外食の多い方なら、うすうす感じていませんか。
「最近、羊肉って流行ってる?」と。
ひとつ言えるのは、これまで“外国料理のひとつ”として羊肉料理を出していた店が、羊で注目を浴びるようになっていること。そんな中、羊食カルチャーの仕掛け人として存在感を増しているのが「羊齧協会(ひつじかじりきょうかい)」です。
同協会は、今年11月に主催した「羊フェスタ2014」で500人を酒と羊料理に酔わせ、12月17日(水)には協会監修・本邦初の羊レストランガイド『東京ラムストーリー』が発売されたばかり。
そこで80Cでは、協会主席の菊池一弘氏に話を聞き『東京ラムストーリー』に掲載された中華系おすすめ店と、掲載できなかったものの、協会おすすめの店4店舗をご紹介。奇しくも2015年はひつじ年。ぜひ羊を齧って新年を祝いましょう。
昨年も好評でした!>羊齧協会が選ぶ、都内近郊のおすすめ羊料理店2013
黒猫夜(くろねこよる) 銀座店
赤坂、六本木に次いで、2013年11月にオープンした黒猫夜銀座店は、中国郷土料理の中でも羊料理に力を入れている店。同店主催の「銀羊会」という羊料理イベントでは、羊肉はもちろん、羊の脳味噌、ハツ、腎臓、タン、胃袋、胸腺と、さまざまな部位をバラエティに富んだ調理法で提供し参加者を魅了。11月に行われた「羊フェスタ2014」でも、羊ハツのスモークや、雑穀を練り込んだウイグル風羊肉ソーセージが好評でした。
菊池主席曰く、同店は「羊料理の基本スキルが高い店」。季節によってメニューは変わるので、「予約時に『羊料理が食べたいのですが』と相談してみるのがおすすめ」とか。また「中国的には羊の中に含まれる山羊料理も食べられるのもポイント」です。
さらに、シャンパンタワーならぬ「紹興酒タワー」や、18種類の紹興酒が入ったショットグラスが並ぶ「超級(スーパー)利き酒」など、めくるめく中国酒の世界を提供できるのは、中国酒の輸入を手掛ける黒猫夜ならでは。マニアックなお酒とともに大勢で羊を齧る…なんて楽しみ方は酒好きにはたまらないもの。個室も充実、深夜営業もしていますので、羊を囲む密談にもぜひ。
黒猫夜 銀座店TEL:03-6280-6464 |
京味居(きょうみきょ)
続いて菊池主席が紹介するのは「北京出身の方が『いろいろな羊料理をもっと知ってもらいたい』と、2009年に羊料理に特化して出店した中国料理店」。「本当に“街の中華屋”さんなのですが、麻婆豆腐やレバニラ炒めなど、定番メニューも肉は羊というこだわりよう。宮爆鶏丁も『宮爆肉丁』となり、羊炒めになっているほど」という、羊肉LOVER垂涎の店です。
「やさしい味の『羊肉スープ麺』はかなりおすすめです。高度な技法で作られた高級中華ではなく、街の気軽な中華屋が羊に特化した感じ。このようなお店がやっていけるようになったことを思うと、世間における羊リテラシーの高まりを感じます」。席数は少なめなので、週末訪れる際はぜひ予約を。
京味居TEL:045-241-0818 |
京華閣(けいかかく)
煙突付きの銅鍋を使い、炭火で温めながら羊肉をしゃぶしゃぶする火鍋が食べられる数少ないお店。菊池主席曰く「冬限定ということになっていますが、話すといつでも出てくる」そうで、中国東北地方の火鍋を欲した時の駆け込み寺としても頼れる店です。
「酸菜と羊の煮物、羊のスペアリブ、骨付きラム肉の鉄鍋煮込みなど羊メニューも豊富で、中華系羊料理の定番ともいえる羊肉串は1本90円と激安。老舗『大宝』とともに、池袋・羊肉串価格破壊戦争を担うお店でもあります」。
「店内はいつも中国人で満席で、『東京ラムストーリー』の取材で訪れたときも、13時~15時くらいまでランチのお客が引きも切らずに訪れていましたね。さらに取材中は社長の息子さんが出てきたり、隣から常連さんがメニューの解説を始めたりと、なんなんでしょう、まるで中国現地の近所のレストランに来た雰囲気(笑)」。
スタッフの日本語がおぼつかないところがありますが、それも含めて池袋中華街を満喫できる一店です。
逸品火鍋 四季海岸
在日中国人に人気の「逸品火鍋」の姉妹店として2013年12月にオープン。こちらも日本人はほぼおらず、中国人の口コミで評判になった店です。
「言うまでもなくおすすめなのは、現地風の麻辣火鍋。羊はもちろん、スパムミートなど、中国風の具材がセットについてくるあたりが非常に“現地”っぽいんです。また、中国らしく鯉を楽しめる火鍋コースがあるという点で、北京に昔住んでいた者としては非常にうれしい。『活魚オシドリ火鍋食べ放題コース』では、羊と鯉の競演というカオスが楽しめます」。
「じっくり焼かれた羊の串も秀逸ですが、店名にある通り海鮮系中華もうまい。全国から取り寄せた日本の素材のよさと、中国料理の懐の深さがマッチしていると思います。ガイドには載せなかったのですが、もっとみんなに知ってほしい店ですね」。
ちなみにお子様連れOK(女子トイレにはベビーべッドも)、遅い昼ごはんOK(昼から深夜まで通し営業)、真夜中の禁断の火鍋OK(5時まで営業)、喫煙OKと許容範囲が広い店。池袋で中華の店選びに困ったらぜひこちらへどうぞ。
逸品火鍋 四季海岸TEL:03-6912-6108 |
『東京ラムストーリー』「あの日 あの時 あの店で もしも羊を食べなかったら 僕らはいつまでも 食わず嫌いのままだった」という帯文が秀逸! 掲載したジャンルの中で最も多いのはやはり中華。ですが、ウイグル、モンゴル、ミャンマー、インド、ヨルダン、ウズベキスタン、ペルシャ、チュニジア、スコットランド、ニュージーランド…と羊食文化のある各国料理ガイドとしても楽しめる一冊。これさえあれば、むこう3年は羊肉料理店を探すのに困らなそうです! 出版社:実業之日本社 |
Text 佐藤貴子/ことばデザイン
Photo ガンザオーリ(京味居)、羊齧協会(京華閣、逸品火鍋 四季海岸)、佐藤貴子(黒猫夜 銀座店)