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まずご紹介するのは、塩漬けしてから軽く燻製をかける、塩燻製タイプの腊肉です。
塩漬けは塩と花椒というシンプルな調味で、肉本来の味わいを生かしやすく、用途が幅広いのが特徴。そのまま蒸して、薄切りにして食べてもしょっぱくない、ほどよい塩加減に仕上がります。
材料(※豚バラ肉1本あたりの分量)
・豚バラ肉ブロック…300g前後 燻製材料 ※写真では3本分仕込んでいます。 |
塩燻製腊肉の作り方|塩漬けと乾燥の方法
① 肉に小さな穴をあける
まず、バラ肉をミートソフター(写真)やフォークなどでまんべんなく刺します。これは、刺すことによって肉や皮に細かな穴があき、肉の中まで均一に味を染み込ませるため。皮付きを使う場合、皮が硬いので意識的にしっかりと刺します。
② 塩を煎る(1本の場合このプロセスは不要。3本以上作る場合におすすめ)
鍋に塩と花椒を入れて煎ります。この工程は、塩の水分を飛ばしてサラサラにすることで、肉への浸透をよくするためのもの。煎ることで、花椒の香りもほのかに立ってきます。
③ 焼き塩を冷ます
終わったら、熱くなった塩の粗熱をとります。熱いまま塗り込んでしまうと、肉に火が通ってしまうので、必ず冷ますこと。
※レシピ通りに1本だけ作る場合は、塩の量が少なく煎りにくいため、この過程は省略します。花椒だけ軽く煎って香りを出してもいいでしょう。
④肉に塩を塗り込み、冷蔵庫で3日置く
塩と花椒を手で肉に揉み込みます。塩の分量は肉の重さの1.5~2%。「これはそのまま食べられるくらいの控えめの塩分濃度です。1.5%ならそのままおつまみで食べられる程度。2%なら煮込み料理などに適しますね」(田村シェフ)。
④ 3日置いて、水分を取る
下の画像が3日漬け置きした肉です。塩を揉み込んだことによって肉の水分が抜け、肉の表面に水が浮いてきますので、厚手のキッチンペーパーで拭き取ります。
花椒はこの段階で取り除いておきましょう。
⑤ 干す
ここまで来たら、いよいよ干す段階へ!叉焼用フックに肉を刺して、吊るす準備をします。
吊るすのは、風通しのよい場所に2週間ほど。人や猫およびカラスによる盗難の心配がなければ、ベランダ等の屋外でも大丈夫ですが、雨に当たらないように注意しましょう。
ちなみに皮付きの場合、硬い皮の方から刺した方がスムーズに入ります。ご家庭で1~2本干す場合は、クリーニング等でもらうワイヤーハンガーを曲げて使うと便利です。
ハンガーの先に肉を差し込みます。三角形の底辺を引っ張って伸ばすと、物干し竿などに通せます。
⑥ 干し上がり
2週間干してこうなりました。触ってみて、周りが硬くなりつつも、芯に柔らかさを感じる段階が仕上がりの目安です。
この状態で、塩味の腊肉としてはいったん完成。20分ほど蒸した後(皮付きは40分ほど)、薄切りにして食べると、風味のよいハムのよう!
なお、干す日数は5日~7日くらいでも大丈夫です。干せば干すほど肉は硬く締まっていきますので、まずは2週間で作って状態を確認したのち、次回以降は自分好みに調整するのがおすすめです。
中華鍋で手軽にできる燻製のやり方
先ほどの状態でも十分おいしいのですが、今回は燻製方法も教わりました。田村シェフが燻材にしているのは、烏龍茶、生米、砂糖の3種類。そこに今回は花椒の香りをまとわせます。
燻材にはそれぞれ目的があり「米は香ばしさ、烏龍茶は香り、砂糖は色付けのために使います」と田村シェフ。
「それぞれ配合のバランスを変えてもよく、米が多めなら『米薫〇〇』、お茶が多めなら『茶薫〇〇』というように中国料理名を変えることもできます。烏龍茶は高級なものでなくて大丈夫ですよ」。
燻製するときは、鍋が焦げないようアルミホイルを敷き、燻材を乗せ、その上に網を張って、腊肉を乗せます。
煙が出ていることを確認したら、ふたをして、燻しはとろ火で40~50分。冷燻のイメージで、肉の中までしっかり、じっくり燻製香をまとわせます。
ついに完成!塩燻製腊肉
燻製が終わったらついに完成!この状態で冷蔵庫で1か月ほど保存できます。そのまま蒸してスライスし、つまみとして食べてもおいしいのですが、炒めものや煮物など、この後いろいろな料理に使えると思うと夢が膨らみますね。
続いてご紹介するのは、香り高い醤油漬けの腊肉レシピ。しっかりとした旨みがあり、こちらもプロで作っている方が多い1本です。
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TEXT サトタカ(佐藤貴子)
PHOTO 丸田歩、佐藤貴子(ハンガー)