麻婆豆腐といえば、豆板醤で辛さと香りを出し、豆豉(トウチ)でコクを出すのがお決まり。どちらも麻婆豆腐に欠かせない調味料です。
しかし、実は豆板醤やトウチを使わなくても、おいしくて存在感のある麻婆豆腐を作る方法があるんです。

そのステップは3つ。まず、醤油ベースでしっかりと味をつけた角切りの牛肉(醤牛肉)とみじん切りの肉の両方を使い、中華薬味三兄弟(ネギ、ショウガ、ニンニク)に唐辛子粉を加え、加熱して香りとコクを引き出すこと。
次に、中国たまり醤油と日本の醤油を半量ずつ合わせた「あわせ醤油」に、しっかりとした味わいのスープ、そこに少々の砂糖を加えた煮込みスープで豆腐とともに煮込むこと。
そして最後に、ラー油と花椒油麻辣(マーラー)味を演出すること…!これは今までになかった麻婆豆腐へのアプローチ方法ですよね。

この手法で麻婆豆腐を作っている「御田町 桃の木」の小林武志先生曰く、「調味料としてインパクトの強い豆板醤やトウチをあえて使わないことで、各食材の風味が際立ち、雑味がなく、唐辛子の香りと辛さがストレートに味わえ、それでいて清湯スープの上質な旨味がベースとなって一体感のある料理に仕上がります」とのこと。

また、「角切り牛肉を使うことで、豆腐料理でありながらも肉料理とも言える、存在感のある一皿になります」とも。ベースとなるスープの味がしっかりしていれば、唐辛子やラー油、山椒油の量は好みで調整可能。麻婆豆腐の新機軸、まず食してみたい方は「御田町 桃の木」へどうぞ。

料理:小林武志(御田町 桃の木
撮影:2009年4月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:麻婆豆腐(má pó dòu fǔ / マー ポォ ドウ フー)

麻婆豆腐


text 遠藤亜紀
photo 西田伸夫