一日三度の食事の中でも、圧倒的に外食率が高まるランチ。その一食に中華料理への愛を託し、お昼に食べた中華を語るという、80C(ハオチー)のFacebookランチレポートが「ひる中華」です。
そこで頂戴した「いいね!」とコメント、シェア、リーチ数をポイントに換算にして、1月16日~2月14日に掲載したひる中華ベスト8を算出したのが当コーナー。さて、いつも応援してくださっている中華のプロや食いしん坊の皆様が「いいね!」と思ったランチとは…?
末広町「四川史菜 彩芳」の本日のランチ800円
665ポイント
開店同時に訪れたい、上野路地裏の幻の店
上野界隈で食べログのポイントが高い店といえばここ。ランチ営業は月火木金のみで、営業時間が極めて短く、夜は要予約。11:30オープンということで行ってみたところ、11:50ですでに入店待ち、席について料理を待つ間、12:10頃にオーダー終了!という、狙い撃ち必至のランチがまず8位にランクイン。
オーダーは3品の料理から2品が選べるスタイル。麻婆豆腐と芹黄鶏丁(セロリ、たけのこ、鶏肉炒め)を選択でしてみたところ。麻婆は最初にラー油の辛さを感じるものの、砕いた豆腐と挽き肉がよくまとまって優しさも感じる味です。
一方、芹黄鶏丁もピリ辛なものの、辛味に慣れた口の中をセロリがさっぱりとさせてくれる爽やかな一品。たくさん食べたい時にはちょっと物足りないくらいの量ですが、かえって満腹感より口福感のほうが残る分量もといえます。2人卓×5+カウンター2席という席数なので、お出かけの際には開店同時の入店を狙ってどうぞ。
赤坂「四川DINING 望蜀瀘」の茹で鶏肉の辛ソースかけ880円
708ポイント
麻辣にむせながら、春眠から覚醒するランチ体験を
7位は、昼も夜も容赦なく、麻辣味&赤い色の料理がずらりと並ぶ、赤坂見附前の人気四川料理店のランチです。
茹で鶏肉の辛ソースとは、いわゆる「口水鶏(よだれ鶏)」のこと。大量に振りかけられたゴマとピーナッツに目を奪われ、香ばしそう…などとうっとりしながらひと口食べると、途端に粉唐辛子と花椒粉の強烈な麻辣が襲いかかってきます。
身は引き締まり、少しコリコリした部分を残したゆで鶏に、たっぷりかかった油断のならない旨辛だれ。突き刺さるようなキュウリのカットも、辛さ注意を促しているかのよう。がっつり麻辣を楽しみたい気分の時にぜひ。
丸の内「Cantonese 燕 Ken Takase」のランチコース麗燕
3800円(サ別)788ポイント
とことん軽やか!コンセプチュアルな広東料理
6位は“健康×広東”をコンセプトにした、ホテル中華のランチがランクイン。料理長は、マンダリンオリエンタルホテル東京の中国料理店「センス」の初代料理長を務めた高瀬健一さんです。
オーダーした「麗燕」は、ベジタリアン向けコースを除くと、最も低価格なランチコース。この日は野菜の前菜、点心、5種類の大根入りスープ(写真左下)、イカとレタスの湯引き、ナスの肉詰めトウチソース、アマランサス入り炒飯、3種類の柑橘とローヤルゼリーが入ったマンゴーココナツミルク(写真右下)の7皿で構成。鉄鍋香や油臭さとは対極にある世界観で、少量多品目の食材を組み合わせ、至極軽やかに仕立てられていました。
和食にいろんなジャンルがあるように、中国料理にも専門分野があるというもの。その一分野に光を当て、ここまで突き詰めて出す勇気ある店は稀少。また、それを食べ手に理解してもらうための料理解説もしっかりしていましたね。
場所は東京ステーションホテル地下1階。店内はブース席が多く、ラウンジのような雰囲気なので、2人以上でどうぞ。
赤坂見附「陳麻婆豆腐 赤坂店」の本場四川省のエビチリ1050円 846ポイント
麻婆の本家はエビチリもひと味違う
5位は、四川省成都市に本店を構える、麻婆豆腐発祥の店の日本支店より、エビチリのランチがランクイン。ここに来たら、なにはなくとも麻婆豆腐をオーダーしてしまいそうになりますが、メニュー名にあった“本場四川省”の文字に惹かれて今回はエビチリに着地。
なんとなく辛そうな先入観がありましたが、細かい挽き肉をゆるく留めた餡には、意外なほど辛くありません。目に見える長ネギや泡辣椒(パオラージャオ:唐辛子の漬物)より、しっかりした味を主張しているのは粗微塵の生姜の辛さ。
エビチリは一般的に“干焼蝦仁”と表記されますが、こちらは薬味+泡辣椒+醤油、砂糖、酢で甘辛酸のバランスをとった“魚香蝦仁”と表現したい一品でした。
渋谷「ベルサイユの火鍋城」のベルサイユ火鍋ランチ(ラム肉)
1000円 898ポイント
宝塚ファンのオーナーが開いた華麗なる火鍋城
4位は、渋谷の道玄坂界隈にある、度肝を抜く店名の火鍋ランチがランクイン。なぜベルサイユと火鍋…と突っ込みを入れずにはいられませんが、オーナーが北京在住経験のある宝塚ファン、というのがその理由です。
火鍋ランチは、マーラー湯&白湯(パイタン)の鴛鴦鍋(2種類のスープが入れられる鍋)スタイル。一人火鍋の場合、固形燃料で温めるお店が少なくない中、カセットコンロを使って熱々の状態で食べられるのも嬉しいところ。
具はよく見て見ると、羊肉は肉と脂肪の紅白、白っぽい野菜の中に鍋の具とは思えない赤いプチトマト1つ、デザートのライチは皮と身で紅白…とどこまでも紅白を追求しているように見えてくるのは思い込みでしょうか。スープもしっかりしており、鍋の中には各種香辛具材が煮立ち舞い。マーラー湯では華麗にシビレることができます。
銀座「黒猫夜 銀座店」の今週の黒猫昼(滷味油鶏飯:香味蒸し鶏の土鍋御飯)890円→ランチオープン記念500円 985ポイント
どこか郷愁をそそる、熱々土鍋ごはんランチ
肩を寄せ合うようにして食べる赤坂店、カウンター、テーブル、半二階席それぞれの空間が楽しめる六本木店に続いて、銀座店がオープンした黒猫夜。ランチ営業は赤坂と銀座のみで、その名も“黒猫昼”です。
内容は赤坂店同様、現在のところ週替わりで土鍋ごはんを提供。この日の滷味油鶏飯は、八角等の香辛料を煮込んだ滷水(ロウシュイ)で味付けした鶏肉がドーンと乗っかり、脇を酸菜、椎茸、チンゲン菜が固めたナイスビジュアル。
食べる前に別添の甘醤油をジューッとかけ、ビビンバのようにかき混ぜてから食べるのがこの店おすすめの食べ方。中国気分を盛り上げる独特の甘さと香り、おこげになったジャスミンライスに、どことなく郷愁を覚えるのは、きっと私だけではないはずです。
亀戸「東京大排档(とうきょうだいぱいたん)」のランチバイキング(ドリンクバー付)1200円 1034ポイント
身も心も中国大陸に滞在している気分を満喫
東京東部のディープゾーン、亀戸の知る人ぞ知る有名店「東京大排档(とうきょうだいぱいたん)」は、店内に一歩入って感じる臭いが、すでに中国現地な店。言うなれば、10年前の中国旅行の団体ツアーで連れて行かれるランチの店…という感じでしょうか。
500席あるというフロアには、日本で定番の麻婆豆腐、エビチリ、小籠包や、中国人向けとも見えるゆでた鶏足、オーダー後にゆでる刀削麺のサービスなど、全種類制覇できないくらい料理がずらり。
中国歌謡の流れる中、あれこれつまんでいると突然の停電で照明も音楽も止まり真っ暗に。しかし、誰一人騒がないあたりに「そんなところまで中国現地感を演出しているのか…」と思えてしまうリアル中国です。
味も雰囲気も現地っぽいので、好き嫌いは分かれそう。とにかくお腹いっぱい食べたい人、中国滞在経験のある人は楽しめるはずです。
新宿御苑前「礼華(らいか)」の牛肉焼きそば1000円
1113ポイント
リピートしたくなる、ゆるぎなき定番料理
今月の1位は、3月で開業10周年を迎えた「礼華(らいか)」の定番ランチより、牛肉焼きそばでした!
こちらは牛肉、筍、白菜&ター菜を、オイスター風味の甘く香ばしい餡でまとめ、ところどころこんがり焼けた蒸し麺に絡めていただく一品。日本人シェフが作り出すキレイな味でありながら、しっかりとしたコク、デラッとした仕上がり、ほのかに立ちのぼる香味油など、中国料理ならではの醍醐味が楽しめます。
青山店にも同じメニューがありますが、比較すると青山が軽やか、御苑はしっかりこってり。好みはそれぞれでしょうが、いずれも定番メニューとして揺るぎなく、無条件にリピートしたくなる――、そんな味がここにあります。
さて、今回のひる中華ランキングはいかがでしたでしょうか?日本だからこそ体験し得る、中華の幅広さ、奥深さを感じさせるラインナップになっていたのではないかと思います。では、来月もどうかご愛読を!
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「ひる中華」は、80Cスタッフがランチに食べた中華料理を、Facebookで連日レポートしています。おひる前のお腹が空きそうな時間に更新していますので、中華画像を見ながら、食べたい中華・好みの中華を見つけていただけたら幸いです。みなさまも、どうかお近くにある気になる中華料理店のランチがあったら、ぜひ編集部までお寄せくださいね。
ポイントの算出方法
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Photo & Reserch 小杉勉、佐藤貴子(ことばデザイン)
Text 佐藤貴子(ことばデザイン)