ナスを菊の花に見立てたごちそう中華
四川省の代表的な調理法「魚香(ユイシャン)」とナスの組み合わせは「魚香茄子(ユイシャンチィェズ)」、日本語で「麻婆茄子」という定番中の定番料理がありますが、そのナスを菊の花に見立て、魚香のソースをかけたのがこちらの料理。
比較的身近な材料で作れる一品ですが、ひと手間かけることで、食感の豊かさとともに華やかさが感じられる、特別感のある料理に仕上がっています。
では、どうやってナスで菊を作るのかというと、切り込みを入れてから揚げて形作ります。そう、魚を丸ごと揚げてつくる、甘酢餡かけと同じ要領ですね。
また、魚香ソースは豆板醤の旨みや辛みの中に、薬味の風味が生々しく香り立っているのが持ち味。気持ち多めの油の中に豆板醤、にんにく、生姜を入れ香りが出るまで炒め、しっかりと薬味の香りを引き出すのがポイントです。
材料を魚香の調味で煮込むのもいいですが、このように揚げ物にかけていただくのも本当に美味。ごはんのおかずにはもちろん、花巻を添えてもおいしく召し上がれます。
菊花仕立て 賀茂茄子の魚香ソースがけの作り方
賀茂ナス…2個 / 塩…適量 / 片栗粉…適量 / ニンニクの芽…30g / 黄パプリカ…30g / 長ねぎ(みじん切り)…50g / しょうが(みじん切り)…大さじ1 / にんにく(みじん切り)…小さじ2 / 豆瓣醤…大さじ1 / 香菜(2cm幅にカット)…適量
泡辣椒
酒醸(ちゅーにゃん)
…大さじ2 / 老酒…大さじ2 / 醤油…大さじ1 / 砂糖…大さじ1.5 / スープ…約130cc / 水溶き片栗粉…適宜 / 黒酢…大さじ1.5 / 酢…大さじ1 / ごま油…小さじ2 / ラー油…大さじ1
1:賀茂ナスは天地を落として半分に切る。格子状になるよう、縦横7mm幅に切り込みを2/3まで入れる。塩をふりかけ10分おく。
2:ニンニクの芽は5mm幅、黄パプリカは5mm角になるように切り、油通しする。
3:鍋に油をなじませ、豆瓣醤、にんにく、しょうがをよく炒める。香りが立ってきたら、長ねぎ、2、Aの調味料を順に加えて沸騰させ、水溶き片栗粉でとろみをつける。黒酢、酢、ごま油、ラー油を加える。
4:賀茂なすの水気をよく絞り、全体が白っぽくなり、切り込んだ溝にも入るよう、片栗粉をまんべんなくまぶす。すぐに180℃の油に投入し、ナスの切り込みが花弁のように広がるよう菜箸で広げ、カリっと香ばしく揚げる。
5:揚げたナスを皿に盛り、3をかけ、香菜を添える。
・片栗粉をまぶしてから時間が経つと、なすが片栗粉を吸い、揚げたときに団子状になってしまいます。片栗粉をまぶしたらすぐに揚げましょう。
・魚香ソースは気持ち多めの油の中に豆板醤、にんにく、生姜を入れ香りが出るまで炒め、焦がさないよう、しっかりと薬味の香りを引き出します。
料理:成毛幸雄(神田 雲林)
撮影:2012年10月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:魚香菊花茄子(yú xiāng jú huā qié zǐ / ユィ シャン ジュ ファ チェ ズー)
Text 遠藤亜紀
photo 西田伸夫