寒さが厳しく、身体の冷えやすい冬は、なんだか身も心も縮みがち。つい、活動することがおっくうになってしまうこともあるのでは…。
そこで、今回のC’s kitchen(シーズキッチン)スペシャルセミナーでは、冬でも暖かい身体で伸びやかに過ごすための“養生のコツ”をご紹介。前回同様、営養薬膳大師・古月オーナーシェフの山中一男先生と、HAS YOGA髙橋ちひろ先生のコラボレーションによる「食の座学×食養生ランチ×ヨガ実践」の3本立てでお送りします。
ここでは前ページの「補腎益精食材」をベースに、家庭でもできる冬の食養生レシピをご紹介。いずれも東洋医学の観点を取り入れた、厳寒の季節におすすめの中国料理です。
小海老と胡桃、黄ニラのピリ辛和え(胡桃拌韮黄蝦)

食材を下処理してたれで和えるという、素材のおいしさを活かした前菜です。中国料理に欠かせない海老と黄ニラは、どちらも補腎益精 (ほじんえきせい=腎の機能を高め、精を補う)。食感を豊かにし、ビタミンEを豊富に含むクルミは散寒(さんかん=寒邪を追い出す)、補陽(ほよう=温めると同時に機能を高める)の働きがあり、冬にぴったりの一品です。
Recipe:小海老と胡桃、黄ニラのピリ辛和え(胡桃拌韮黄蝦)
材料(4人分) |
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むき海老 |
… |
150g |
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クルミ(薄皮なし) |
… |
6個 |
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黄ニラ |
… |
1/2束 |
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ねぎ、しょうが |
… |
適量 |
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調味料 |
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醤油 |
… |
大さじ1 |
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酢 |
… |
大さじ1 |
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ごま油 |
… |
小さじ1 |
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ラー油 |
… |
適量(お好みで) |
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海老の下味 |
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塩、胡椒、片栗粉 …各少々 |
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卵白 |
… |
適量 |
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手順 |
(1) |
海老の背ワタを除き、塩、酒を加えてもみ(汚れを取るため)、水洗いした後、水気をふき取る。 |
(2) |
(1)に塩、胡椒で下味をつけ、片栗粉と溶いた卵白を絡めて油通しする。家庭では沸騰したお湯で湯通してもよい。 |
(3) |
クルミを素揚げしておく。 |
(4) |
黄ニラをゆでて水気を切り、3cmに切り揃える。 |
(5) |
ネギ、ショウガをみじん切りにする。 |
(6) |
ボウルに海老、黄ニラ、クルミを入れ、ネギ、ショウガ、調味料で和えて盛り付ける。 |
(写真左)クルミは薄皮をむいたものを使用します。皮が付いている場合は、軽くゆでて竹串などで取り除きます。(写真右)ネギとショウガの薬味たっぷりのピリ辛だれ。ラー油の分量は好みで調整してください。
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帆立と銀杏、山芋の炒め(山薬炒扇貝)

帆立、銀杏、山芋の補腎益精 (ほじんえきせい=腎の機能を高め、精を補う)食材3種を使った炒めもの。さらに滋養強壮食材として知られる山芋と銀杏は、固精(こせい=精の流失を抑える)の特質も。絶妙の歯ごたえに加熱した帆立、ホクホクした山芋、プリッとした銀杏の食感バランスも楽しい一品です。
Recipe:帆立と銀杏、山芋の炒め(山薬炒扇貝)
材料(4人分) |
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帆立貝柱(大) |
… |
4個 |
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銀杏 |
… |
12個 |
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長芋 … 6㎝ ネギ、にんにく、ショウガ(みじん切り) |
… |
各少量 |
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水溶き片栗粉 |
… |
大さじ1弱 |
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調味料 |
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豆豉 |
… |
4粒 |
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塩、老酒 |
… |
少々 |
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醤油 |
… |
小さじ1 |
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砂糖 |
… |
小さじ1/5 |
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スープ |
… |
20cc |
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手順 |
(1) |
帆立を半分に切る。 |
(2) |
長芋は皮をむいて1.5cmの厚さに切って下揚げし、銀杏は殻をむき、素揚げする。 |
(3) |
長芋を色づくまで素揚げし、帆立を軽く炒める(※75度のスチームコンベクションオーブンで加熱調理してもよい)。 |
(4) |
鍋に少量の油を加え、ネギ、にんにく、ショウガを炒める。香りが出たらスープを加え、塩、醤油、砂糖、老酒で調味し、最後に刻んだ豆豉(トウチ)を加える |
(5) |
(4)に具材を加えて混ぜ合わせ、最後に水溶き片栗粉を加え、とろみをつけて仕上げる。 |

各素材の色を損なわないよう、豆豉は最後に入れています。豆豉の味とバランスをとるため、砂糖は気持ち多めに入れているのがポイントです。
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鹿肉と里芋の煮込み(紅焼鹿肉芋)

冬の味覚として近年人気の鹿肉は、補腎益精 (ほじんえきせい=腎の機能を高め、精を補う)食材。今回は、脂身をほどよく含み、くせの少ないバラ肉を、補腎益精と活血(かっけつ=血の流れをよくする)の働きを持つ里芋とともに煮込みました。じっくり煮込まれた玉ネギとニンニクの自然な甘みが広がる煮汁も美味。
Recipe:鹿肉と里芋の煮込み(紅焼鹿肉芋)
材料(4人分) |
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鹿バラ肉 |
… |
300g |
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里芋 |
… |
大2個 |
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玉ねぎ |
… |
1/2個 |
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にんにく |
… |
2個 |
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水溶き片栗粉 |
… |
大さじ1 |
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調味料 |
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砂糖 |
… |
大さじ2 |
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スープ |
… |
600cc |
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八角 |
… |
1/2個 |
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塩 |
… |
適量 |
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老酒 |
… |
大さじ3 |
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手順 |
(1) |
鹿肉は鍋で煎り焼いた後、水を加えてゆで、アクを除き、一口大に切る。 |
(2) |
里芋は皮をむいて乱切りし、塩水で表面のぬめりをとり、水気を取り除いた後、素揚げする。 |
(3) |
ざく切りにした玉ねぎ、にんにくを色が付くまで素揚げする。 |
(4) |
鍋に少量の油を加え、砂糖を炒めてカラメル状にしたら、スープ、老酒、八角を加え、鹿、玉ネギ、にんにくを入れて弱火で1時間ふたをせずに煮込む。その後、蒸籠(セイロ)で3時間蒸す。
(※蒸籠のかわりに圧力鍋で煮込んでもいい) |
(5) |
(4)に里芋を加えて30分蒸す。 |
(6) |
(5)から八角を取り出し、鍋にあけて塩で味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつけて仕上げる。 |

玉ねぎやニンニクをしっかり煮込むと、最後には煮汁と渾然一体に。
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鮑とスミイカの中華粥(墨魚鮑片粥)

アワビを丸ごと使った、海の香りに満ちた贅沢粥。アワビ、イカ、クコともに補腎益精の食材で、食べるそばから身体が喜ぶような滋味深い味わいです。
Recipe:鮑とスミイカの中華粥(墨魚鮑片粥)
材料(4人分) |
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洗い米 |
… |
60g |
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水 |
… |
600cc |
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スープ |
… |
100cc |
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アワビ(1個あたり60~80g) |
… |
2個 |
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クコの実 |
… |
適量 |
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スミイカ(別のイカでもOK) |
… |
100~120g |
手順 |
(1) |
アワビは殻付きのまま蒸して薄切りにする。肝は別にとっておく。イカも薄切りにし、飾り包丁を入れておく。 |
(2) |
洗い米、水、スープを鍋に入れて強火で加熱する。沸騰したら弱火にして約50分煮込む。 |
(3) |
(2)にアワビの肝をすりつぶして加え、アワビ、イカを加え、加熱して味を調える。 |
(4) |
器によそい、お湯で戻したクコの実を飾る。 |
(写真左)鮑は2mm程にスライス。(写真右)イカの飾り包丁は、味が絡みやすくなるだけでなく、噛みやすく、食べやすくなります。
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白玉入り松の実汁粉(湯圓松子露)

補腎益精 (ほじんえきせい)の松の実をふんだんに使った、クリーミーで香ばしいお汁粉。温めても冷やしてもおいしくいただけます。
Recipe:白玉入り松の実汁粉(湯圓松子露)
材料(4人分) |
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松の実 |
… |
300g |
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砂糖 |
… |
320g |
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水 |
… |
1リットル |
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牛乳 |
… |
1リットル |
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白玉粉 |
… |
40g |
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ゆで湯 |
… |
適量 |
手順 |
(1) |
松の実、砂糖、水を鍋に入れて加熱し、冷ましておく。 |
(2) |
白玉粉に水を加えて練り、耳たぶくらいの固さになったら丸める。沸騰した湯に入れて、浮かんできたら 冷水に放っておく。 |
(3) |
(4)をフードプロセッサーまたはミキサーで砕き、裏漉しする。 |
(4) |
(3)を火にかけとろみをつけた後、牛乳を加えて温め、(2)を加える。 |
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サンザシとシナモンの養生茶(山楂桂椒茶)

気と血の流れをよくして、寒気を追い払う冬の養生茶。サンザシはバラ科に属し、甘酸っぱく赤い実をつける植物で、乾燥させた実は理気(りき=気の流れをよくする)、活血の生薬として使われるもの。洋菓子でもおなじみのシナモンは、理気・活血に加え散寒の効果も。麻婆豆腐でおなじみの花椒は、補陽・活血の働きがあります。
Recipe:サンザシとシナモンの養生茶(山楂桂椒茶)
材料(4人分) |
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サンザシ(スライス) |
… |
10g |
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シナモン |
… |
2g |
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花椒 |
… |
3粒 |
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黒砂糖 |
… |
お好みで |
手順 |
(1) |
サンザシ、シナモン、花椒をポットに入れてお湯を注ぐ。 |
(2) |
黒砂糖を好みで加える。 |
(写真左)サンザシ[中国語表記=山楂 日本語表記=山査子] (写真中)シナモン[桂皮/肉桂] (写真右)花椒
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さて、いよいよ最後はヨガレッスン。食養生との共通キーワード“生命エネルギー”を高めながら、冬の寒さで固まりがちな身体をときほぐし、身体が芯から温まっていく自分自身をヨガで体感してみましょう。
C’s Kitchenのご紹介

2013年5月にできたC’s Kitchenは、中華食材の専門商社、株式会社中華・高橋が運営する「日本の中華をもっと楽しく」するキッチンスタジオ。
プロユースの厨房施設と開放的なダイニングを揃えており、中国料理と異なるジャンルとの融合から生まれる新しい種(Seeds)の出発点として、今回のようなイベントも随時開催しています。
なお、次回の「食養生×ヨガ」コラボレーションイベントは2014年4月8日(火)に開催予定。「春の食養生」がテーマです。
▼C’s kitchen・イベントに関するお問い合わせ
TEL 03-3820-0030 担当:笠原(株式会社中華・高橋)
>C’s kitchen facebookページ
>C’s kitchen オフィシャルページ
TEXT 吉谷環
PHOTO 佐藤貴子(ことばデザイン)