東京と埼玉の県境を流れる荒川を渡ると、まるで国境を跨いだかのように現地感のある中国の味わいを楽しめる、埼玉県の西川口。改札を出て早々、駅ビルから油条(中国式揚げパン)や鴨貨(アヒルの各部位を煮込んだおつまみ)が並ぶさまには驚かされますよね。

今や「ネオチャイナタウン」「新中華街」と呼ばれて久しく、すっかりその印象が定着した感がある西川口。そしてこの中国的風情は、隣駅の「蕨」にも広がっているのです。

日本屈指の多国籍タウン「蕨(わらび)市」とは?

埼玉県蕨市は、全国の「市」の中で最も狭い面積、かつ、全国の「市町村(区は除く)」の中で最も人口密度が高い自治体。なんと5.11平方キロメートルの面積に、約7万5千人が暮らす日本最小の自治体としても知られています。

また、蕨市を知らなくても、川口市とともにクルド人が多く暮らすエリアとして「ワラビスタン」の呼称を聞いたことがある人も少なくないのでは? 事実、人口の1割ほどが外国人という蕨市。その中には中国人も多く暮らしており、中国料理を提供する店舗も多く存在しているのです。

そんな蕨と西川口エリアとの違いは、店舗の規模感。西川口は席数の多い大きなレストランがいくつもあるのに対し、蕨はデリバリーやテイクアウトメインで小規模な店舗が多めという印象を受けました。蕨駅は京浜東北線で東京へのアクセスがよい立地でもあることから、これらの店は、この辺りで暮らす住民の、仕事帰りや休日の食事を支える存在となっているのでしょう。

そこで今回ご紹介したいのが、蕨に暮らす中国人の暮らし支える飲食店や食料品店。私自身、西川口にある中華料理店の店主が蕨市の芝園団地に住んでいたことをきっかけに、この地域への関心が高まり、初めて街を歩いてみたのは2018年初夏のこと。以来、注目していたのですが、今冬改めて探索してきた様子をレポートします。

蕨駅西側はこう歩く!4つのエリアをナビゲート

まず、中華散歩をする前に、蕨駅の西側で抑えておきたい4つのエリアをご紹介しましょう。

[エリア1]蕨駅西口-新旧織り交ざる再開発地区

西口駅前は昔ながらの商店がぎゅっと集まった庶民的な雰囲気。ただ、現在駅前再開発中まっただ中のため、現在の姿を目に留めておくのは今のうち!

[エリア2]芝園ハイツ-蕨駅徒歩4分のレトロマンション

蕨駅西口から徒歩7~8分、UR都市機構の芝園団地に隣接する芝園ハイツ。中国人が多く住むため、中国食材店や軽食店も多数。

[エリア3]マンション本田商店街-アジアを感じる商店がずらり

芝園ハイツと道を挟んで向かいにあるのがマンション本田。1階にあるマンション本田商店街には飲食店やハラルフードショップが並びます。なお、道を隔てて芝園ハイツ側が川口市、マンション本田側が蕨市。

[エリア4]芝園団地(UR川口芝園)-多文化共生で知られるマンモス団地

居住棟8棟、住戸数2,400超!UR都市機構のマンモス団地。団地の案内では「JR蕨駅より徒歩10〜15分」と幅を持たせているところが、この団地の広さを物語ります。

それでは、散策スタート!

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