雲南・貴州はミント天国!ソースにつけだれに大活躍!

中国西南地方では、ミントが薬味として大活躍している。他地域なら小葱や香菜を使うところに、ミントが登場するのである。

まずは、雲南省西双版納の檸檬鶏(レモン鶏)。茹で鶏を冷ましてほぐしたものに、タイライムをたっぷり絞り入れ、生唐辛子と様々な薬味を和えて食べる傣族(ダイ族)の名物料理だ。香菜・小葱・名前不明の香草と並んで、ミントが独自の清涼感を発揮していた。

雲南省西双版納の檸檬鶏(レモン鶏)

西双版納と言えば、蕃茄喃咪(トマトソース|fānqié nánmī|ファンチェ ナンミー)もあった。喃咪は、ダイ族の言葉でソースを意味する。焼いて皮を剥いたトマトを生唐辛子や香草と一緒に木臼に入れ、杵で突いてソース状にするのだが、ここにもミントがたっぷり入っていた。

蕃茄喃咪(ダイ族のトマトソース)

蕃茄喃咪の最も基本的な食べ方は、生野菜にディップソースのようにつける方法だ。上の写真ではキュウリが目立っているが、実は後ろに隠れているのがミント。ミント入りのトマトソースに生のミントをつけて食べるわけで、ミントが主役にも脇役にもなっている。

尚、このようなソースやつけだれを一般的な呼び方では蘸水(zhànshuǐ|ジャンシュイ)といい、中国西南地方には様々な蘸水がある。そして、ミントはどこへ行っても蘸水の常連だ。

雲南省昆明市郊外の撒尼族(サニ族)の村で出されたのは、白水煮青菜(茹で青菜)。青菜が浸っているのはスープかと思いきや、ただの茹で汁で、塩気すらない。これをミント入りの蘸水につけて食べるのである。

白水煮青菜(茹で青菜)と、ミント入りの蘸水(つけだれ)。

唐辛子粉に塩・ミント・小葱・大蒜・香菜・腐乳汁などを混ぜ合わせて水を加えた蘸水は、透き通った辛さの中に程よいコクがあり、香りが爽快。青菜の甘味を絶妙に引き立てていた。

これと似たものが、貴州料理の黔北活水豆花(貴州式湯豆腐)だ。熱々の湯に浸ったおぼろ豆腐と豆もやしを、蘸水につけて食べる。この料理自体は他地域でも見かけるが、蘸水の調合に特徴があった。

黔北活水豆花(貴州式湯豆腐)

この蘸水は、醤油と油をベースに、貴州名物の煳辣椒面(焦がし唐辛子粉)・ミント・葱・煎り豆などを加えたもの。コクのある香ばしさの中で、ミントの清々しさが際立っていた。

豆腐つながりで、貴州省義市の名物・豆花麺(おぼろ豆腐麺)も紹介しておこう。豆乳の中に幅広麺とおぼろ豆腐を入れた碗と蘸水の碗が別々に供され、つけ麺のようにして食べる風変わりな麺だ。

唐辛子の辛味を移した紅油に、カリカリに揚げた賽の目切りの豚肉、揚げ大豆、小葱と生姜のみじん切り、花椒粉などが入った蘸水は、刺激的で旨味たっぷり。これに幅広の麺やほわほわのおぼろ豆腐と合わせると、なんとも複雑で豊かな味わいになる。

豆花麺(おぼろ豆腐麺)。

ミントは、入れ放題のトッピングとして、卓上で出番を待っていた(上の写真の左奥。因みに、右側は搾菜)。現地の客を見習ってドサッと蘸水に投入してみたところ、大正解。ミントの軽やかさが紅油の重さを忘れさせ、ぐいぐい箸が進んだ。

広西チワン族自治区の桂林でも、ミントは意外なところに登場した。それは、桂林名物の田螺醸(タニシの肉詰め)。タニシの殻から身を取り出して細かく刻み、豚ひき肉と合わせて餡にし、それを殻に詰め直して、唐辛子や大蒜と一緒に炒めるという手の込んだ料理だ。

田螺醸(タニシの肉詰め)

この料理では、ミントは刻まれて餡の中に混ぜ込まれていた。その効果は抜群で、ミントの香りがタニシと豚肉のパワフルな旨味に清涼感を添え、いくつ食べても飽きない味わいに調えてくれていた。

薬味の例は挙げ続けるとキリがないのでこのくらいにしておいて、最後にミントをどっさり消費する食べ方をご紹介しよう。

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