日本料理には、酢・醤油・みりんを同量ずつ合わせた「三杯酢(さんばいず)」がありますが、実は台湾にも、「三杯(サンベイ)」なるものがあります。
それは、酒、ゴマ油、醤油を同量ずつ合わせた味付けのこと。主に煮込みに使われ、鶏を煮た「三杯鶏」や、イカを煮た「三杯中卷」は台湾を代表する料理としてあまりにも有名です。
この調味は具にバジルを使うのがポイント。酒と醤油で食材がこっくりと煮込まれ、ごま油の香ばしさが立つ中に、バジルの緑と爽やかな香りが加わると、味・香り・色と三拍子揃ったおいしさが生まれます。中でもじゃがいもを使った「三杯」は代表的な家庭料理で、材料さえ揃えば失敗なくできるのでおすすめです。
ごはんもお酒も進む、台湾料理の永遠の定番料理として、また、じゃがいもの新しい調味法として、ぜひトライしてみては?
台湾風味 決め手の食材
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九層塔(台湾バジル)
こってりした中にも爽やかさが加わり、食欲を刺激する味わいに。台湾では「九層塔」と呼ばれる品種を使います。 |
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醤油膏(ジャンヨウガオ)
さらっとしょっぱい日本の醤油に比べると、どろっと甘辛いのが台湾の醤油。有名なブランドは「金蘭油膏」です。 |
「じゃがいもの三杯煮」の作り方
【材料】
ジャガイモ…300g /干しシイタケ(戻した物)…40g /紅ナツメ…6個 / バジル…15g / ショウガ薄切り…15g /鷹の爪…3本/黒醋…小さじ1 /ゴマ油…大さじ1 / 油…適宜[A]ゴマ油…大さじ2 / 醤油…大さじ1.5 / 醤油膏…小さじ2 / 砂糖…大さじ1 / 日本酒…大さじ2 / シイタケ戻し汁…60㏄(調整)
【作り方】
1:ジャガイモは半分に切り蒸篭で蒸し、竹串がスッと入るまで火を通す。一口大に切り分ける。
2:干しシイタケは一口大に切る。紅ナツメを半分に切り種を取り除き1/4に切る。
3:鍋に油を熱し、ジャガイモを揚げる。ジャガイモがカリッとしたら、紅ナツメ・干しシイタケも入れ油通しする。
4:鍋に[A]のゴマ油を加え、ショウガ薄切りを炒める。香りが出てきたら鷹の爪を加え3を戻し入れる。[A]の調味料を順に加えていき炒める。タレが全体に馴染んだら黒醋と半量のバジルを加える。
5:土鍋にゴマ油大さじ1とバジルを入れ4を盛り付け蓋をして火にかける。香りが立ってきたら日本酒を大さじ1加える。
料理:成毛幸雄(神田 雲林)
撮影:2011年11月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:三杯馬鈴薯(sān bēi mǎ líng shǔ / サン ベイ マー リン シュ)
Text 遠藤亜紀
photo 西田伸夫