台湾旅行で役立てよう!台湾の自助餐に欠かせない「素食」の基礎知識

台湾の街中には、店頭や店内にずらりと並ぶ惣菜から、自分の食べたいものを選び、重さを量って精算する「自助餐」のお弁当屋さんがあります。こうした店で特に印象的なのは、素食専門の自助餐があることです。

台湾の素食の店。Photo by Yuka

台湾の素食とは、簡単にいうと肉や魚、葱など匂いの強い香味野菜を使わない精進料理のこと。台湾の友人たちに自助餐について聞いていると、必ずといっていいほど素食の話が出ますし、ベジタリアンではない台北在住の友人も「会社近くの素食の自助餐、選択肢が多いからよく行きますよ」と、非常に身近な存在であることがうかがえます。

台湾の素食の店。おかずはすべてベジです。Photo by Yuka

日本で精進料理というと、素材を生かしたあっさりとした料理が多い印象がありますが、台湾の素食は、肉や魚も食べたい気持ちがあるように見える“もどき料理”が充実しているのも特徴のひとつ。

言い換えれば、台湾ではベジタリアンではない人も、素食主義の友人との食事には困らない環境があるともいえます。また「今日は、肉や魚、卵などを控えて野菜をたくさん食べよう」というときに、素食の店を選ぶことだってできるのです。

台湾の航空会社「チャイナ エアライン(中華航空)」のオリエンタルベジ(台湾素食)機内食。Photo by Takako Sato(2023年6月)

台湾で素食を選ぶそれぞれの事情

では、台湾ではどういうときに素食を選ぶことが多いのでしょうか。その多くは宗教が関係してきます。例えば、初一十五吃素といって、農歴の1日と15日はお寺に参拝をしたり、素食を食べるという習慣の方がいます。日本においても、この習慣を理由に、私は在日台湾人の方と会う日を改めたことがあります。

宗教によっては完全素食もあり、例えば「一貫道」は一切肉食が禁じられています。一方、宗教が理由でない場合は、地球環境のために週1で素食という方も。いずれにせよ、台湾の素食は日常の食の延長線上にあり、ヴィーガンやベジタリアンとはちょっと異なる考え方です。

定義づけるのは難しいのですが、レストランやおみやげの表記などでもよく見る「素食」。こちらに台湾素食の考え方を記しておきますので、必要なときにいつか思い出してもらえたら幸いです。

台湾の「素」の考え方
[全素・純素]肉・魚・乳製品・卵・五葷(ネギ・ニラ・ニンニク・タマネギ・ラッキョウ)を抜く
[五辛素]肉・魚・乳製品・卵を抜く。五葷はOK
[蛋奶素]肉・魚を抜く。乳製品・卵はOK
[鍋邊素・方便素]肉や魚を出す店で、野菜だけ食べる。同じ鍋で調理していてもOK
[海鮮素]魚はOK。肉は抜く

※考え方の違いによって、少し内容が異なる可能性もあります。ご承知おきください。

参考資料
蝦品輯「素食種類大解析!五辛素/蛋奶素/鍋邊素/方便素/全素食差別總整理!」

記事でご紹介したお店

温禾(おんか)台湾食堂
東京都千代田区神田須田町1-10-1 Ys須田町ビル 1-2F(MAP
※丸ノ内線淡路町駅・都営新宿線小川町駅(A1出口から徒歩約1分)
営業時間 11:00-15:00 17:00-20:30
日曜定休
instagram https://www.instagram.com/onkatw.jp/
X(Twitter)https://twitter.com/onkatwjp


TEXT&PHOTO:はっしー
学生時代に中華圏の近代史を学び、中華POPSを愛聴。上海および香港在住を経て、現在は日本在住。中華料理は食べる専門だったのが、作るほうにも目を向けるようになったのはここ数年。上海界隈から南の沿岸部、香港、マカオ、台湾の味が好み。>過去記事はこちら