成都グルメガイド『涙を流し口から火をふく四川料理の旅』著者の中川正道さんが、全日本麻辣党(現「全日本麻辣連盟」)を旗揚げ!100名の四川料理好きと熱く辛く盛り上がったイベントレポートです。

麻辣革命を起こす?
全日本麻辣党(現「全日本麻辣連盟」)結成イベントレポート

日本語で唯一、四川省成都を中心とした現地グルメガイド『涙を流し口から火をふく、四川料理の旅』の出版記念パーティーから2年。11月3日(祝)、同書著者の中川正道さんの主宰で、四川料理を愛する100名が赤坂四川飯店に集いました。

イベントの趣旨は、四川料理を通じたコミュニケーションの場づくりと、日中交流のきっかけづくり。

いったいどんな方が参加されたのか?といいますと、本で四川料理への興味を持ち、「初めて中国を訪れたのが成都」という方や、「著者に会いたい」「赤坂四川飯店の珍しい中国料理を食べてみたい」といった、好奇心旺盛な大人たち。

遠くはイギリス、山形、姫路、大阪から駆けつけた方もいて、多くの方が四川省の旅経験者でした。

参加者
同じテーブルで隣り合ったゲストの方。左の男性は食関連のお仕事をされているそう。

 

正統派四川料理に舌鼓。建太郎社長&鈴木料理長の実演も!

気になる宴会料理は、国酒鶏(白酒で風味付けしたゆで鶏)、檑椒茄子(茄子の冷菜)、夫妻肺片(牛のモツ、ハチノスの冷菜)、麻辣烤魚(麻辣味の魚の焼き浸し)、樟茶鴨子(スモークした四川ダック)、干鍋牛筋(牛スジの干鍋)など14品。

中でも会場を盛り上げたのは、陳建太郎社長による芽菜燃麺(ヤーツァイランミェン)、鈴木料理長による陳麻婆豆腐の実演です。

芽菜燃麺は、四川飯店を創業した陳建民スタイル。同氏の故郷の名物・宜賓燃麺(イービンランミェン)をアレンジし、四川省宜賓の漬物・芽菜(ヤーツァイ)と、豚肉の替わりに鶏のほぐし身を和えた辛い和え麺。

さらに陳麻婆豆腐は、四川より来日した『おいしい四川』制作メンバーのカカさんが持ち込んだ花椒と菜種油を使い、フロアは一気に四川の香りに…!

陳建太郎さん
芽菜燃麺を作る陳建太郎さん(写真左)。
鶏肉を使うのが陳建民スタイル。和える前に熱した油をジュッとかけて香りを出します。

 

鈴木料理長
陳麻婆豆腐を作る鈴木料理長、まるで報道陣に取り囲まれているかのよう!

 

料理
ビュッフェ台を撮る間もなく料理が取り分けられていったため、お皿の上の料理で失礼します…。

 

老壇子
老壇子(内臓と野菜を漬けた四川の漬けもの)。壺を倒した盛り付けが印象的。

 

花椒、菜種油、土に埋めた白酒などの食材も続々登場

また、会場には中国で最もメジャーな調味料のブランドのひとつ、老干媽(ラオガンマー)の試食販売ブースや、カカさんが四川省アバ・チベット族チャン族自治州茂県の農家を訪ね、9月に収穫したばかりの花椒を販売。これが1粒でピリリと辛い…どころではない、3分の1で泣くほど痺れる麻(マー)にびっくり!

さらに、加熱済の菜種油で、乾燥唐辛子に注いで沸かせばすぐに辣油ができるという、現地でも未発売の油の販売や、土の中に埋めて熟成させた白酒(バイジュウ:蒸留酒)も登場するなど、日本ではちょっとお目にかかれない、珍しい味の体験も。

カカさん
花椒を手に説明するカカさん。本業は中国の国営企業で測量技師。日本に留学時は地震の研究をされていたのだとか。

 

カカさん
老干媽(ラオガンマー)調味料の中でも、香辣脆(香り高く、辛く、クリスピー)な食感が味わえる、香菇油辣椒(きのこ入り)、玉葱油辣椒(玉ねぎ入り)、豆鼓油辣椒(トウチ入り)3種類の試食販売。

 

白酒
蒸留後、土に埋めて熟成させたという白酒(バイジュウ)。瓶に土がついているのがリアル。

 

「全日本麻辣党」(現「全日本麻辣連盟」)で麻辣革命を起こす!?

また、食べるだけではないこのイベント。会の中盤には、四川料理を通じて日中コミュニケーションを図ろうという「全日本麻辣党」(現「全日本麻辣連盟」)の設立発表がありました。(※注:政治団体ではありません)。

その趣旨は、今ある日本の中華料理もおいしく食べつつ、中国大陸で食べられている伝統的な料理・人気の料理も食べられる環境を日本にも定着させるため、まずは四川料理を軸に活動を始めよう!というもの。

外国人が日本の漫画やアニメがきっかけで日本に興味を持ち始めるように、日本人が中国に興味を持つきっかけが料理となり、食を通じてリアルな中国を知ることができるなら、素晴らしいことですよね。

中川正道さん
プレゼンする中川正道さん。ロゴマークはご自身の作品です。

 

2017年「四川料理の旅」&「四川フェスタ」の発表も!

そして最後に発表されたのは、2017年3月17日(金)~22(水)に開催される「成都から楽山までの四川料理・超食べ歩きツアー」。

その道程はなかなかマニアックで、成田空港から成都市に飛び、眉山市(中国泡菜博物館がある場所です。泡菜は漬物のこと)、さらに洪雅県→楽山市(大仏と豆腐料理で有名)に移動。西垻古鎮で西垻豆腐を食べ、眉山市の彭山区→成都市へ戻ってくるというもの。

1日あたり7~10店舗を食べ歩き、全日程で40店は訪れることになりそうなこのツアー。大陸の旅、特に麻辣パンチの効いた四川省の食べ歩きは、大勢いたほうが断然ラクに楽しめますので、四川省は初めて、という方もよさそうです。みんなで行くからこそ、少人数では体験できない、豊かな食体験ができるはずですよ。

また、帰国後の4月は、中野セントラルパークで「四川フェスタ(仮名)」を開催予定。内容は未定ですが、中野駅前に麻辣香を漂わせることは間違いなし。今後の活動も要注目です。

中川正道さん


text & photo 佐藤貴子