一日三度の食事の中でも、圧倒的に外食率が高まるランチ。その一食に中華料理への愛を託し、お昼に食べた中華を語るという、80C(ハオチー)のFacebookランチレポートが「ひる中華」です。

今回も半年間の沈黙を破り、2014年11月18日~2015年6月30日に紹介したジャスト100軒の中から、リーチ数でベスト8をご紹介します。果たしてあなたが「いいね!」を押してくれたランチは、今回ランクインしているでしょうか?

 

8位

渋谷区神宮前「シャンウェイ」の蒸し鶏のネギ醤油890円
2298リーチ

骨まで愛して…!『孤独のグルメ』にも登場した話題の料理

シャンウェイ

まず8位は、外苑前駅にほど近い「キラー通り」沿いにある人気店がランクイン。TV版『孤独のグルメ』の舞台になった店といえばピンと来る方もいるのでは?
この日は男1人で訪問したので、気分はさながら井之頭五郎。カウンターに座り、同じ「蒸し鶏のネギ醤油」をオーダーです。

さっそく箸をつけると、揚げネギと水菜に隠れた鶏もも肉が、いとも簡単にほぐれていきます。でもこの程度は想定内。それより、皮が勝手に口の中でとろけたのにはちょっとびっくり。そして何より驚いたのが、骨の食感。骨の歯応えもないくらいに、サクサクと噛み砕けてしまうではありませんか…!
関節の最も太そうなところは、さすがにカリッと折るような感じだろうと思ったのですが、ここもまた歯にあたるとサクッと崩れて、まさに骨の髄まで味わい尽くせる仕上がりに。

後で知ったのですが、なんとこの鶏、10時間も蒸しているのだそう。恐るべし、蒸しの力。予備知識なしで体験した方が感動は大きいかもしれませんが、知っていても知らなくても、口の中で驚きの食感が体験できるはずです。

2015年5月28日掲載:コスギ訪問


 

7位

渋谷区神宮前「ICE MONSTER OMOTESANDO」のマンゴーかき氷1500円+タピオカミルクティーかき氷1000円 2301リーチ

ふわふわなのに溶けにくい!台湾発の名物かき氷 in 表参道

 

続いて7位は「おやつ中華」。オープン前から話題、オープン後は大行列、見るからに大繁盛している台湾発のかき氷がランクインしています。

改めて食べてみると、やはりこの氷、唯一無二の食感ですよ。口に入れた瞬間、濃密な素材の味がワッと溢れて、後味はサッパリ。見た目は細かな霜柱か淡雪か…? なのに、食べて頭にキーンとこない。さらに驚くのは、繊細でふわふわなのに、食べている何十分間、ほとんど溶けない! なるほど、これが同店独自の氷「フレーバーアイスブロック」の成せる技なんですね。

また、メニューの写真を見ると、思わず1人で1山食べたくなってしまいますが、実はこれ、かなり大きな氷山なんです。そのため、食後のデザートとして訪問する際は、1人がかき氷、もう1人がドリンクというオーダーの仕方が賢明かも。季節限定や日本限定のフレーバーもありますので、どんな氷山を、どうおいしく完食するか?というのもこの店の楽しみのひとつ。ともあれ一度は体験してほしいおいしさです!

2015年5月14日掲載:サトタカ訪問


 

6位

千代田区鍛冶町「味坊」の羊湯麺+半チャーハン1000円
2585リーチ

宴会〆の人気メニューがランチに登場!スッキリとした羊スープを召し上がれ

味坊

 

6位は中国東北料理の人気店、「味坊」のランチがランクイン。
「味坊」といえば炭火焼羊串が悶絶のおいしさですが、この頃は宴会限定だった人気メニュー、手把羊肉(ショウバーヤンロウ:手づかみで食べる羊肉の煮込み)もグランドメニューに登場。その肉を煮たスープで作る「羊ラーメン」が評判で、なんとこれがランチにも登場しました!

スープには数種類ものスパイスと香味野菜、そして羊のエキスがたっぷり。動物性の出汁は羊のみで、これが驚くほどにスッキリとした味わい。やや強めに効かせた塩がスープの味を引き締めており、後を引く味に仕上がっています。

トッピングには羊チャーシューと香菜というシンプルさも魅力。羊スープの風味をストレートに味わえる潔い一品、ランチ味坊の楽しみとしてぜひ味わってみては。

2015年3月27日掲載:サトタカ訪問


 

5位

福岡市中央区天神「侑久上海」のスペアリブ定食980円
3232リーチ

ベテラン総料理長と愛弟子が切り盛りする「博多中華」

侑久上海

 

5位は初登場の福岡県福岡市。観光ルートから昼時が天神界隈だったため、その近辺でひる中華スポットを捜索、ネットを中心とした情報で浮上したのが「博多中華」を標榜するこちらの店。

ランチメニューの中で一際光る一品をオーダーしたところ、やってきたのは、熱々に煮え立った土鍋の中央にドーンと鎮座した肉々しいビジュアル。隣の席の人からも「あれ美味しそう」の声が聞こえ、こちらの気持ちも沸き立ちます。

箸で容易にほぐせるまでに軟らかく煮込まれたスペアリブの下には、同じくこっくりと煮込まれた地元産の糸島大根。煮汁にはトウチを使用しており、奥行のある風味にごはんが止まらず…。同店HPにある「ご当地博多の新鮮な食材を歴史ある上海料理にふんだんに取り入れた、九州と上海の融合」という文言に納得の一品でした。

2015年4月27日掲載:コスギ訪問


 

4位

渋谷区神宮前「龍の子」の棒々鶏冷麺1200円
3326リーチ

老舗中華の象徴?通年提供の「棒々鶏冷麺」に萌え

龍の子

 

4位には、きっとお弟子さんも多いであろう、安川シェフ率いる「龍の子」が登場。同店の麻婆豆腐はあまりにも有名かつ人気ですが、今回オーダーしたのは「棒々鶏冷麺」です。

というのも、棒々鶏冷麺が通年メニュ―になっている店って「赤坂四川飯店」然り、浅草の「味の一番」然り、老舗が多いんですよね。そして、それぞれに違ったアプローチなのが面白い。こちらは鮮烈な辣油色のタレが目に鮮やか。ですが、その下には芝麻醤風味のタレが潜むという二層タイプが特徴です。

まずはこれをしっかり混ぜ、麺にかけ、和えてすすれば、唐辛子の“辣”が口中にワッと広がり、後からゴマのうまみがじわり。麺は白く、縮れのない柔らかめ。担々麺や棒々鶏冷麺など、四川系の麺にこのタイプが出てくると、嬉しい気持ちになるのは私だけではないでしょう。

切り揃えられた鶏肉はしっとりとして、キュウリ瑞々しく、これにはタレをかけずにそのままの味を楽しみつつ、辛く濃厚なタレを素直に受け止めるシンプルな麺を満喫しました。

2015年5月25日掲載:サトタカ訪問


3位

福岡市博多区東月隈「巴蜀」の80年前の麻婆豆腐1000円
3340リーチ

牛肉使用、豆板醤不使用!80年前の麻婆豆腐とは?

巴蜀

 

3位は福岡で、中華をはじめ日本全国の料理人の注目を集める「巴蜀」のランチがランクイン。荻野シェフの四川の歴史と食文化から料理を再現する姿勢は、言うなれば“一人湯島聖堂四川版”。この麻婆豆腐も、そんな姿勢から生まれたメニューと言えましょう。

何が80年前かというと、塩分は味噌(豆板醤)ではなく塩と豆豉で決め、辛味は炒った辣粉(唐辛子の粉)、そして当時の肉は役用牛のお役御免として、廉価な牛肉が使われていた…というのが荻野シェフの見解。面白いのが味精(味の素)の扱いで、中国に味精が普及したのは1930年代であり、敢えてこの時代に留めて「中国らしい味を再現した」というこだわりよう。

むせるような“辣”の香りの洗礼を受けつつ口に運んでみると、辛味よりやや遅れて“麻”がパアッと細やかに舌の上に広がり、痺れの中に、粒豆豉と牛肉の塩気×うまみがジワリ。大きめの豆腐は“おぼろ”に近い柔らかさで、最後に甘味をほんのり感じるという複層的な味わいが展開されます。

激辛が本場の味だとか、化学調味料不使用がいいとか、人によってヨシとする観点は異なりますが、食べて中国食文化史を紐解くロマンがこの一皿にはありますね。

2015年4月21日掲載:サトタカ訪問


 

2位

江東区三好「わかば食堂」のBセット(郷村回鍋肉:切り干し大根入りホイコーロー)1000円 3408リーチ

来たれ未来の巨匠!わかばマークの人気中華食堂

わかば食堂

 

2位は水曜限定のランチレストラン「わかば食堂」がランクイン。こちらは80C(ハオチー)同様、中華・高橋のプロジェクト。ファクトリー兼キッチンスタジオ「C’s Kitchen」で有名店の“未来の巨匠”が一日料理長として腕を振るう、若手料理人応援企画です。

この日の一日料理長は、料理人歴4年「中國菜 老四川 飄香 銀座三越店」の高橋孝輔シェフ。風味爽やかな前菜は、同店のランチセットより品数多く、5種盛りの提供でお客様の心を掴みます。

続く主菜の回鍋肉は、高橋さんが学生時代、「飄香」オーナーシェフの井桁料理長のそれを食べて感銘を受け、中華料理人を志した一品。記憶に焼き付いた味を再現しようと、この日も特訓を重ねて臨みましたが、「まだまだです」と自己評価。しかしながら「豚肉とキャベツの甘味噌炒め」というホイコーローに慣れ親んだお客様には、印象的な一品となったようです。

さらにお客様から質問攻めになっていたのが、包丁の超絶技巧が冴える「紋絲豆腐湯(極細豆腐のスープ)」。ラストは期間限定の新作デザート「毛豆椰奶西米露(いろいろお豆とタピオカ入りココナッツえだまめ汁粉)」で、後味のよいフィニッシュで、若き料理長の気合いを感じるランチとなりました。

2015年6月18日掲載:コスギ訪問


 

1位

文京区千駄木「天外天」の汁なし担々麺(王風)1300円
4392リーチ

王紹雲老師直伝の燃麺、ここにあり!

天外天

 

栄えある1位は、文京区千駄木で開店27周年を迎える「天外天」の定番メニューより、汁なし担々麺(王風)でした!

実は同店の汁なし担々麺には2種類あることをご存知ですか。ひとつは、中川氏の師匠である、陳建民氏スタイルの“陳風”。そして、もうひとつは、同じく師匠である王紹雲氏の“王風”です。

中川優オーナーシェフ曰く、王氏は陳建民先生と一緒に鍋を振っていた方で、陳先生より少し年上の老師だったそう。そんな王氏直伝の燃麺は、口にすると甜麺醤ベースの甘辛い味付けで、丸のままの花椒、立ち上る辣油の香りが合わさって、コクがあるのに後味はさっぱり。温麺(うーめん)のように切り揃えられた短く白いストレート麺を使っており、和えだれとしっかり絡むのが魅力。

また、粗みじん切りにし、香ばしく炒めた豚肉が存在感を主張。たっぷり入っているので、蒸しパンを追加し、肉を挟んで食べるのもオツ。店の方に尋ねてみると、陳風は黒酢の効いた味付け、王風は甘辛い味付けが特徴とか。ここは2人で行って、食べ比べてみるのも楽しそうです。

2015年5月21日掲載:サトタカ訪問


 

さて、今回のひる中華ランキングはいかがでしたか?半年ぶりに見てみますと、四川料理が4件という結果に。また、渋谷区神宮前が3件、福岡市が2件と、比較的エリアが固まりましたね。
今後続けて発表される、よる中華ランキング「飯店編」&「料理編」にもぜひご注目を!

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「ひる中華」は、80Cスタッフがランチに食べた中華料理を、Facebookでレポートしているものです。おひる前のお腹が空きそうな時間に更新していますので、中華画像を見ながら、食べたい中華・好みの中華を見つけていただけたら幸いです。みなさまも気になる中華料理店のランチを見つけましたら、ぜひ編集部までお知らせください。


Photo & Reserch 小杉勉、佐藤貴子
Text 佐藤貴子

 


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