新型コロナウイルスの影響で「中華に行こう!」と気安く言えない昨今。80C編集部の一員である筆者も、現在、食生活は「家で中華」だ。そこでしばし、80C(ハオチー)の運営母体である中華・高橋の商品を紹介していこうと思う。

今回チョイスしたのは「日本橋 古樹軒」(注:中華・高橋の小売部門)から発売されている「中國菜 老四川 飄香(ピャオシャン)」の「汁あり担々麺」

80C読者のみなさんには、魅惑のピリ辛クミン塩「羊名人(ようメ~じん)」の味づくりを担ってくれた、井桁良樹オーナーシェフの店!といえばピンと来るだろう。

「老四川 飄香本店の厨房」にて「羊名人」試作のひとコマ。スパイスを調合し、煎るものは煎ってと、こだわって作っております。

ちなみに私が店で食べたことがあるのは「汁なし担々麺」のみ。でも、家で食べるなら断然「汁あり」。理由は、スープを作るのが大変だから…ということで、「汁あり」である。

約10分で名店の味!担々麺のつくり方

この一品は、プロの味が家庭で手軽に味わえる「あつらえ厨房」という冷凍中華シリーズ。店頭の冷凍ケースでこれがいいかな…と何気なく選んだら、なんと1食分で袋が3つある。

その内訳は、スープが希釈なしのストレートで1袋350g+肉味噌ベースの具が1袋100g+麺が1玉120g=3袋。全部合わせて570g、2人前で1kg超え!なかなかの重量だ。

贅沢に2食分ゲット。スープと具は、作りたての風味を大きく変えることない状態を狙い冷凍にしてある。

作り方は、スープは6分、具は90秒、袋のまま湯煎にかけ、麺は3分ゆでるだけ。スープと具の袋を温める鍋と、麺をゆでるための鍋を用意するとスムーズだ。

スープが湯煎ということは、袋から出して加熱するより、煮詰まり等を防ぐことができるということだろう。ついでに鍋も汚れない。

しかし時間差でスープと具を温めるのは面倒でもあるので、最初からゆでてしまってもいい(事後談)。

スープはぬるいよりは熱いほうがいいに決まっているので、こちらも湯煎しすぎても問題ない。

麺をゆでる前に、野菜をゆでる。

高級担々麺に青菜も薬味もないのは味気ないので、野菜も用意しておきたい。段取りは、麺をゆでるためにわかした湯で、先に野菜をゆでる。麺はゆで置きすると伸びてくっつくけれど、野菜はゆでておいても問題ないからだ。

この日、家にあったほうれん草ともやしを具に採用。ほうれん草は、長いまま約1分の加熱でよい。ゆで上がったら水にくぐらせてギュッと絞り、適当な大きさにカットする。まな板と包丁を出したついでに、薬味の葱も切っておこう。面倒くさい人はキッチンばさみで切ってもよい。

もやしは好みの加減に火が通ったらOKだ。このあと麺をゆでるので、湯ごとザルに開けないよう注意。

野菜を絞った後、このときキッチンペーパーで巻き、さらに水気をとっておくとスープが薄まらない。

麺はほぐれてから混ぜながらゆで、器は湯で温める。

野菜の後は麺を湯にドボン。40秒~1分くらいでほぐれてくるので(麺の玉数によって時間が前後する)、そのタイミングで麺がくっつかないよう、菜箸やトングでしっかりバラす。

湯はたっぷり沸かそう。麺がくっつきにくくなるし、湯をとって器を温めることができる。

湯が沸騰したら、お玉で湯を適量すくい、器の半分くらいまで熱い湯を入れておくのも忘れずに。器が冷たいと、スープを注いでも急激に冷めてしまうからだ。

なるべく熱々のまま食べるためのひと工夫。このひと手間が後々まで効いてくる。

麺がゆであがったら、湯切りをして器へ(もちろん、器に入れていた湯はその前に捨てる)。ちなみにこの麺、「ゆで時間3分って書いてありますが、もっと長くゆでちゃってもへこたれないんですよ」と「日本橋 古樹軒」の板倉さん。うっかりゆで過ぎても大丈夫と解釈した。

ゆで上がりの麺。ちなみにこちら、中華業界で知らぬ者のいない、橋爪製麺に特注した麺である。

続いてスープを注ぎますよ。切り口があるが、手で切りにくいのでハサミを準備。注ぐときは、けっこう勢いよくスープが出てくるので慎重に。高級なスープを一滴もこぼすことなく注ぎ込むのだ(最重要項目)

なかなか濃厚に見えますぞ。1人で作って撮影しているので、注ぐ写真がないのはご容赦ください。

次いで肉味噌をハサミで開封。出してみると、100gだけあってなかなか量がある。視覚的には、スープなしで、これ単独でジャージャー麺(炸醤麺)を作れそうなほど。

肉味噌どばー。完全に麺が隠れた。

あらかじめゆでて切ったほうれん草と、豆もやしを盛り付けると、担々麺っぽくなってきたぞ。

最後に刻み葱を散らしたらできあがり。さぁいただきます!

息もつかせぬ6分間。お湯を沸かす時間を入れると10数分か。

ゴマのリッチな味わい。芽菜や花椒の風味が複層的に現れる!

すすると見た目を裏切らない、力強いコクのある担々麺だ。コクのもとは芝麻醤(練りごま)で、これが思いのほか効いている。スープを注いだ感じ、サラッとしているのかと思いきや、ボディもしっかり。青菜やもやしをガシッと受け止める濃厚さがある。

肉味噌はそれ単独の肉感を味わうのではなく、スープと混ざり合って一体となり、麺によく絡む役割を果たしている。食べているうちに、芽菜(ヤーツァイ:四川省では担々麺の味付けに欠かせない漬物)や花椒の風味が次々と重なり、担々麺を食べている実感がわく。

撮影協力:家族。

麺は中太。成都で食べるような白いストレートでもなく、かん水バリバリのラーメンの麺でもなく、その中間といった感じだろうか。麺に卵白が入っているせいか、もっちり感もあり。穏やかながら表面にほどよいザラつきもあり、細かな具の入ったスープとの絡みは抜群。

見るからに濃厚!この絡み、伝わりますか。

麺は冷凍の玉の状態では少量に見えたが、ゆでてみるとまあまあ量がある。1人1杯でももちろんいいが、スープと肉味噌を合わせたリッチな汁とセットで考えると、おやつに2人でシェアするのもありかもしれない。

ちょっと残念だったのは、スープを冷めないよう対策をした割に、熱々!というほどではなかったこと。これはスープを湯煎で温めるか、直火で温めるかの違いもあろう。熱々が好きな方は、商品パッケージにある作り方とは異なるが、鍋でスープを加熱してもいいと思った

さらに香りを立てると濃厚な風味に軽やかさが加わる。好みで花椒や花椒油をかけるのもおすすめだ。

グラインダーに入れた花椒をゴリッゴリッ。1杯で2度おいしい。

第2ラウンド!自宅だからこそ、スープが残ったら活用を

一気呵成に食べ切ったところでどんぶりを見ると、スープがまあまあ残っている。計量すると、1人前約150cc。このくらいあると、小腹が空いたときに食べるスープワンタンやスープ餃子、おじやなどに応用できる。

そこで、翌日の昼に担担水餃子を作ることにした。餃子は自家製で春菊と豚肉入り。焼き餃子用に作り、冷凍しておいたものだ。

スープは冷蔵庫でひと晩置くと三層に分かれる。ざっくりと、上が辣油、中が醤油などの調味料、下が芝麻醤が溶け込んだスープ。レンジで加熱して、油の層を溶かしてから鍋に注ぐ。煮沸消毒の意味もあるし、なにせ熱々好きですから。

すると、計量カップの底に、芝麻醤が沈殿していた。けっこうな量がある。

昨日の豆もやしも入っているが気にしない。

これだけあれば、濃厚でリッチなコクが出るのも納得。昨日はこの沈殿した芝麻醤を食べなかったわけだから、1回でスープを飲み干すのでない限り、活用はアリだと再認識。

鍋でスープを加熱し始めたら、餃子もゆでます。今回は1人5個。ゆで湯を少し器へ移し、器を温めるのは麺のときと同じ。

冷凍餃子も冷凍麺と同様、くっつかないように、湯を対流させることが大事。
ゆで湯で器を温めるワンステップ。

さて、餃子がゆで上がったら器に移し、煮えたぎるスープをざーっ。注いだらこんな感じ。

家にあった小ネギを散らした。香菜などはお好みで。

というわけで、担担水餃子のできあがり。調理時間は餃子をゆでる6分くらい。手軽でいい小吃です。

結論として、1日目の麺は、麺とスープと具との絡み合いが楽しめたが、2日目もしっかりおいしい。2日目だと、何か加えても罪悪感がなくなるので、辣油や花椒油をかけて香りよく楽しむのもいいだろう。餃子をゆでるのも面倒という方は、おじや風に仕立ててもいい。

レンゲの中にあるのは唐辛子(貴州省産大条子)を130度で加熱した辣油。辛味はそれほど出ず、香ばしさがある。

おもしろいもので、名店の味を自宅で味わうと、実際に店の味を確認してみたくなる。でも今は「家で中華」だ。そして家ならではの工夫も楽しんでいただけたら。

中國菜 老四川 飄香「汁あり担々麺」

※1食1,500円(ストレートスープ350g、具100g、麺120g:税抜)
>汁あり担々麺|日本橋 古樹軒 楽天市場店
>汁あり担々麺|日本橋 古樹軒オフィシャルECサイト

80C(ハオチー)企画、井桁シェフ監修の「羊名人(ようメ~じん)」はこちら。
>羊名人|日本橋 古樹軒 楽天市場店
>羊名人|日本橋 古樹軒 オフィシャルECサイト


TEXT & PHOTO サトタカ(佐藤貴子)