香りを嗅いだだけで「おいしい!」と直感的に確信できる。そして、食べてそれが確証へと変わる―――、そんな料理に出会ったことはありますか。鶏肉と万願寺唐辛子を使ったこの料理は、私にとってそんな体験をもたらしてくれた一品です。では、プロはどうやって香りを高めていたのでしょうか。
その答えは、「種」と「冷却」にあります。実は、家庭では必ず捨てているといっても過言ではない万願寺唐辛子やピーマンなどの種。その「種」も加熱して使うと、食材の香りがぐっと高まるのです。
そしてもうひとつのポイントが、煮込んだ料理を冷ますこと。和食で煮物を作る時、短時間で味を染み込ませるために一度冷ます手法がありますが、こうすると、香りを閉じ込める効果も得られます。
簡単なことですが、料理がワンランク美味しく仕上がるプロの技。ぜひご家庭でもお試しください。
料理:渡辺嘉朗(チャイニーズテラス ルウロン)
撮影:2012年11月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:花椒炖鶏(huā jiāo dùn jī / ファ ジャオ ドゥン ジー)
Text 遠藤亜紀
photo 西田伸夫