香りを嗅いだだけで「おいしい!」と直感的に確信できる。そして、食べてそれが確証へと変わる―――、そんな料理に出会ったことはありますか。鶏肉と万願寺唐辛子を使ったこの料理は、私にとってそんな体験をもたらしてくれた一品です。では、プロはどうやって香りを高めていたのでしょうか。
その答えは、「種」と「冷却」にあります。実は、家庭では必ず捨てているといっても過言ではない万願寺唐辛子やピーマンなどの種。その「種」も加熱して使うと、食材の香りがぐっと高まるのです。
そしてもうひとつのポイントが、煮込んだ料理を冷ますこと。和食で煮物を作る時、短時間で味を染み込ませるために一度冷ます手法がありますが、こうすると、香りを閉じ込める効果も得られます。
簡単なことですが、料理がワンランク美味しく仕上がるプロの技。ぜひご家庭でもお試しください。
「地鶏の煮込み 唐辛子の香りで」の作り方
【材料】
大山地鶏モモ肉…2枚 / 万願寺唐辛子(ピーマンで代用可)…3本 / サラダ油…適量
[香辛料]青山椒…30粒 / 赤山椒…30粒 / 干辣椒(鷹の爪)…2本 / にんにく(薄切り)…1/2個 / ねぎ、生姜…各適量
[調味料]毛湯(スープ)…600cc / 塩…小さじ2 / 日本酒…大さじ4 / こしょう、ごま油…各適量 / 生粒山椒、山椒油…お好みで
【作り方】
1:万願寺唐辛子(またはピーマン)を段切りして種を取る。
2:鶏もも肉を大きめの塊に切り、軽く酒と塩を揉み込む。
3:鍋にサラダ油を入れ、万願寺唐辛子(またはピーマン)の種と香辛料を一緒に炒める。香りが出てきたら2を加えてさらに炒める。
4:3に毛湯(スープ)を加え、調味料を入れて20~30分弱火で煮る。
5:4を火からおろし、ラップして30分おく(冷却)。
6:肉を5から取り出してスープをこし、再び肉を入れて温める。
7:万願寺唐辛子(またはピーマン)を炒め、6にのせる。
8:香りが足りなければ山椒油を加える。仕上げに生粒山椒を飾ると美しい。
料理:渡辺嘉朗(チャイニーズテラス ルウロン)
撮影:2012年11月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:花椒炖鶏(huā jiāo dùn jī / ファ ジャオ ドゥン ジー)

Text 遠藤亜紀
photo 西田伸夫