ナスを菊の花に見立てたごちそう中華

四川省の代表的な調理法「魚香(ユイシャン)」とナスの組み合わせは「魚香茄子(ユイシャンチィェズ)」、日本語で「麻婆茄子」という定番中の定番料理がありますが、そのナスを菊の花に見立て、魚香のソースをかけたのがこちらの料理。
比較的身近な材料で作れる一品ですが、ひと手間かけることで、食感の豊かさとともに華やかさが感じられる、特別感のある料理に仕上がっています。

では、どうやってナスで菊を作るのかというと、切り込みを入れてから揚げて形作ります。そう、魚を丸ごと揚げてつくる、甘酢餡かけと同じ要領ですね。
また、魚香ソースは豆板醤の旨みや辛みの中に、薬味の風味が生々しく香り立っているのが持ち味。気持ち多めの油の中に豆板醤、にんにく、生姜を入れ香りが出るまで炒め、しっかりと薬味の香りを引き出すのがポイントです。

材料を魚香の調味で煮込むのもいいですが、このように揚げ物にかけていただくのも本当に美味。ごはんのおかずにはもちろん、花巻を添えてもおいしく召し上がれます。

 

料理:成毛幸雄(神田 雲林
撮影:2012年10月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:魚香菊花茄子(yú xiāng jú huā qié zǐ / ユィ シャン ジュ ファ チェ ズー)

菊花仕立て 賀茂茄子の魚香ソースがけ


Text 遠藤亜紀
photo 西田伸夫