コンビニのスイーツコーナーでもおなじみの杏仁豆腐。名前のとおり、杏仁(杏の仁、種の核の部分)を使って作られる、中華デザートの定番中の定番です。
そして実は、80C(ハオチー)の運営会社、中華・高橋の中華食材小売店「日本橋 古樹軒」で、この杏仁は隠れたロングセラー。
これを使えば、加工された杏仁パウダー(杏仁霜)や、アーモンドエッセンスなどの香料を使った杏仁豆腐とは、味も香りも異次元クラス。至極清らかな風味の杏仁豆腐ができあがるのです。
そこで今回は、中華料理店でプロも愛用する杏仁の一種、南杏(ナンキョウ)と皇杏(コウキョウ)で作る、本物の杏仁豆腐の作り方をご紹介します。身近なドリンクやスイーツと合わせたアレンジレシピもありますよ。
甘みのある「南杏」と、杏仁豆腐を作るために育てられたエリート杏仁「皇杏(コウキョウ)」

さて、これが杏仁豆腐作りの主役となる杏仁である南杏(写真左)と皇杏(右)。どちらも白いアーモンドのような見た目ですが、袋から出すだけで、杏仁豆腐のあの甘~い香りがふわりと立ち上ります。
そのままかじってみると、南杏は自然のほのかな甘みがあり、縦1cmほどの大きさ。そして、より香り高く、まろやかな風味を出してくれるのが皇杏で、縦1.5~2cmと南杏と比べてサイズも大き目。実はこの皇杏、杏仁豆腐を作るために育てられた杏仁なんです(こちらはかじるとなかなかの苦味あり)。この2つをミックスして、香り立つ杏仁豆腐を作ります。
【レシピ】香り立つ!手作り杏仁豆腐の作り方
材料(5~10人分) 南杏 50g 皇杏 50g 牛乳 400ml 水 400ml 生クリーム 100ml 砂糖 50g 板ゼラチン 1枚(+ゼラチンをふやかす水 ※分量外)備考 ※生クリームの代わりに牛乳を使うと、よりさっぱりとした風味に仕上がります。水に代えれば、スッキリと清涼感のある味わいに。 ※板ゼラチンの代わりに糸寒天(5g)や粉末寒天(5g)を使うと、ややしっかりとした食感の杏仁豆腐になります。 ※トッピング用のクコの実やフルーツはお好みでご用意ください。 |
作り方
<前日の下準備>
1: 南杏、皇杏はさっと水洗いして、茶色い皮が残っていたら取り除き、水にひと晩浸しておきます。8時間くらい浸せばOKです。
2: 翌日、調理開始前に板ゼラチンを水に浸しておきます。
3: その後、ひと晩水に浸した南杏と皇杏を、浸した水ごとミキサーにかけます。
20~30秒ほどでトロトロになります。ここで細かい粒が残っていても問題ありません。
4: 晒しなどで濾して、なめらかな杏仁液を抽出します。
5: 最後の1滴まで大切によく絞りましょう。
300mlほどの杏仁液ができます。
ちなみに、水分を絞った杏仁は、パサパサしていておからのような感じです。まだまだ甘い香りが残っているので、アーモンドプードルの代わりにお菓子作りに使う方もいるとか。撮影時には「ナッツと思えば、カレーに入れてもよさそうですね」という声もありました。
6: 鍋に牛乳、生クリーム、杏仁液を入れ、中火にかけてよく混ぜ合わせます。キッチンに甘い香りが立ちこめます。
7: ふつふつと湧いてきたら、弱火にして砂糖を加え、よく混ぜ合わせながら砂糖を溶かします。
この後ゼラチンを加えますが、この段階で止めると杏仁汁粉、すなわちホット杏仁ドリンクに!おいしいのでぜひここでちょっとお味見を。
8: 水で戻しておいた板ゼラチンの水気を切って、鍋に加えます。弱火のまま、ゼラチンが全部とけるまでよく混ぜます。
9: ゼラチンがとけたら、杏仁液をボウルに移し、底に氷水に当てて粗熱を取ります。
10: 粗熱が取れて少しとろっとしてきたら、漉し器(シノワ)や、目の細かいザルなどでもう一度濾します。この二度濾しが、とろ~りなめらかな杏仁豆腐に仕上げるコツ。
11: お好みの器に注いで、冷蔵庫で2時間から3時間冷やし固めます。ボウルやどんぶりに注いで冷やし固め、食べるときに取り分けてもいいですし、キレイに仕上げたいなら個々のグラスに注いでもいいでしょう。
ついに完成!スプーンが止まらない!
ぷるんと固まったら、杏仁豆腐の完成です。10分ほど水で戻したクコの実を添えれば、中華料理店で出されるデザートそのもの。
そして口に入れると、市販の杏仁豆腐とは一線を画す強烈な香り!二度濾し効果で滑らかな舌ざわりに仕上がっていて、もうスプーンが止まりません。
前日から準備が必要になりますが、手順自体はとってもシンプル。想像以上の香り、そしてなめらかな舌触りは作る価値あり!
ちなみにこの杏仁液ですが、ゼラチンで冷やし固めなければいろいろなアレンジが楽しめます。次のページで、そんな杏仁液のアレンジメニューをどどんとご紹介します。