皮蛋

表記   :皮蛋
日本語読み:ぴーたん
北京語読み:ピー ダン
発音記号 :pí dàn
簡体字  :皮蛋

鳥の卵を熟成して作る中国食材。白身は半透明黒色のゼリー状であり、黄身はグレーとこげ茶の中間のような色をしている。そのほとんどはアヒルの卵で作られるが、うずら、ニワトリ等の卵でも作られる。

うずらピータン
ひと口サイズのうずらピータン

 

【製法・原料】

卵の表面に、塩、草木灰、水と土を混ぜた泥を塗り、もみ殻をまぶして甕の中に入れる。1ヶ月~1年くらい貯蔵すると、アルカリ成分の作用でタンパク質が凝固してピータンとなる。

もみがら付きピータン

『中国食物事典』(1991年 柴田書店刊)によると、「水の中に、紅茶、塩、木灰を入れ煮立てた中に、他の材料を加えて混合し、薬液を作り、冷えたところに鴨蛋を入れ、20℃から24℃の温度の所で35日から40日ぐらい熟成する。
これに粘土をこねたものをまぶし、粘着防止のためにモミガラをまぶし保存する」とできる、とある。鴨蛋とはアヒルの卵のこと。

 

【品質・種類】

泥に混ぜる材料の種類と配合、熟成期間、温度によって異なり、同一地方でも異なった製法がある。

また、産地や製法によって「北京皮蛋」「湖南皮蛋」「山東皮蛋」「滾粉皮蛋(生石灰を用いて1か月ほどでできる。主に中国の家庭で作られる)」「五香皮蛋(湖南皮蛋をベースに、ウイキョウ、陳皮、桂皮、丁香などを加える)」などがある。また、ウルムチ、トルハン等のシルクロード地帯では水が少なく、アヒルの飼育が難しいため、鶏卵で作られている。

しかし、日本で食す分にはそこまでバリエーションがなく、食感で大別した、黄身の硬い「硬心」と、黄身の軟らかい「軟心(糖心)」に二分されるといっていい。比較すると「硬心」は製造時にアルカリ分が多く塩は多め、「軟心(糖心)」はその逆となる。

硬心
硬心
軟心
軟心

【歴史】

『中国食物事典』によると「唐代(618年-690年、705年-907年)からあったと書いた本もあるが、証明できる記録などは今のところない。書いたもので見られる最初のものは、明末の戴義の『養余月令』(1633)である。」とある。

【呼称】

松花皮蛋、菊花皮蛋、変蛋、彩蛋、泥蛋という呼び名もある。松花皮蛋、菊花皮蛋という呼び名の由来はさまざまあるが、皮蛋の白身の部分に、松葉もしくは菊の花のような模様が入るから、というのが最も通っている理由と思われる。

松花皮蛋
松花皮蛋

 

【主な使用法:日本】

前菜、中でも冷菜として使われることが多い。櫛形にカットし、千切りの生姜など薬味を添えるのが最も手軽な食べ方。細かく刻んだピータンを薬味やタレと和え、豆腐にのせた「皮蛋豆腐」も人気がある。また、宴会料理ではピータンの切り口の模様を鳳凰の羽に見立てて盛り付けた「鳳凰拼盤(フォン フゥァン ピン シュェン )」が有名。

鳳凰ピータンの前菜
鳳凰拼盤(fèng huáng pīn xuán)

 

【主な使用法:中国】

北京ではカットした皮蛋に生姜と酢を添えた冷菜が好まれ、上海では「皮蛋豆腐」が好まれる。香港、広州地方の飲茶店では「皮蛋瘦肉粥」(皮蛋と豚肉のおかゆ)なども定番で、外資系ファーストフード店のメニューにもなっている。

鳳凰ピータンの前菜

鳳凰ピータンの前菜
カーネルおじさんもびっくり、ケンタッキーフライドチキンのピータン粥

【関連項目】

最も気持ち悪い食べもの

黒く変色した見た目から、英語ではcentury egg(百年たったタマゴ)と呼ばれている。2011年6月に、アメリカ合衆国のニュース専門放送局CNNが選んだ「最も気持ち悪い食べもの」のトップに選ばれ、中国の最大のタマゴ加工製品会社、湖北神丹健康食品有限公司が抗議し、謝罪を求めるということがあった。

バーミヤン、皮蛋で中高年客を取り戻す

日本でも好き嫌いの分かれる食品ではあるが、中国料理レストランチェーン「バーミヤン」でメニューから皮蛋とクラゲを外した際に、50~60代の顧客が激減してしまったため、再びメニューに戻したところ、以前の状況に復活したという、同世代の客層には絶大な人気を誇る前菜の定番でもある。
>>第1回「中華好き人口を増やす会」vol.6にその詳細を掲載

ピータン甕

優木まおみのお宝

テレビ東京の『開運!なんでも鑑定団』にゲスト出演したタレントの優木まおみさんの持ってきたお宝がピータンを作る際に入れる甕で、30,000円と鑑定された。ちなみに優木さんの実家は中国料理店である。
東京・中央区の中華食材店「日本橋古樹軒」で、同じピータンの甕(写真右)が傘立てとして使われているのを見ることができる。

 

毒ピータン事件

2013年6月17日、シンガポール華字紙・聯合早報より、中国江西省南昌県でピータン製造に工業用硫酸銅が使われていた疑いが強まり、16日、国家食品薬品監督管理総局がメーカーと製品の検査を開始したとの報道があった。製造期間を短縮するため、一部の加工場で硫酸銅を混ぜていたという。大変残念なニュースである。

【レシピ紹介】

腐乳皮蛋豆腐(ピータン豆腐の特製腐乳ソースかけ)
皮蛋豆腐(変わりピータン豆腐 海鮮のせ)
皮蛋麻婆豆腐(ピータン入り創作マーボードーフ)
皮蛋凍豆腐(野菜色々のピータン豆腐)
油淋台湾皮蛋(桃の木式 揚げピータンユーリンソース)
鵝肝皮蛋(フォアグラとピータンの前菜)
焼青椒醤皮蛋(とろとろピータンの青唐辛子のピリ辛ソースのせ)
油膏皮蛋沙律(皮蛋とちばまる(里芋)と山菜の台湾風サラダ)

【脚注・出典・参考書籍】

維基百科「皮蛋」(wikipedia 中国語版)
CNN
中国の皮蛋メーカーによる抗議声明(全文掲載)
『中国食物事典』(1991年 柴田書店刊行 田中静一編著)


Research: Xiao Shan-Mian & Chuka Lovers(シャオ・シャンミェンと中華ラバーズ)
最終更新日:2013年6月19日