冷やし中華は日本発祥の中華料理ですが、中国でも、冷やさないまでも熱くない麺料理は夏によく食べられます。例えば四川の鶏絲凉麺(鶏の冷やし和え麺)や、山東、北京の麻醤麺(ごまだれ和え麺)などがそうです。
そこで今回ご紹介したいのが、夏にぴったりのなす(茄子・ナス)と豚肉と冷やし麺レシピ。日本式の冷やし中華ですと、ごまだれか醤油だれの2パターンに留まりがちなところ、今回は古樹軒の「あの成都で食べたゆで豚のたれ」を使って、ガツンと四川風の味に。なすに下味をつけてからレンチンするのがポイントです。
レンチンなすと豚肉の冷やし麺(肉片茄子拌麺)の材料(2人前)・あの成都で食べた蒸し豚のたれ(楽天市場|古樹軒|古樹軒ネコポス) ※今回は、豚ばら肉薄切り140g、なす2個(賀茂なす)、トマト4切れ(くし形切り)、うどん(茨城県優良県産推奨品 手織里うどん1袋250g)を使いました。 |
食感とぅるん!冷やして美味。レンチンなすと豚肉の冷やし麺の作り方
1:なすの皮をむき、縦に8等分します。
2:みじん切りにしたにんにく、塩、片栗粉、油の順番でなすにまぶし、耐熱容器に入れて4分間ほどレンジで加熱します。
なすは、切ってそのまま蒸すよりも、この下ごしらえを行うことで、味と香りがより立体的になり、とぅるんとした食感で非常に気持ちよく食べられます。なすは包丁を入れてから色が変わりやすいので、手早く行ってください。
3:レンチンしたなすを、バットなどにとって冷まします。
早く冷ましたほうが茶色くなりにくいので、冷凍庫の急冷室などに入れてしまうと早いです。うっかりすると凍りますが、その場合は室温でそのまま解凍してください。人力ですが、うちわであおぐのもアリです。
4:麺をゆでます。
この際、ゆで湯で豚肉もしゃぶしゃぶしちゃってください。もちろん、別の湯で豚肉をゆでて、あとでスープなどに応用してもよいです。
5:麺を冷やし、水を切って皿に盛りつけ、具をのせます。
麺をしっかり冷やしたいときは、ボウルに氷または保冷剤をしばらく入れてキンキンに冷えた水の中に、流水であらかた冷えた麺を投入して少し放置します。ただ流水で流し続けても、水温が水道水以上に低くならず、キリッと冷えないのでご注意を。
7:「あの成都で食べたゆで豚のたれ」」を適量かけます。
8:薬味のねぎやごまを散らしてできあがりです。まぶした片栗粉や油の働きで、なすがとぅるんした食感に。これが豚バラ肉の脂と肉と、奥行きのある味わいのたれと相まって、ともかく箸が進みます!
麺にたれをしっかりと絡ませて召し上がれ!
コツ①「蒸しなす」と「下処理をした蒸しなす(レンチンなす)」ではどう違うのか?
このレシピでちょっとだけ手間がかかるのが、なすの下処理です。では、もっと簡単に下味をつけずに蒸したなすと、今回のように下味をつけて蒸した(レンチンした)なすではどう違うのでしょうか。
両方作り、食べ比べて検証してみると、なすに下味をつけると格段に風味がよくなり、料理としての一体感が高まります。
まず、味においては、塩とにんにくによって風味が増し、たれとの相性が高まります。そして食感は、少量の片栗粉をまぶして加熱することで表面にとろみがつき、つるんとした食感に。
最後に油をまぶしておくと、たれを吸い過ぎないというメリットもあります。低焙煎のごま油などを使うと、より香りよく仕上がって食欲をそそります。
また、レンチンしたなすは、それ単独で食べても蒸しなす料理として成立します。薬味をたっぷり乗せて、さらに少々塩味を加えれば、夏の酒の肴やおかずにもってこい。多めに作り置きしておくのもおすすめです。
なお、なすの身にはクロロゲン酸という抗酸化作用のある成分が含まれています。これはポリフェノールの一種で、えぐみ(アク)のもとにもなりますが、なすに前のような下処理をすることで、アクが感じにくくなります。
コツ②「なすの皮をむいた場合」と「むかない場合」ではどう違うのか?
また、なすの皮をむいた場合と、むかない場合ではどう違うのか。こちらも比較してみたところ、むいた方がなす独特のえぐみが減ってすっきりとした風味となり、皮がないのでよりとろんとした食感に仕上がります。
なすの紫色の皮には、ナスニンというアントシアニン色素が含まれていますので、栄養成分重視なら皮つきのままでもいいでしょう。加熱すると皮の紫色が退化しますが、急冷することで若干防げます。
コツ③麺のチョイスは細うどんでOK!
最後にポイントというほどではないけれども、気にしておくといいポイントです。
麺は細めのうどんのような、かんすいが入っていない麺で作ると、なすや豚肉、たれの味わいが引き立つように思います。今回は稲庭うどんを厚めにしたようなうどん「手緒里うどん」を使いました。地元のうどん、郷里のうどんに、中国風味は想像以上に相性がいいはず。ぜひ試してみてください。
また「あの成都で食べたゆで豚のたれ」は、もともと雲白肉(ウンパイロウ)のために作られた合わせ調味料なので、豚肉との相性は抜群です(詳しくはこちら)。味の決め手は、甜醤油という甘くコクのある四川の調味料とにんにく。そのため、レシピの通り、なすににんにくを絡めてレンチンすると、この雲白肉らしさが増幅されるのです。
また、市販の調味料では乳化剤などを使って、たれ成分と油分が分離しないように整えているものが多いなか、このたれは、風味豊かな調味料と、香り高い自慢の辣油の風味をいかすために、敢えて乳化せずに袋に詰めています。
そのため、使う前にはたれ成分と油分をしっかり混ぜることが大切。かける直前には、どうかバーテンダーになってシェイカーを振るかの如くよーーーく振ってください。経験上、注ぎ口を下にして振ると、ラー油が注ぎ口の反対側に移動するので(油は軽いため)、注いだ時に辣油が先に飛び出にくくなります。←よりよい風味に再調整し、新パッケージになったため「かけるだけでベストバランス」に改良されました!
このレシピは、ひとえに夏のなすのおいしさと食感、豚肉のコクを冷たい麺で味わうとことにこだわりました。この鉄板の組み合わせに、好みでトッピングの野菜を加えてもいいでしょう。今回はトマトですが、ゆでたツルムラサキの葉、とうもろこし、雲白肉定番のきゅうりなどもおすすめです。どうか夏野菜を存分に味わってください。
連日30度を超す真夏日が続きます。ぜひこの冷やし麺で、気持ちよく涼味を味わっていただき、家中華の定番にしていただけたら!
※古樹軒「あの成都で食べたゆで豚のたれ」は(楽天市場|古樹軒|古樹軒ネコポス)および小売店で販売しています。
RECIPE・TEXT・PHOTO サトタカ(佐藤貴子)