中国において、北は麺食(小麦粉)文化圏、南は米食文化圏と言われる。南は米といっても、炊いて食べるだけでなく、米粉(こめこ)にしたのち麺状に加工したライスヌードル、米粉(ミーフェン)としても食べられている。

米粉は小麦粉の麺にはないつるんとした食感。ぴちぴちとして、半透明の輝きがある。

生の米粉(ミーフェン)は、小麦粉の麺にはないぴゅるんとした舌ざわりと、さっぱりとした米のピュアな風味が持ち味。

特に中国西南地方や南方出身者にとっては、日本人における白米同様、慣れ親しんだ味わいで、朝ごはんや昼ごはんの定番でもあるが、実は生の米粉を日本で食べられるところは多くない。

そんな中、自店の工房で生の米粉(ミーフェン)を作り続け、在日中国人はもちろん、日本の米粉ファンからも重宝されているのが、錦糸町駅からほど近い湖南料理店「李湘潭 湘菜館(りしょうたん しょうさいかん)」だ。

「李湘潭 湘菜館」外観。錦糸町駅北口が近い。

材料は日本の米と水。自店の専門工房で作るこだわりの湖南米粉

店名にもある「湘菜」とは、湖南料理の意味。湖南省は毛沢東の出身地としても有名だが、農業的観点で見ると、実はコメ(モミ米)の省別生産量が中国トップクラス。国随一の米どころであるからして、当然、米粉(ミーフェン)も日常食となっている。

「李湘潭 湘菜館」のこだわりは、そんな湖南米粉を日本産の米と水で見事に再現していること。

添加物等は使わず、日持ちしないため、使う分だけを定期的に作り、半生状態に加工して店へ運び、その都度ゆでて使っているので、乾麺にはない風味と食感が楽しめる。店に到着したばかりの半生米粉を見せてもらったが、ふわりとお米の香りがした。

店に到着したばかりの米粉。半生に加工してあり、これをバラバラにほぐしてから使う。

米粉のメニューも豊富で、食べ方は大きく分けて「汁ミーフン(汤米粉)」「混ぜミーフン(干拌粉)」「炒めミーフン(炒米粉)」の3タイプ。汁ミーフンはベースが800円で、プラス100~150円でさまざまな具や味付けが選べるスタイルだ。

米粉は見開きでしっかり紹介。店では米粉を「ミーフン」と表記していますが、80Cでは中国語読みをカタカナ表記、日本語読みをひらがな表記にしています。

具は牛筋、豚の角煮、豚足などの煮込み料理もあれば、ササゲの漬けものと豚肉の炒め、木耳と豚肉の細切り炒めなどの炒めものも。米粉は原料が米なので、ごはんのおかずにぴったりの料理をのせても、おいしくいただけるというわけ。

こちらは単品メニューの「湖南伝統ササゲの豚肉炒め(酸豆角肉絲)」980円。ササゲの漬物の塩気と唐辛子の香り、肉のコクが相まって、ごはんが何杯も進んでしまう。

店員さん曰く「一番の人気は牛筋」。中国語メニューでは「牛腩」という表記なこともあり、オーダーすると牛バラ肉の塊がゴロゴロと入ってきた。八角の香りが漂うあっさりとしたスープは、これぞ中国の食堂というテイストで、目を閉じれば中国にいるような気持ちになれる。

湯米粉800円に牛腩トッピング150円。さらにさらにプラス100円で「湖南伝統ピリ辛揚げゆで卵」をのせてみた。

また、蒸し暑い日に食べたいのが和え麺タイプだ。おすすめは「冷やしスーラ―鶏ミーフン(凉拌酸辣鸡肉粉)」。黒酢、自店で仕込んだ剁辣椒(ドゥオラージャオ:唐辛子を刻んで漬けて発酵させた調味料)、素揚げした豆豉を混ぜたパンチのある特製ダレは、さっぱりとしてコクがあり、異国の風味を感じさせてくれる。

冷やしスーラ―鶏ミーフン(凉拌酸辣鸡肉粉)。丸麺(圓粉)は1,100円、幅広麺(寛粉)は1,150円。つまみとして飲める麺でもある。

このタレに加えて、薬味・調味料チームが実にいい仕事ぶり。刻み高菜の熟れた塩気、揚げピーナッツのカリカリ、香菜の清涼感などの刺激が幾重にも重なるともう、箸が止まらない! 米粉は水で締めてあるので「麺にはコシを求めたい」という人にもおすすめしたい。

混ぜるたびに米粉にさまざまな要素が絡んでおいしくなる。

ちなみに湖南料理は唐辛子をたっぷり使った料理が少なくないが、メニューに辛さの目安が唐辛子マークで描かれているので、選ぶ際も安心。オーダー時に「辛さ控えめで」などとお願いすれば加減してくれるし、揚げピーナッツや刻み高菜、香菜などの薬味も多め、少なめのリクエストができる。

お持ち帰り用の米粉で、家でもつるぷちの食感を楽しもう!

なお同店の米粉は、料理としてはもちろん、米粉だけお持ち帰りもできる。常時店頭にあるのは生タイプ(湿米粉)で1袋300円。300~350g前後入っているので、食事としてなら1人前、おかずとしてなら2人前くらいの量がある。

オール中国語簡体字なので、ニーズがそこにあるとみた。

また、事前に注文しておけば半生タイプ(半干米粉)のオーダーも可能。こちらは1袋400g入りで500円。ゆでて食べるとだいたい2~3人前の量がある。保存は冷蔵で7日間、冷凍で約半年。真空パックになっているので、米粉好きにはありがたい。もちろん発送も可能だ。

最近は中国人のお客さんからのリクエストがあり、剁辣椒(ドゥオラージャオ:唐辛子を刻んで漬けて発酵させた調味料)の店頭販売もスタート。価格は100gで500円。米粉のタレの風味付けはもちろん、鮮魚にのせて蒸して使える。自作すると時間もかかるので、手軽に湖南料理のエッセンスを取り入れたいときにおすすめだ。

米粉は、食べたときには満腹になっても、後々までズシっとこない軽さも魅力だと思う。まずは店で味わい、気に入ったら家でも野菜と挽き肉の炒めものや、好みの和えだれなどを絡め、薬味をたっぷりかけて食べてみよう。パスタのように使ってみてもいい。お米の国の人ならば、きっとやみつきになるはずだ。


李湘潭 湘菜館(りしょうたん しょうさいかん)

住所:東京都墨田区錦糸2-7-12 徳重ビル1-2F(MAP
TEL:03-5637-8728(半生米粉の注文はこちらで)
営業時間
月~木|11:00-15:00(L.O.14:30)17:00-23:00(L.O.22:30)
金曜日|11:00-15:00(L.O.14:30)17:00-24:00(L.O.23:30)
土・祝|11:00-16:00 16:30-23:00(L.O.22:30)
日曜日|11:00-16:00 16:30-22:00(L.O.21:30)

同店では湖南料理を中心に、中国の家庭料理が充実。発酵唐辛子を使った爽やかな辛さの料理や、燻製干し肉、紫蘇などの薬味を活かした炒めものなどが食べられる。


TEXT & PHOTO サトタカ(佐藤貴子)