暑くなるにつれ、甘酸っぱい料理が嬉しくなるもの。ほろりと崩れる肉に、ほどよく酸味の効いたソースが絡むこの料理は、暑い季節にこそ何度でも食べたい一品です。「神田 雲林」の成毛幸雄先生に、作り方のコツを教わりました。

豚スペアリブの話梅煮込み

紹興酒に入れているあの干し梅。
実は料理にも使えます!

食欲をそそる酸味の決め手は話梅(ファーメイ)。日本では紹興酒に入れることもある干し梅は、中国ではおやつやお茶請け、旅のお供として身近な存在です。

話梅

実はこの話梅、料理にもよく用いられており、特に肉料理との相性は抜群。調味液に漬け込んだ後、乾燥させ、塩抜き洗浄を繰り返して作られ、ほんのり甘く味付けされているものが多いです。

ここでは話梅の風味を生かすため、香りの強い黒酢や紹興酒は入れません。話梅15粒を水700ccに漬けて、一時間ほど置いてふやかしてから料理に使います。

煎り焼きとカラメルが調味の決め手。
黒酢や紹興酒は使いません

主材料の豚スペアリブ700gは、塩6g、日本酒大さじ1杯をよく揉み込み、30分ほどなじませます。肉に水分を吸わせることで、よりジューシーな仕上がりになりますよ。

さらにおいしくするコツが、醤油小さじ1杯をまぶして強火で煎り焼きにし、お湯をかけて表面の油を落とすこと。このひと手間で、仕上がりに大きな差が!

スペアリブ

続いてコクや甘味、おいしそうな色合いを出すために、中国料理でよく使われる糖色(カラメル)を作ります。鍋に油大さじ1杯とグラニュー糖50gを入れ、おたまで素早く円を描くようにグラニュー糖を溶かしましょう。

「グラニュー糖を使うと、おたまにくっつきにくく扱いやすくなります」と成毛先生。氷砂糖を使ってもよいそうです。

仕上げに少量の米酢を加え、
キレのいい味わいに!

最後は、豚スペアリブにカラメルを絡めるようにして炒め、話梅(漬けた水ごと)、日本酒50cc、葱の青い部分、生姜の皮を入れて40分ほど弱火で煮込みます。

アルミホイルで蓋をしたら、焦がさないよう時々かき混ぜて様子を見ましょう。煮汁が煮詰まってきたら、葱と生姜を取り除き、老抽王(中国たまり醤油)小さじ1/2杯を入れて強火で煮詰め、仕上げに米酢小さじ1を加えたらできあがりです。

豚スペアリブの骨が出てきたら、肉が柔らかくなった証拠。骨から外れても、ほろほろ過ぎず、肉の食感が残っている状態に仕上げるのがベストです。

豚スペアリブの話梅煮込み

料理:成毛幸雄(神田 雲林
撮影:2017年4月11日の古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:話梅排骨(huà méi pái gǔ / ファー メイ パイ グー)
日本語料理名:豚スペアリブの話梅煮込み


text 近江文代
photo 西田伸夫