神田ガード下「味坊」、湯島「味坊鉄鍋荘」、御徒町の「羊香味坊」「老酒舗」とユニークな店舗を続々開業させている味坊集団。

その待望の新店「香辣里(シャンラーリ)」が6月3日(日)、三軒茶屋の茶沢通りにオープンしました。

湖南料理「香辣里」が入るGEMS三軒茶屋。※オープン前の訪店のため、下にブルーシートがしいてあります。

知られざる中国の食文化を日本へ

中国には「四川人不怕辣 湖南人辣不怕 貴州人怕不辣(四川人は辛さを恐れず、湖南人は辛さで脅すことはできず、貴州人は辛くないことを恐れる)」ということわざがありますが、今回の新店は湖南料理。あの毛沢東の故郷の料理です。

しかし、ここでは日本人も辛さを恐れる心配は無用。発酵、燻製、ハーブなどを用い、食材の香りや食感を引き出しており、辣(ラー:唐辛子の辛さ)に偏らない湖南料理をたっぷりと味わえるのです。

そんな湖南料理の特徴とは?「香辣里」で味わえる、代表的な4つの味わいをご紹介します。

フルーティーな辛味が後を引く!酸辣(スゥァンラー)

酸っぱくて辛い酸辣(スゥァンラー)は湖南を代表する味わい。酸辣というと、ラー油×酢の四川風、胡椒×黒酢の中国北方風もありますが、湖南の酸辣は発酵唐辛子が味の決め手

代表的な料理は刴椒魚頭(ドゥォジャオユィトウ:魚の頭の発酵唐辛子蒸し)。ここでは自家製の発酵唐辛子に青菜の漬物を合わせた、フルーティーな辛味が後を引く仕上がり。ふっくらと蒸した鯛の頭と一緒に唐辛子を口に含めば、爽やかな辛さが舌の上を駆け抜けます。

さらに皿に残った汁に米粉の麺を投入すれば、最後の1滴まで完食必至。1皿で2度おいしい、おすすめの一品です。

「香辣里」の「剁椒魚頭(鯛の頭の発酵唐辛子蒸し)」1,500円

塩味と燻香が調味料!燻(シュン)

湖南名物といえば、香り高い燻製干し肉・腊肉(ラアロウ)や、中華風の燻製ソーセージ・腊腸(ラアチャン)。「香辣里」ではすべて自家製で、湖南の農家同様、芝を使って燻製しているのもこだわりです。

そんな腊肉を使った家庭料理が、炒腊肉(チャオラアロウ:燻製豚三枚肉と香味野菜の炒め物)や、腊肉香干(ラアロウシィァンガン:スモーク豆腐と燻製豚肉の炒めもの)。燻製干し肉ならではの熟成された旨みと香りに、箸が酒が、止まらない!

「香辣里」の「腊肉香干(スモーク豆腐と燻製豚肉の炒めもの)」900円

スカッとキレのある辛さ!香辣(シャンラー)

香辣(シャンラー)は、香り高い辛さのこと。店名にもなっている通り、中国南方の湖南省の辛さの表現によく用いられる言葉です。

使う唐辛子は、小粒でスカッとした辛さの小米辣(シィァオミィラー)が中心。そこに香菜やミントなど、清涼感のあるハーブや野菜をたっぷり合わせれば、香り高くキレのいい中国南方の味わいが生まれます。

「香辣里」の「茼蒿干豆腐丝(醤油漬け干豆腐と香り野菜の和え物)」680円 ※この料理は辛くありません。箸休めに最適。

 

臭いが旨い庶民の味!臭豆腐(チョウドウフ)

湖南省で庶民に愛されてきた小吃(軽食・おやつ)といえば臭豆腐(チョウドウフ:しゅうどうふ)。押し豆腐を発酵液に漬け込んだもので、揚げてから辛いタレをつけていただくのが定番の食べ方です。

臭う食べものは、一度慣れるとまた食べたくなる常習性あり。その味と香りはぜひ、ご自身の舌と目でご確認を…!

「香辣里」の「香辣里臭豆腐(名物発酵豆腐)」700円

お楽しみは深夜まで…!日曜は昼から乾杯!

ちなみに同店、平日は深夜0時、週末は夜中の3時、日曜は昼から営業しているため、使い勝手がいいのもポイントです。東京でまだ数件しかない湖南料理店、ぜひこの機会に訪れてみては。

香辣里 (シャンラーリー)
住所:東京都世田谷区太子堂4-23-11 GEMS三軒茶屋 7F
電話:03-6450-8791
アクセス:東京メトロ田園都市線 三軒茶屋駅から徒歩1分
営業時間:17:00~0:00(月~木)、~3:00(金土)、11:00~0:00(日)
定休日:年中無休
席数:58席(貸切40人~)個室なし
Wifiあり

 

text & photo 佐藤貴子(サトタカ)