食卓に上ると、その色と香りに春の訪れを感じる桜海老。そんな旬の食材を餡に仕立て、中国料理に欠かせない小エビと、旬を感じる新筍で作った蒸し団子にとろりとかけた、香り豊かな一皿がこちらです。

海鮮笋圓子

小エビをすり身にして作るお団子は、ともすると硬くなりがちですが、軟らかく仕上げるにはどうすればいいのでしょうか。そのコツを「スーツァンレストラン陳」の菰田欣也先生にうかがいました。

水分を残して片栗粉を加え、冷蔵庫で休ませて

ポイントは、餡の作り方、下味の入れ方です。まず、主役のエビは食感を残すため、2/3を粗みじん切り、残り1/3は包丁で叩いてすり身状にし、よく混ぜます。
続いて下味(下記参照)入れますが、ここで水分を若干多めに残した状態で片栗粉を加え、冷蔵庫で少し休ませることで軟らかな食感に。

また、新筍は繊維に沿って極細切りにし、あえてみじん切りにせずに存在感を残します。細さの目安は、フカヒレスープの具になるあの細さ。今回は、色味のアクセントにゆでたグリーンピースを加えました。

休ませておいたエビ餡に、筍とグリーンピースをざっくりと混ぜたら、再び片栗粉を適量混ぜ合わせ、約50gのお団子にして7~8分蒸籠(せいろ)で蒸します。
お団子が蒸し上がる少し前に、付け合わせの京ほうれん草も蒸籠の中へ。ゆでるよりも蒸した方が軟らかくなりすぎず、美味しさも逃げません。

仕上げはお皿に京ほうれん草を敷き、蒸したエビ団子を載せて、毛湯(マオタン)をベースとしたスープに干し貝柱、生の桜海老を加え、とろみをつけた餡をかければできあがり。春らしいエビ団子の色合いと、立ち上る桜海老の香りに、思わずうっとりしてしまうことでしょう。

【エビの下味(エビ300g)】

・塩…小さじ1/3 ・胡椒…少々 ・紹興酒…大さじ2
・オイスターソース…小さじ1/3 ・卵白…1個分 ・片栗粉…大さじ1と1/3

 

料理:菰田欣也( スーツァンレストラン陳
撮影:2016年3月10日の 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:海鮮笋圓子(hǎi xiān sǔn yuán zǐ / ハイ シェン スン ユェン ズー)


text 近江文代
photo 西田伸夫