最近どうも調子が上がらない。自分自身で身体を調える方法を身につけたい…。そんな方におすすめなのが、東洋医学をベースに、季節の食養生×ヨガを学ぶC’s kitchen(シーズキッチン)のスペシャルセミナー。

夏に行われた第1回に続き、営養薬膳大師・古月オーナーシェフの山中一男先生と、HAS YOGA髙橋ちひろ先生のコラボレーションセミナーレポートと、暮らしに役立つ食養生レシピ、今すぐできるヨガポーズをご紹介します。

【食養生×ヨガ】東洋の叡智で身体をキレイに!秋編

講義1:秋の不調はこれでケア!家庭でできる東洋医学的養生法 料理2:営養薬膳大師・山中一男先生の秋の食養生レシピ ヨガ3:心を整える呼吸法&ダイニングでお手軽椅子ヨガ

 


秋に特別いたわりたい、身体の大切な部分とは?

ところで、みなさんにとって秋はどんな季節ですか? 食欲が出て食べすぎてしまうのはいつものことかもしれませんが、今の季節(晩秋)の身体の不調として、喉を痛めたり、肌がカサついてくる…、という経験は誰しもあるかと思います。

この現象を東洋医学の観点から見てみると、秋は大気が乾燥する季節。そして、身体までも乾燥させないように、体を潤す食材で養生する必要があります。では、その要となる臓器はどこでしょうか? 答えは、です。

肺

実は、「肺は、呼吸を通して唯一空気に触れる臓器。そのため外気の影響を受けやすく、空気の乾燥するこの時期は、最も肺に気をつけなければいけません」と山中先生。「乾燥した空気を直接受け止め、肺に通じている鼻やのどを痛めないためには、肺を潤すことが何より必要」なのだそう。

また、肺の調子は肌や体毛にも現れます。肺が正常な働きをしていれば、肌のキメは整い潤いますが、肺に異変が起きると、肌は荒れて乾燥し、酷くなるとかゆみや汗の異常までも。そうなると感染症などにもかかりやすく、風邪もひきやすい状態になってしまいます。

さらに、それだけではありません。肺は体液の代謝とも密接な関係があり、大腸にも影響を及ぼします。不調になれば、便秘などの症状を引き起こし、これもまた肌荒れの原因に…。
では、どんな食養生と身体のケアをすれば、肺を健やかに保ち、秋を快適に過ごせるのでしょうか?

山中先生の講義風景
山中先生の講義では、季節の食養生の心得だけでなく、その基本となる陰陽五行説の考え方も学びます。

 

肺を潤し、きめ細やかな肌と巡りのいい身体をつくる

まず、「食養生の観点から見ると、秋は次の3つの食品群から積極的に食材を選んで食べることが大切」と山中先生。

(1)大気の乾燥に対して肺を潤し、機能を強化させる食品
(2)造血作用があり、肺を滋養する食品
(3)消炎解毒作用があり、アレルギーを抑える食品

※クリックで食品群へ移動

例えば、美肌をめざすなら①×②、かゆみやアレルギー反応が出ているようなら③から選ぶなど、目的に合わせて食材を選びます。次のページでご紹介する山中先生のレシピも、この食品群をベースに考えられたものです。

また、食材にはそれぞれ身体を冷やしたり、温めたりする効果ありますが、ほてりやすい人は身体を冷やす食材、冷えやすい人は温める食材を選択すれば、より自分のコンディションを整えることができるそう。

また、「呼吸とともに清気を体内に引き込み、濁気を排出する」というのが漢方理論による肺の機能。これは、呼吸によってエネルギーを取り入れるという、ヨガの思想とも合致しています。

そこで、山中先生の食養生講義に続く、髙橋先生のヨガセミナーでは、呼吸法によって身体をケアする方法を実践。
チーン…と響きわたるティンシャ(ヨガ用の鐘)を合図に、呼吸のリズムに合わせて体を動かしてみると、日常いかに体の動きに引っ張られて呼吸をしているか、ということに気づかされます。

では、どうすれば自分自身をケアする呼吸ができるのでしょうか?

ヨガの考え方を日常生活の視点からわかりやすく説明する髙橋先生。 「吐くor吸う息が訪れてから身体を動かす」ことが今回のヨガレッスンのポイントです。

呼吸を味わう

その方法のひとつが「呼吸を味わう」ということ。その理由は「呼吸は心身を整えるだけでなく、呼吸を意識することが、自分の内面を意識することでもあるからです」と髙橋先生。

実はこれこそが、ヨガの狙い。「大きな自然を大宇宙と捉えるなら、体内には小宇宙があるというのがヨガの考え方。ヨガに慣れてくるうちに、呼吸を通じて自分が宇宙の一部だという意識を持つことができる」という思想がそのベースにはあります。

そして、もうひとつ心がけたいのが「ちょうどいい立ち位置から自分を見守る」ということ。自分にはまり込むのではなく、客観的な視点で自分と対峙することは、心の平安を得ることにもつながります。

大極図

東洋医学には「陰陽説」、すなわち「万物は陰と陽の性質を合わせ持ち、陰極まれば陽生きる。ピークを迎えると別の性格に転化する」という思想がありますが、自分自身を一方向からではなく、別の角度から見るためには、髙橋先生の言う「ちょうどよい立ち位置」にポジションを取ることが大切です。

いつもは意識しない呼吸を意識することは、その一助となる行為。また、陰陽合わせもった自分の実体を見ることができるのかもしれませんね。

●滋陰潤肺・養肺(じいんじゅんぱい・ようはい)

(1)大気の乾燥に対して肺を潤し、機能を強化させる食品

寒涼性(身体を冷やす食べもの)
カリフラワー、クレソン、大根、ハトムギ、キヌガサタケ、イワタケ、テングサ、梅花、くちなしの花、ハイビスカス、レモン、ナシ、枇杷、柿、イチジク、羅漢果、バナナ、ドラゴンフルーツ

平性(体温に影響を及ぼさない食べもの)
ユリ根山芋、落花生、カシューナッツ、銀杏、アーモンド、白キクラゲキクラゲ、みかん、カリン、クコ、パッションフルーツ、クラゲナマコ燕の巣、鶏卵、牛乳、ヨーグルト

温熱性(身体を温め、血の巡りをよくする食べもの)
エゴマの葉、ミョウガ、ふきのとう、クルミ、杏仁金木犀の花、こぶしの花、桃、杏、ナツメ

ハイビスカスハイビスカス
お茶におすすめ
羅漢果(らかんか)羅漢果(らかんか)
天然甘味料
白キクラゲ白キクラゲ
シロップ漬に

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●養血(ようけつ)

(2)造血作用があり、肺を滋養する食品

ホウレンソウ、春菊、空芯菜、ナツメ竜眼、人参、ぶどう、レイシ、桑の実、クコ、落花生、黒豆、松の実、ごま、タコ、豚肉、鹿肉、牛肉、豚肉、豚足、鳩、アヒル、ウズラの卵、タラ、鰯、マグロ、鮭、マナガツオ、イカ、すっぽん、ナマコ、カニ、牡蠣

棗(ナツメ)棗(ナツメ
お茶や煮込みに
松の実松の実
担々麺やサラダに
クコクコ
料理の彩りに

●祛風(きょふう)

(3)消炎解毒作用があり、アレルギーやかゆみを抑える食品

寒涼性(身体を冷やす食べもの)
セロリ、明日葉、オレガノ、薄荷、おぎょう、ごぼう、金糸瓜、へちま、緑豆ハトムギ、菊、スミレ、スイカズラ(特にアレルギーに強い)

緑豆(りょくとう)緑豆(りょくとう)
煮込んでお汁粉に
ハトムギハトムギ
お粥におすすめ
菊
お茶に入れて

さて、続くページは実践編。これらの食材を使った、秋の食養生レシピをご紹介します!

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営養薬膳大師・山中先生

 

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TEXT 吉谷環
PHOTO 小杉勉 ILLUSTRATION Shutterstock