しょうがの絞り汁に温めたミルクを勢いよく注ぎ、5分ほど静置するとあら不思議。卵もゼラチンも使わないのに、プリンのように固まってしまうという化学変化が目の当たりにできる生姜ミルクプリン。
こちらはもともと広東省発祥のスイーツで、広東語だと「薑汁撞奶(キョンジャッゾンナイ ※広東語読み)」。読んで字のごとく「しょうがのしぼり汁(薑汁)にミルク(奶)をぶつけ(撞)る」という意味です。
ところが、ミルクの温度やしょうがの絞り汁の鮮度によっては、まったく固まらない。簡単そうに見えて、いともあっさり失敗してしまう…。では、どうすれば失敗なく作ることができるのでしょうか?「香宮」の篠原裕幸シェフ(※)に教わりました。
※ 篠原シェフは現在独立され「Shinois(シノワ)」オーナーシェフになりました。
もう失敗しない!広東式しょうがミルクプリンの作り方
レシピ(1~2人前) 牛乳 250cc しょうがのしぼり汁 大さじ1杯 砂糖 大さじ山盛り1杯 |
①しょうがをすり下ろし、絞り汁を作ります。
しょうがは必ず下ろしたてを使うのがポイント。その理由は、牛乳を固めるのに寄与するしょうがのたんぱく質分解酵素・ジンジベイン(ショウガプロテアーゼ)の酵素活性力が、時間とともに低下するためです。
「うちではプリンの食感をなめらかにするため、しょうがの絞り汁はクッキングペーパーで濾して使います」(篠原シェフ)
絞り汁ができたら、プリンを作る器に入れてスタンバイしておきましょう。
②鍋に牛乳を入れ、砂糖を加えて、へらでかき混ぜながら75℃になるまで加熱します。
参考までに「香宮」で篠原シェフが使っている牛乳は、無脂乳固形分8.4%以上、乳脂肪分3.6%以上。成分無調整乳なので、乳脂肪分は夏季3.6%以上、冬季4.0%前後に変化しているそう。
鍋を火にかけ、へらでかき混ぜながら砂糖を溶かします。「ここでは温度計を使うと失敗しません。ここは感覚よりも数字で判断した方が、誰もが失敗なく作れますから。僕も必ず使っています」
③器に温めた牛乳を勢いよく注ぎます。
ここで決してかきまぜないことが肝心です!
④ふたをして、5分間静置します。
ここでゆらしたりしないのが肝心です!
④ふたを開け、器を斜めに傾け、表面が固まっているかどうか確認します。
ここで固まっていたら、おめでとうございます!できあがりです。「固まり方がちょっとゆるいように感じたら、さらに3~5分ほど置いてみると、固まることがあります」(篠原シェフ)。
そして一度固まれば、作りたての温かい状態でいただいても、冷蔵庫で冷やしても、同様にふるふるの食感が楽しめます。
ネットのあちこちで「固まらずにホットしょうがミルクになってしまった!」という書き込みを目にするしょうがミルクプリン(薑汁撞奶)。
篠原シェフは、この方法で作ってこれまで失敗したことは一度もないそうです。ぜひトライしてみてくださいね。
海鮮名菜 香宮(シャングウ)
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布1-4-44 シグマ西麻布Ⅱ 1F(星条旗通り沿い)
TEL:03-3478-6811
営業時間:ランチ11:30~14:00 ディナー17:30~22:00
定休日:日曜
※編集部注:篠原シェフは現在独立され「Shinois(シノワ)」オーナーシェフになりました。
TEXT サトタカ(佐藤貴子)
PHOTO 丸田歩