一日三度の食事の中でも、圧倒的に外食率が高まるランチ。その一食に中華料理への愛を託し、お昼に食べた中華を語るという、80C(ハオチー)のFacebookランチレポートが「ひる中華」です。
そこで頂戴した「いいね!」とコメント、シェア、リーチ数をポイントに換算にして、9月17日~10月15日に掲載したひる中華ベスト8を算出したのが当コーナー。さて、いつも応援してくださっている中華のプロや食いしん坊の皆様が「いいね!」と思ったランチとは…?

8位

千駄木「天外天 別館」タンタンメン1000円
537ポイント

手づくり醤(ジャン)の“ありがた味”ここにあり

天外天 別館

まず、8位にランクインしたのは「天外天 別館」のタンタンメン。同店のオーナーシェフ・中川優さんは、日本の家庭に中国料理を広めた陳建民さんに師事した料理人。正統派の四川料理を提供

NHKで2013年8月に放送された「きょうの料理 谷原章介のザ・男の食彩スペシャル『究極!手作り担々麺』」で、芝麻醤(練りごま)は仕入れたペーストでなく鍋でゴマを煎るところから、肉味噌は挽き肉ではなく肩ロースを叩くところから始まる厨房の仕事が紹介されていたとおり、担々麺に配合する各種醤までこだわって手づくりしているお店です。

昨今は、色・味・辛さ・香りなど、さまざまな個性が見られる担々麺ですが、こちらはサラッとしていてしつこくない、四川系の担々湯麺。思いのほかあっさりとしたスープは、ラー油とごまの質感を残した芝麻醤の香ばしさがアクセントに。断面が角型の白いストレート麺、大粒の肉味噌、惜しみなく乗せた青菜もこの店ならではの特徴です。けっこう丼が大きいので、食べるときはぜひおなかを空かせて訪問を。

2013年10月7日掲載:サトタカ訪問


 

7位

神田司町「松記鶏飯(ソンキージファン)」の海南鶏飯(並)880円 537ポイント

シンプルにして飽きない味「海南鶏飯」に舌鼓

松記鶏飯

シンガポール料理として認識されている海南鶏飯(はいなんじーふぁん)は、中国の最南端にある海南島(かいなんとう)が発祥。鶏の味や米の質が如実に現れるシンプルな味だからこそ、こだわる店を選びたい料理でもあります

「薄味がついているのでまずはそのまま」という鶏は、臭みがなくふっくら軟らか。鶏スープで炊いたジャスミンライスはパラパラしっとりの食感で食べ飽きない味。タレは醤油・チリ・ジンジャー3種が提供され、それぞれつけてもおいしいのですが、店員さん曰く「現地風は3つのタレをミックスする」のだとか。そのようにして食べてみると、これが意外にやさしい味です。

蒸し鶏、ジャスミンライス、パクチー、鶏スープなど、各種増量も有料で対応可能。神田グルメゾーンといえる小川町・淡路町エリアにお越しの際はぜひ。

2013年9月19日掲載:コスギ訪問


 

6位

神田神保町「漢陽楼」の孫文粥1200円
547ポイント

革命家の胃袋にそっと寄り添った、孫文ゆかりの味を今に

漢陽楼

「漢陽楼」は中国で辛亥革命が起きた1911年(明治11年)に開業。初代オーナーの顧宣徳さんは、中国人留学生や来日する中国人に食事や宿の世話をしていた方で、後に日中友好に尽力した政治家・周恩来もここに通ったひとり。また、孫文の講演会にあたっては会場までの送り迎えを買って出るなど、非常に面倒見のよい方だったようです。

この粥は、そんな同店の初代オーナーが、胃が弱かった孫文のために作っていたという歴史を今に伝えるお粥。 花開いた米粒はサラッと煮込まれているものの、深いコクを感じるのは、食べる直前にサーブされる白腐乳、生姜の千切り入り甘醤油の絶妙なさじ加減によるもの。ピータン、油条、香菜も添えられており、中華粥の基本セットとしても楽しめます。

>>中華歳時記:10月10日(木)は辛亥革命記念日、11月12日は孫文の誕生日

2013年10月10日掲載:サトタカ訪問


 

5位

日本橋「中華香彩 Jasmine 口福厨房」の挽きたての花山椒香る”四川麻婆豆腐”1000円 683ポイント

広尾の人気店、日本橋に花椒香らせ現る

Jasmine

よだれ鶏や四川麻婆豆腐など、四川系に定評のある広尾「中華香彩 Jasmine」。その二号店がコレド日本橋に2013年4月にオープン、おかげで日本橋界隈においしいひる中華のバリエーションが増えました。

定番の四川麻婆豆腐は、小さめにカットされた豆腐に、粗挽きの肉、丸のままのトウチ、赤黒い唐辛子など素材感がわかるビジュアル。口に含めば、さらっとした餡に、やや強めの痺れ×控え目な辛さの中に、素材のそれぞれの旨みが味わえます。

しかしながら、飲み口がよくてクイクイ飲むうちにいつの間にか酔っ払ってしまう日本酒の如く、口で旨さを味わっているうち、いつしか額や身体は汗だくに…。さらにインパクトがほしい時は辛さの調節も可能、とのことですので、次回チャレンジしてみたいと思います。

>>第1回 80C(ハオチー)麻婆俳句大賞発表!

2013年9月20日掲載:コスギ訪問


 

4位

麻布十番「老四川 飄香」の小成都2730円
684ポイント

四川料理の伝統と創造が融合した、めくるめく味の旅へ

老四川 飄香

代々木上原で開業し、昨年12月に麻布十番に拠点を移した「老四川 飄香」。こちらの“小成都”というコースは「悪大王のスペアリブ」「四川式担坦麺」など同店の名物料理を交え、前菜からデザートまで全6皿、そのうち4皿が選べるうれしい内容。久々に訪れたのですが、料理の幅の広さ、どの皿も外しのないクオリティに感動しました。

皿の上には奇を衒わないドストレートな川味あり、フュージョンのように斬新で華やかな味あり。特に印象に残ったのが、蜀香沙拉大虾こと海老マヨ。単に海老マヨというと、まったりとした味わいがイメージされますが、こちらは青山椒とライムを仕込んだフルーティーなマヨネーズソースに、粗く砕いたカシュー、アボカドやマンゴーを添えた瑞々しささえ感じる一品。マヨネーズ嫌いの私もびっくりのおいしさでした。

2013年10月4日掲載:サトタカ訪問


 

3位

江東橋「刀削麺荘 唐家 錦糸町店」の濃厚練りゴマ入り坦々刀削麺750円 807ポイント

日本初導入・刀削麺ロボットが削る刀削麺をすする

刀削麺荘 唐家

昨今すっかりメジャーになった中国の麺、刀削麺(とうしょうめん)。その名の通り、生地を刀で削り、鍋の中に投入してゆであげる一品ですが、この職人技をロボットにやらせている店もある中国。その刀削麺ロボットを日本で初めて導入した店がこちらです。

ロボットの削った麺は幅・厚みとも均一で長めで、やや薄めで、刀削麺らしいもちっとした食感(まあ、生地は人間が練っているわけですが)。坦々スープは最初に酢の酸味が立ち、サラッとした印象を受けますが、食べ進めるうちにカルボナーラのごとくねっとりと麺に絡んできて、名前の通り濃厚に。ゴマの旨みも十分に堪能できる一品です。

ちなみに坦々スープはこちらの濃厚練りゴマ坦々だけでなく、普通の坦々、辛くない坦々、激辛坦々とバリエーションが豊富。他にも麻辣味や塩味、汁なしなどさまざまな刀削麺が楽しめる店です。

2013年9月25日掲載:コスギ訪問


 

2位

千葉県柏市「知味斎」の平日限定Eランチ(空心菜と豚細切りのピリ辛和えそば、サラダ、かぼちゃのプリン)1470円 817ポイント

中国野菜を料理で広めた、柏の老舗が再オープン

知味斎

一時は閉店していたものの、今年の2月に再開した「知味斎」は、1970年代、当時はほぼ流通していなかったチンゲン菜や黄ニラなど、中国野菜を積極的に活用したことで名を馳せた老舗。チンゲン菜の形の箸置きが、そんな店の歴史をさりげなく伝えます。

平日ランチは、季節の野菜や海鮮を使ったメニューを中心に5種類を提供。こちらのは和えそばも、麺料理ながら空芯菜をしっかり食べさせる料理になっていて、その食感を存分に味わえるひと皿でした。

なお、同店は「知味 竹爐山房」のオーナーシェフ・山本豊氏や、四川料理の名手「飄香」井桁シェフが修行した店としても有名。また「竹爐山房」ではミシュランの星を獲得した「桃の木」小林シェフが修行しています。

料理好きにとっては、伝統と創作力とを兼ね備えた料理人の源流ここにあり、と感じずにはおれない店。今後ともお店が活況でありますよう。

2013年9月24日掲載:イタクラ訪問


 

1位

大阪西天満「唐菜房 大元」の焼味飯1200円
902ポイント

絶妙な温もりと軟らかさが嬉しい、香港スタイルの焼きもののっけ飯

唐菜房 大元

今月の1位は、大阪西天満にある「唐菜房 大元」の焼味飯(シュウメイファン)でした!

焼味飯(シュウメイファン)とは香港の伝統的定番ランチ、焼きもののっけ飯のこと。ガチョウのローストや叉焼などを中華包丁でぶった切り、サッとごはんの上に乗せた一品です。

こちらの店ではつややかなな蜜汁叉焼、ふっくらとした下味付の若鶏、半熟の目玉焼き、さっと炒めた青菜をごはんの上に乗せ、ネギソース&スイートチリソースでいただくスタイル。この手の料理は肉を温かく、ジューシーなまま提供するのが肝心かつ難しいところですが、肉は絶妙な温もりと軟らかさがあり、ボリュームも十分。カウンターから躍動感溢れる厨房を眺めつつ、つかの間の香港気分を楽しみました。

同店のランチメニューはチキンライス(蒸し/揚げ両方あり)、丸鶏とヒラメのスープを使った雲呑麺など、中華好きを唸らす麺飯5種類のみという潔さも魅力。こういう店が近くにあったら、食べたい料理を狙って定期的に通ってしまいそうです。

2013年9月30日掲載:サトタカ訪問


さてさて、今回のひる中華ランキングはいかがでしたでしょうか? 自分でいうのもなんですが、非常に安定感のある、きっちりおいしい店が上がってきたと思います。引き続き、80C(ハオチー)編集部では魅力的なひる中華を探して、右往左往して参ります。来月もどうかお付き合いくださいませ。

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「ひる中華」は、80Cスタッフがランチに食べた中華料理を、Facebookでウィークデーに連日レポートしています。おひる前のお腹が空きそうな時間に更新していますので、中華画像を見ながら、食べたい中華・好みの中華を見つけていただけたら幸いです。みなさまも、どうかお近くにある気になる中華料理店のランチがあったら、ぜひ編集部までお寄せくださいね。


ポイントの算出方法
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Photo & Reserch 小杉勉、板倉義徳、佐藤貴子(ことばデザイン)
Text 佐藤貴子(ことばデザイン)

 


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