一日三度の食事の中でも、圧倒的に外食率が高まるランチ。その一食に中華料理への愛を託し、お昼に食べた中華を語る80C(ハオチー)のFacebookランチレポートが「ひる中華」です。
2016年上半期は、2015年12月17日~2016年6月30日の半年間に紹介した延べ58軒の中から、Facebookのリーチベスト8をランキング。みなさんがチェックしているあの店は、果たしてランクインしているでしょうか?
中央区銀座「家全七福酒家 SEVENTH SON 銀座店」の飲茶。
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銀座でとっておきの飲茶スポットが2015年で惜しくも閉店!
8位は香港「福臨門」のオーナー兄弟が営む広東料理店。丁寧に作られた料理、ゆったりとテーブルが配された空間、上質な食器…と、贅沢なひと時を過ごせたこちらの店ですが、2015年末に惜しくも閉店。
振り返ってみれば、東京都内で、この店ほど充実した飲茶ができる店はそうなかったでしょう。ふたを開けるや、湯気の香しさに頬が緩む「フカヒレ入りスープ餃子」や、香港の店より香ばしく感じた「白玉入りクルミの温かいスープ」、定番の「エビ餃子」など、一品一品のクオリティの高さが思い出されます。
その後銀座店のスタッフは他店に移動した方もいれば、大ベテランながらお辞めになった方も。現在東京は丸の内店のみとなりましたが、ここでの想い出は永遠です。
新宿区百人町「居酒屋 三和(みつわ)」の燴面800円
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中国十大麺に数えられる、河南燴面(フーナンフィミェン)とは?
7位は河南省鄭州出身の方が営む“居酒屋”がランクイン。なんとこちら、中国十大麺の河南燴面(フーナンフィミェン)が食べられる店。
麺は幅広、厚みもかなりのもので、その食感は“すする”というより“食べる”と表現する方がふさわしい感じ。端の薄い部分はワンタンの皮のようですが、厚い部分は、おでんだねでおなじみ「ちくわぶ」を圧縮したような食感です。
スープは牛肉・ラム・味噌・坦坦・塩からチョイス可能。現地では羊骨スープで作られているようですので、まずは現地風からトライしてみては。
福岡市中央区「広東料理 session」のランチコースInterplay(インタープレイ)2160円 4267リーチ
上湯、地場産中国野菜、焼味! 広東料理の新生、福岡に現る
6位は2015年秋にオープンした福岡の広東料理店がランクイン。金華ハム、豚ロース、丸鶏などの素材でとった上湯(ショントン:スープ)と、九州の契約農家から仕入れる中国野菜、本格的な窯で焼く焼味(シュウメイ:肉類のロースト)という、中華好きなら食指が動くコンセプトの店です。
しかも焼味は、外苑前「楽記」をオープン時から支えた焼物師・名田さんが窯焼きを指導した点も注目ポイント。ランチは1080円(税込)~で、前菜より先に上湯が登場するのは同店のこだわり。気になる焼味が含まれるコースは2160円~。ここに来たら、皮付き豚バラ肉をはじめ、窯で焼いた“焼味”のおいしさを味わってほしいですね。
港区麻布十番「中國菜・老四川 飄香(ピャオシャン)麻布十番本店」の農家楽(ノンジャーラー)ランチセット1200円 4635リーチ
味よし、香りよし、雰囲気よし!毎月通いたい、充実の農家楽ランチ
5位はNHK「あさイチ」でもおなじみ、四川料理の巨匠・井桁良樹シェフ率いる「飄香」本店がランクイン。同店の農家楽(ノンジャーラ―)ランチは、四川省成都市郊外で楽しむ田舎料理をイメージした月替わりのメニューで、常時6種類をラインナップ。
内容は前菜4品、メイン、スープ、ごはんがついて1200円ですが、キチンとしていてありきたりでなく、金額もお手頃で、店の雰囲気もよいため「軽くおごる」なんて時にはぴったりかと。
写真(大)は「カリフラワーとラム肉のスパイシークミン炒め」。席に運ばれるや、鼻腔を刺激する“辛旨”な香りが、料理への集中力を高めてくれ、むっちりとした肉を噛み噛みにしていると、ジワリと自己の野生が目覚めるようです。
目黒区東山「JASMINE 憶江南(イージィアンナン)」のランチコース水仙花2500円+α 5383リーチ
中目黒の一軒家で中国江南料理に舌鼓。おすすめは”獅子頭”!
4位は2016年3月下旬にオープンした、中目黒エリアの一軒家中華。中華好きにはおなじみ「JASMINE 広尾本店」、日本橋「JASMINE 口福厨房」の姉妹店になります。
ランチは麺飯系が1000円から、コースは2500円からで、おすすめはコース。ゆったりとした雰囲気と、アルコールも含むファーストドリンク付きなのとで、ランチミーティングや、おしゃべりしたい友人と集うのにちょうどいい感じなのです。
料理の一押しは「大きな肉団子 伝統的な上海醤油煮込み」こと獅子頭(シーズートウ)。口に入れればふわりと崩れ、口中に肉汁が溢れ出す、その食感と風味を味わって。
港区西麻布「麻布長江 香福筵」のランチコース3780円
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中華に詳しい人もそうでない人も、それぞれに楽しめる創作性
3位は四川料理と台湾料理をベースに料理を再構築し、今ここにしかない中国料理を提案する「麻布長江 香福筵」がランクイン。
同店田村シェフの料理は、中華を勉強した人にとってはその発想を紐解くのが楽しく、特段中華に興味がない方には「これが中華?」と純粋に料理を楽しんでもらえること請け合い。
お皿も含めた造形力、味のメリハリ、食感の差、アクセントの付け方など、ワンパターンに陥らず、誰もが知っている料理とそうでもない料理を組み合わせ、最後まで楽しませてくれる構成力はさすがです。
実は友人たちから「ここ行ってみたい」と言われることの多い店。料理を気持ちよく楽しませてくれる、心地よいサービスも魅力です。
世田谷区世田谷「鹿港(ルーガン)」の肉まん160円
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台湾の名店「阿振肉包 振味珍」から受け継ぐ包子を世田谷で味わう
2位は軽食の肉まんがランクイン。こちらは台湾中西部、彰化市鹿港鎮にある肉包の有名店「阿振肉包 振味珍」で2年間修行された方が開いた店。
伝わりますか?このパアンと張った生地。触れれば低反発枕のようで、押すと絶妙な弾力を感じながらむうぅぅと沈み、またむぅぅぅと元に戻る。噛めば歯切れがよくて、ほんのり甘い。
そんな生地が包んでいるのは、粗挽きで、ねぎの風味と胡椒が効いた肉肉しい餡。いわゆるジューシーな餡ではなく、肉粒の旨みを生地で包んでいるようです。
発送や持ちかえりもできますが、一番のおすすめはその場で買い食い。東急世田谷線世田谷駅の近くという、住民以外はなかなか立ち寄らない場所ですが、肉まんのために行く価値あります。
文京区千駄木「天外天」の汁なし担々麺(陳風)1300円
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伝統の汁無し担々麺。陳風、王風、どちらがお好き?
そして2016年上半期の「ひる中華」1位は、「天外天」の汁なし担々麺(陳風)でした!
実はこちら“陳風”と“王風”、2種類の汁無し担々麺が選べる店。前者は黒酢の効いた辛い味付けに自家製の卵麺。後者は甜麺醤ベースの甘辛い味付けに、短く切り揃えられた卵麺で、あの陳建民さんから継承した味です。
深い焦げ茶の和えだれはかなり辛味が効いていて、麺は細かに唐辛子粉をまとい、辣油もしっかり。さらに黒酢の風味もあって、なかなかパンチのある味わい。
その旨みの決め手は、表面がカリカリに焼かれた肉粒です。これが挽き肉ではなく粒状にカットされており、みしっと噛み締めると、香料のしみた肉の旨みがじわり。
たれと肉はたっぷり分量があるので、麺に絡みきれないぶんは花巻(こだわりの自家製老麺式!要注文)に乗せて最後まで楽しみましょう。
さて、2016年上半期の「ひる中華ランキング」はいかがでしでしょうか?
今回は相対的にランチコースの反響が高かった一方で、麺のみ、肉まんのみという、潔い味も注目されました。セットや定食であれこれ食べるよりも、こだわりの一品が魅力的に映ったのかもしれません。7月以降は冷やし麺も注目したいところです。
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「ひる中華」は、80Cスタッフがランチに食べた中華料理を、Facebookでウィークデーに連日レポートしています。ひるどきに更新していますので、こちらで食べたい中華、好みの中華を見つけていただけたら幸いです。みなさまも、どうかお近くにある気になる中華料理店のランチがあったら、編集部までお寄せください。
Photo & Reserch 小杉勉、佐藤貴子
Text 佐藤貴子