いつも応援してくださっている中華のプロや食いしん坊の皆様から、たくさんの「いいね!」を集めたランチメニューとは…?
銀座「銀座涵梅舫(かんめいほう)」の酸辣湯面+一品焼餅2個1580円 1003リーチ
あの北京宮廷料理の店が銀座で復活!贅沢すぎるスープにびっくり
日本では珍しい北京宮廷料理が食べられると、その昔赤坂で評判を呼んだ「涵梅舫(かんめいほう)」。そんな同店が、なんと今年の9月に銀座ベルビア館で再オープン。8位は北京風の酸辣湯麺と中華風パイがランクインです。
酸辣湯麺というと、日本では辣油たっぷりの赤いスープが主流ですが、こちらは酢と胡椒で辛さを出した山東~北京の味。スッキリとして飲み疲れず、ほのかにマイルドさもあるスープが印象に残り、尋ねてみると「家鴨、鶏、豚スネ、金華ハム、干貝柱でとっています」…とオーナーの張慶余さん。さらにデザートに頼んだ一品焼餅は、噛むと中からフルーティーで香ばしい熱々の蜜汁がとろり。これはたまりません…!
表に出ているランチメニューは定番中華のみですが、グランドメニューからもオーダー可能。料理人は山東省の方だそうで、価格は赤坂時代より抑え目です。ラクダのコブのパイ、山芋のブルーベリーソースがけ、黄燜魚翅(黄金色に仕上げたふかひれの宮廷風煮込み)など、他ではちょっとお目にかかれないメニューもあり、北京の北海公園にある老舗「倣膳飯荘」の料理の再現もしてくれるとか。気になる方はぜひ足を運んでみては。
渋谷区広尾「中華香彩Jasmine」の海鮮冷やし麺(よだれ鶏ソース)1400円 1057リーチ
毎年大人気の冷麺マウンテン。2014年の山は、具もソースもこだわり度アップ!
7位は広尾と恵比寿の間にある人気店、中華香彩jasmineの夏の冷麺がランクイン!
毎年人気の冷麺ですが、2014年は20代の若手料理人が店内コンペで勝ち抜いたという一皿が登場。野菜たっぷりなところはそのままに、削ったとうもろこし、トマト、ゴーヤ、なすの煮びたしなど、具は一層夏らしさをアップ。タレはよだれ鶏の風味ながら、海鮮に合わせて甘味を抑え、引き締まった味わいにしているのも2014年版のポイントで、冷麺マウンテンを切り崩した後、途中から添付のゴマだれを加え、風味を変えて楽しめる工夫もありました。
そして〆のマンゴープリンは瑞々しさに満ちていて、果実以上に果実らしい素晴らしい出来栄え。山口シェフ曰く「実は原価をしっかりかけた自信作」とのこと、夏をまるごと味わえる贅沢な味わいでした。気が早いですが、今年逃した方は来年に期待を!
港区新橋「お粥と点心の店 花茶坊」の叉焼ごはんセット+香港式やきそば1080円 1080リーチ
乗っけごはん&焼きそばで麺飯三昧
6位は新橋でお粥と点心がウリの店より、肉肉しいランチがランクイン。厨房ではお粥を煮込む大鍋と、いつでも点心を蒸せるようスタンバイされた大蒸篭がシュンシュンと湯気を上げ、熱気が伝わってくるよう。
ですが、あえてここでは叉焼ごはんセット+単品で焼きそばというチョイス。広東式の赤い叉焼は、ほの甘い肉を摘まんでいただくもよし、タレが染みこんで甘くなったご飯と一緒にかき込むもよし。身が絞まっているようでいて軟らかく、凝縮された肉の旨味が味わえます。
また、一緒に注文した香港式焼きそばは、極細麺に炒めたモヤシ、黄ニラ、ニンジンを和えた一品。味がしっかりしているので、叉焼ごはんで甘くなった口の中を引き締めてくれる存在。あっさり系の中華粥との相性もよさそうで、お粥単品に追加の場合、50円引きの310円とおトクにいただけます。
新宿区神楽坂「神楽坂 芝蘭」の牛スジと根野菜のピリ辛トウチ煮1030円 1118リーチ
神楽坂を代表する四川料理店で、うま辛四川ランチ
5位は飲食店激戦区・神楽坂で2008年より営業を続けている四川料理店「芝蘭(ちーらん)」のランチがランクイン。真っ赤なスープはいかにも辛そうですが、舌には熱さのほうが勝る印象。牛スジはふかふかと軟らかで、ダイコンやニンジンもすっと歯が通るほどよく煮込まれた一品です。
食べ方は人それぞれですが、初めは具をごはんにバウンドさせて冷ましていただき、具が減ってスープが冷めてきたら、お替りしたごはんをスープに投入してキレイに完食するのがコスギ式。程よい辛さで食べやすいからか、店内は女性客の方が多かったですね。
なお、今年8月には豊洲の複合施設「豊洲フォレシア」に「豊洲 芝蘭」がオープン。お近くの方はぜひこちらにも足をお運びください。
中央区銀座「百菜百味 銀座店」の本場汁なし坦々麺900円
1133リーチ
最初は汁あり、混ぜれば汁なしに変貌するマジカルな一杯
4位は御膳房グループが展開するリーズナブルな新派四川料理店の麺料理がランクイン!
「あれ?注文違いますよ」と言ってしまいそうな、汁ありかと見まごうばかりのビジュアルですが、こちらでちゃんとオーダー通り。麺をかき混ぜると、ラー油の下に潜んでいたクリーミーな芝麻ダレがねっとりと麺と絡みあって、ピリ辛ゴマ風味の汁なしタンタン麺へと変貌するのでありました。
タレは最初の赤々とした見た目を裏切らず結構辛め。汁の飛び跳ねから服を防護する紙エプロンまで付いてくる配慮もうれしい「ひる中華」でした。
大田区大森「くろさわ東京菜」のBランチ1600円
1196リーチ
まるでミニコースのようなランチをゆったりとした空間で…
3位は2014年11月の「アド街ック天国」大森特集にも14位で登場した「くろさわ東京菜」がランクイン!
実は常連客も含め、ここでほとんどのお客さんがオーダーしているのがBランチ。内容はメイン、前菜、副菜、スープ、ごはん、最後にデザートとまるでミニコースのよう。ゆったりできる雰囲気でこの価格とあって、人気なのもうなずけます。
この日のメインは豆腐に紅麹を付け、塩水に漬けて発酵させた南乳(ナンルー)で豚バラ肉を調味した「南乳扣肉(ナンルーコウロウ)」。肉に箸を入れればほろりと崩れ、南乳独特の発酵香が食欲を刺激。肉塊の下をちらりと覗けば、キノコ、もやし、ゴーヤなどの野菜もたっぷり。
前菜は3品で鶏の香り煮、アサリと青海苔と冬瓜のゼリー寄せ、落花生の塩煮。副菜は2品で天然のつぼ鯛の黒酢煮、13種類の香辛料が使われた長芋のスパイシー揚げ。さらにデザートは梨と金木犀のゼリー。どうです、この充実の内容。身体に優しいおいしさを、ゆったりと味わいたい時にぜひ。
港区麻布十番「老四川 飄香 麻布十番本店」の農家楽ランチより回鍋胡夢ト(今が旬の人参と春菊のホイコーロ)1200円 1224リーチ
2人以上で出かければ楽しさ倍増!こだわりの味をランチでリーズナブルに
2位は四川の田舎料理をテーマに、月替わりのランチシリーズ「農家楽(ノンジャーラ)」を提供している「老四川 飄香 麻布十番本店」のランチセットがランクイン。
オーダーしたのは、素材の取り合わせに惹かれた回鍋肉。人参と玉ねぎ、塊でゆでてからカットした豚バラ肉に、細かく切った春菊が炒めだれと絡み合えば、なんとも清涼感のある味わい。ゴロゴロ&厚切りカットの食材を噛むたびに、香ばしさと旨みが口中ににじみ出て、食べる喜びが高まります。
選べるメニューは6種類。旬の食材を現地らしい味付けで提供しており、丁寧につくられた4種類の前菜付き。さらにごはん、泡菜、スープはおかわり無料です。この日はイサキの燻製とモロヘイヤのスープだったのですが、このクオリティでこのサービスとは驚き。前菜も4品つきますし、2人以上で行くと料理のシェアもできるので、かなり満足感の高いランチになりますよ。
中央区銀座「福臨門 家全七福」の点心を中心にアラカルト9000円 1804リーチ
値段に見合ったおいしさと潤いがここにあります!
そしてこの半年の1位は、銀座に昔も今も輝く名店「福臨門 家全七福」の昼から贅沢なランチでした!
福臨門→日本で一番高い中国料理店→無駄に高いとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな方こそ一度は体験してほしいのがこちらの飲茶。実は1個から点心が選べるので、まったく無駄がないんです。蒸し餃子などを頼むと、たいがい蒸篭に3個入って数の調整ができないことが多いですが、これならおひとりさまでも2人でも大丈夫。定番はもちろん、シーズナルメニューもあって、選ぶ楽しさもたっぷり。
また、名物のふかひれとスープを楽しむなら「ふかひれ餃子入りスープ」がおすすめです。ふかひれスープを頼むと2万円台(2~3人前)に跳ね上がりますが、こちらはボリュームもあって1椀1890円。蓋を開けた時に広がる香ばしい香りにノックアウトされましょう。ちなみに今年の秋に香港店にも行ってきましたが、お汁粉は東京店の方が驚くほど香ばしいこともわかりました。〆のデザートにはお忘れなく!
さて、今回のひる中華ランキングはいかがでしたか?
編集部的には「赤い料理は強い」ということと、「いいものはいい」という2点が印象に残った次第。いろんな味のバリエーションがランクインしましたし、それぞれに工夫された、特徴のあるランチだったと思います。気になる店があれば、ぜひ足をお運びくださいね。
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「ひる中華」は、80Cスタッフがランチに食べた中華料理をFacebookでレポートしています。おひる前のお腹が空きそうな時間に更新していますので、中華画像を見ながら、食べたい中華・好みの中華を見つけていただけたら幸いです。気になる中華料理店のランチがあったら、ぜひ編集部までお寄せください。
Photo & Reserch 小杉勉(中華・高橋)、近江文代(古樹軒)、佐藤貴子(ことばデザイン)
Text 佐藤貴子(ことばデザイン)