干鍋(ガングゥォ)はその名前の通り、汁気の少ない鍋料理。四川料理の中でも比較的新しい料理で、成都では専門店がいくつもできるほど人気があ
味付けの王道はもちろん麻辣味で、中には調味と具材を選べる店も。特に成都っ子に人気があるのが、現地ではスーパーでも手に入るほどメジャーな肉・ウサギの頭を使った干鍋。
ですが、ここでは日本で入手しやすい、豚のスペアリブを使った干鍋をご紹介しましょう。まず、用意するのは味付けの要となる老油と醤です。材料は、ペースト状にした泡辣椒(パオラージャオ:唐辛子の漬物)大さじ2、豆板醤(トウバンジャン)小さじ1、油200cc、香辣醤(シャンラージャン)小さじ1。ります。
これらを根気よくゆっくり炒めていくと、上に油が浮き、下には濃厚な醤ができあがります。この油の部分を干鍋老油、醤の部分を干鍋醤として使います。
そして、続いては豚スペアリブの下ごしらえ。プロの料理人は香辛料、塩、カラメルなどで作った調味液・滷水(ろうすい:中国語でルーシュイ)を使うことが多いですが、家庭ではもっと手軽に、濃い目の塩水(湯2リットルに対し塩大さじ1以上)で1時間ほど下ゆでを。下ゆでに使う塩は強めの方が、肉の臭みもとれ、下味もしっかりと付いて、調理しやすくなります。
こうして下味を入れた豚スペアリブに片栗粉をまぶしてカラリと揚げたら、先ほどの干鍋老油、ねぎ、しょうが、花椒の粒とともにざっと炒め、軽くゆでた野菜も投入。仕上げに干鍋醤、五香粉、孜然粉(ズーランフェン:クミンパウダー)などの香辛料もたっぷりと…。 四川っ子の心を掴んだ魅惑の味に、お箸が止まらなくなること必至です!
料理:菰田欣也(スーツァンレストラン陳)
撮影:2013年10月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:泡椒干鍋肉(pào jiāo gān guō ròu / パオ ジャオ ガン グゥォ ロウ)
text 近江文代
photo 西田伸夫