中秋節を過ぎたら、いよいよ上海蟹の季節が到来!「菊黄蟹肥(菊の花が咲くころ、蟹が太って食べごろになる)」といわれるように、上海蟹は秋冬に外せない味覚ですね。

とはいえ蟹は生きもの。毎年同じ時期に、同じ状態で生育しているわけではありません。では、気になる2015年の蟹市況は…?

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9月末~10月上旬の雌蟹大サイズが高騰

話を聞いたのは、昨年同様、中華・高橋がお取引している輸入業者さん。実は2015年の上海蟹、出足が遅いんです。

その理由は、ずばり天候によるもの。「揚子江流域に寒気が入り、長雨が続いているからですね。その結果、湖の水位が上がり、湖底にいる蟹への日照時間が少なくなるので、蟹の成長に必要な脱皮が遅れてしまうのです」。

特に現在品薄なのが、姿蒸しに人気の雌蟹で150g以上の大きいサイズ。「昨年は豊漁で価格が値下がりしたこともあり、仕入れ状況は良好でしたが、今年は円安も加わって、2015年9月25日の時点で昨年対比1.8倍という高騰ぶり。例年に比べても1.4倍で、ここ10年間で最も高い相場ではないでしょうか」。

また、中国では9月27日の中秋節、10月1日の国慶節に上海蟹を食べる慣わしがあり、この時期は需要が急増。こうした要因が重なり、今年は9月末~10月上旬の大きな雌蟹は希少かつ高価なものとなりそうです。

上海蟹

姿蒸しは雄がねらい目?12月~1月に食すのもアリ

とはいえ、ずっとこの状況が続くわけではありません。国慶節を過ぎれば、例年相場は安定。また、80~100gほどの小ぶりなサイズであれば、そこまで価格が大きく変動することはないと考えられます。

上海蟹

中国には、蟹の食べごろを表すのに『九月圓臍十月尖(9月には腹が丸い雌蟹、10月は腹の尖った雄蟹が美味)』という言葉がありますが、これは今の暦で10~11月のこと(右の写真では上が雄、下が雌)。 日本では“上海蟹のおすすめは10月は雌、11月は雄”と言われることが多いですが、中国ではもともと雄を好まれる方もいて、雄は雌より身体が大きく成長することから、今年は最初から雄狙いもいいかもしれません。

 

また、12月は忘年会シーズンとあって、上海蟹に目を向ける人は少なくなりますが、蟹はその間もしっかり育っています。世間の需要が少なくなる時がねらい目…ということで、秋にこだわらず、12月、または年を越した1月にお召し上がりいただくのもいいでしょう。

なお、都内の中国料理店では、界菜館が9月17日から上海蟹を提供。他店は9月下旬くらいから順次取り扱いを開始しています。蒸し蟹だけでなく、酔蟹(酔っ払い蟹)、スープ、炒めもの、点心など、さまざまな味わい方がある上海蟹。ぜひ今年らしい楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょう。