昼だけじゃ店の本領はわからない!ということで、今年6月から開始した80C(ハオチー)のFacebookディナーレポートが「よる中華」。月曜に店の紹介、水曜にその中から料理を1点紹介する中で(一部例外あり)、今回は店紹介のリーチ数ベスト8をご紹介します。※2014年6月9日(月)~12月1日(月)までの集計です。

 

8位

港区赤坂「うずまき」のおまかせコース
773リーチ

●こんな方におすすめです
・食いしん坊3~4人で会食する場を探している
・野菜の中華に興味がある
・肉や魚介尽くしのご馳走てんこ盛り系中華コースにうんざりしている
・食べ疲れる料理は好みでない

うずまき

 

日本の野菜の魅力を、中国料理として再発見できる店

きちっとした中華の調理技術を有しながら“日本的”と言われる中国料理店の特徴に、日本の野菜を扱う上手さ、野菜の持ち味を引き出す上手さが挙げられるのではないでしょうか。

ここ「うずまき」もまた、そんなことを実感できる店。肉や海鮮より、舞茸、蕪、海老芋、栗、銀杏、まこも、菱の実、かぼちゃといった季節の野菜が印象的に残ります。醤やスパイスで味を重ねていくのではなく、切り方、素材の取り合わせ、熱の入れ方などによって、野菜のポテンシャルをぐぐっと高めた料理がその真骨頂。

厨房を1人で切り盛りするのは柳沼哲哉氏。往年の名店「ロンフウフォン」の厨房を仕切っていたシェフといえばピンと来る方もいらっしゃるはず。白金の北里大学にほど近い古びた電気屋の2階、居抜きのスナック風の薄暗い店で、匂い立つような中華とワインとを楽しませてくれたあの店です。

その柳沼氏、昨年9月まで昼は弁当、夜は1日1組という「うずまき別館」にいましたが、10月に「うずまき」に移動。夜のみ1日3組の営業、コース1万円1本となって再スタートを切りました。べたつかず重くなく、キレ味のいい料理がお好みの方は、きっと心に響くはず。

2014年11月17日掲載)写真の料理:かに玉


 

7位

台東区上野「三百杯」のアラカルト
776リーチ

●こんな方におすすめです
・現地系中華が大好き
・周りのお客さんが中国人ばかりだと萌える
・大陸的な店で、気の置けない仲間と宴会がしたい
・貸切で中国語カラオケができる飲食店を探している

三百杯

 

素朴な点心からザリガニまで…!現地系中国東北料理の注目店

東北料理を得意とする料理長&無錫出身のママさんが切り盛りする繁盛店。今のところお客さんのほとんどは中国人ですが、中華好きの日本人の間にもじわじわ浸透中の店がこちらです。

いわゆる安旨(やすうま)な店ですが、大陸人も通うだけあって料理はしっかりしています。夏はザリガニ、秋は上海蟹と、黒板には季節のメニューもあり、刺さる人にはしっかり刺さる品揃えも魅力。手間のかかる手づくりの肉包や、韭菜合子(ジャンボニラ焼きおやき)といった素朴な東北料理もぜひ味わいたいところ。

店名は〈人生、楽しめるうちに楽しみ尽くせ。羊を煮て牛を料理し、いっそ一飲みで三百杯というくらいとことん楽しもう…〉という李白の詩「將進酒」が由来。外から見える居酒屋的なイメージとは違う店で、行ってみるといい意味で裏切られます。

2014年10月20日掲載)写真の料理:牙签羊肉(串刺しラム肉のクミン炒め)


 

6位

新宿区新宿「シェフス」のアラカルト
819リーチ

●こんな方におすすめです
・今、東京の中華でみんながおいしいという人気店に行きたい
・トップクラスの上海蟹および上海蟹料理を食べたい(※季節限定)
・シンプルでうま味のある中国料理が好き

シェフス

 

看板料理と上海蟹でリピーターの心を掴む店

「東京」「中華」で検索し、食べログの「東京都 中華料理ランキングTOP100」を見た時に、ここ最近ずっと1位をキープしているのがこの店。

新鮮な素材の味と香りを大切にした料理が持ち味で、「あの素材を、もう一度この香りで食べたい」と思い出させてくれるようなところが人気の理由かもしれません。フルーツのような「赤ピーマンのマリネ」や、パリッと割れるやいなや、鼻腔を生姜と海鮮香がくすぐる「春巻」、ごはんを投入して2度楽しめる「車海老の香り蒸し」などは、ここに来たら定番として外せない料理です。

また、秋冬は上海蟹料理が評判で、上海蟹料理だけで11種類のラインナップが。中でも写真の「上海蟹みそ坦々麺」は、甘く脂の乗った味噌がこれでもか!とかかった一皿。これを前にすれば、どんなうるさい方でも無言になること必至ですよ。

2014年10月27日掲載)写真の料理=上海蟹みそ坦々麺


 

5位

新宿区新宿「古月 新宿」の熊の掌宴会
858リーチ

●こんな方におすすめです
・プライベートで通える、気取らず落ち着いた店を探している
・スープにこだわる店が好き
・食べて健康になることに気をつかっている

古月 新宿

 

身体にスッと寄り添う中華で、心までもすこやかに

陰陽五行の考えをベースにした「季節の食養生コース」が常連の胃袋を掴む「古月新宿」は、食べて負担になることのない、スッと身体に寄り添う中華が持ち味。

シェフの前田克紀氏は、業界きっての学究派・山中一男氏の弟子ということもあり、すっぽんから熊の掌から、幅広く仕込みの技を身につけている方。写真は満漢全席に出されることでも知られる熊の掌で、味付けは北京・北海公園にある宮廷料理店「仿膳飯荘(ぼうぜんはんそう)」のレシピがベース。こっくりと甘いソースは、なんと蜜汁火腿(ハムの蜜煮)の煮汁を使用しているのだそう。

こうした古典的な技法はもちろん、シェフならではのひと工夫を施した炒めものや、奥様が作られるデザートも楽しく、季節毎に仕込んでいる薬種はそれぞれにフルーティーで個性的。家庭料理のようなやさしさと、中華の高度な技が両立しているのが同店の魅力。健康にいいものはおいしくないんだ、なんて思っている方は鮮やかに裏切られることでしょう。

合わせてこちらもどうぞ

>干し牡蠣の食べ方 ― 春節のごちそう&家庭でもできる旬菜

2014年11月5日掲載)写真の料理=熊の掌の煮込み(左前足)


 

4位

千代田区平河町「赤坂四川飯店」のおまかせ
865リーチ

●こんな方におすすめです
・気合いを入れて四川料理の宴会がしたい
・マニアックな四川料理のリクエストに応えられる店を探している
・円卓個室で会食や接待できる店を探している

赤坂四川飯店

 

四川料理の宴会をするなら間違いのない店

名前はよく知っているけれど、実は行ったことがない…、そんな方にこそ訪れてほしいのが、四川飯店グループの本拠地として、多くのゲストをもてなしてきた赤坂四川飯店です。

四川飯店といえば、陳建民氏、建一氏、建太郎氏と三代に渡って築き上げてきた本場四川省の料理人とのネットワークが強み。その取り組みによって、古典から最新の新派四川料理まで、あらゆる四川料理を提供できる土壌があります。例えば「四川省のトレンドを踏まえたコース仕立てにしてほしい」というリクエストも、「昔ながらの陳建民氏の料理が食べたい」というリクエストもこの店ならば実現可能。また、歴史ある大規模店らしく、宴会は任せて安心。確かな包丁技、ブレない調味、美麗な野菜彫刻、的確なサービスなど、さすが本店と思わせる要素が満載です。

リクエストに柔軟に対応してもらえる懐の深さと、料理を下支えするしっかりとした組織力、そして料理人もサービスマンであれという教えが生きているのがここ本店。ファンが絶えないのも納得です。

 

合わせてこちらもどうぞ

>涙を流し口から火をふく四川料理の会
>四川料理の調理法「宮保」とは

2014年11月26日掲載)写真の料理=宮保牡蠣(牡蠣の辛み炒め)


 

3位

世田谷区経堂「蜀彩」のアラカルト
868リーチ

●こんな方におすすめです
・ともかく四川料理が好き
・3~4人で肩肘張らずにアラカルトで楽しみたい
・小田急沿線住民

蜀彩

 

野菜たっぷり、味のメリハリが効いた街場の四川料理店

個室のないカジュアルな店ですが、出てくる料理は本格的。痺れて辛い麻辣味、花椒油で描く爽口味、発酵唐辛子の泡辣椒を使った酸辣味、唐辛子と多種香辛料が絡み合う香辣味、甘辛酸のバランスがとれた宮保など、 味のバリエーションが多彩な四川料理店。

料理は単に辛いだけでなく、それぞれ味の輪郭がクッキリとしてボヤけておらず、化学調味料のえぐ味もなし。比較的野菜がたっぷり使われているので、ご近所ならば普段使いの四川料理店としても重宝しそう。

1皿あたりの単価は高くなく、たくさん頼んでもお財布に優しいのもうれしいところ。中華には珍しい掘りごたつ席もあり、家族連れにも人気とか。小田急沿線にお住まいの方なら、覚えておいて損はない店です。

2014年12月1日掲載)写真の料理=夫妻肺片(ハチノスと牛スネ肉の麻辣ソース)


 

2位

中央区築地「東京チャイニーズ 一凛」のおまかせ
922リーチ

●こんな方におすすめです
・デートやカジュアルな接待にひと味変わった中華を探している
・築地~新富町界隈で行きつけの中華を見つけたい
・「白麻婆」という言葉に反応してしまう
・ひとりでくつろいでおいしいものが食べたい

東京チャイニーズ 一凛

 

おひとりさまから女子会まで、思い思いに中華を楽しめる店

四川料理の名門・四川飯店グループで長く経験を積んだ、斎藤宏文シェフが厨房を仕切る店。旬の野菜や魚介を使った料理がウリですが、そのキャリアから、四川料理はさすがの安定感。中でも白麻婆こと「豆花牛肉(ドウファニィゥロウ)」と、水を使わない鍋料理「干鍋(ガングゥォ)」は、ここに来たら必ず食べたい一品です。

温かみとスタイリッシュさが両立した店内は使い勝手がいい設計で、厨房の目の前にある広いカウンター席は、2人でしっぽり話したい時、4人ならテーブル席、奥の個室風のスペースでは女子会など、いろんなシチュエーションで使えそう。時折男性おひとりさまで、バーのように“くつろぎ中華”を楽しまれている方も。自分らしく、ひと味違った中華を楽しみたい方におすすめです。

2014年11月12日掲載)写真の料理=豚スペアリブの干鍋


 

1位

中央区銀座「私厨房 勇(ゆん)」のおまかせコース
956リーチ

●こんな方におすすめです
・1人1万円以内でデートに使える中華を探している
・ワインと中華のマリアージュを楽しみたい
・『東京カレンダー』に掲載されているような、おしゃれなレストランに惹かれる

私厨房 勇

 

東京中華デートのベストシート、ここにあり!

厨房を見渡す劇場のような、広くスッキリとしたカウンター8席のみという、贅沢空間の店。2014年5月15日にオープンし、80Cの「業界人の耳より情報」でいち早くご紹介。東京メトロの主要駅で配布される『メトロミニッツ』の「ハイカジ中華」特集の表紙&記事に掲載されて以来、一躍人気店となりました。

料理は素材の質感を大切にして仕上げたおまかせコース6000円(税抜)1本で勝負。若きオーナーシェフ・原勇太氏の調理ライブを眺めつつ、ソムリエが選ぶワインを料理に合わせるのも楽しく、1人1万円以内でちょっと素敵なデートを決め込みたいという方にはうってつけ。さらには香港で人気が定着したレストランスタイル・私房菜(プライベートキッチン)のように、1日貸切なんていう楽しみ方も。気になる人と、スマートでおしゃれに中華を楽しみたい方はチェックしておきたいお店です。

合わせてこちらもどうぞ

>白金エリアに8席限定のカウンター中華がオープン!

2014年6月16日掲載)写真の料理=鮑のフリット カレー塩添え


 

よる中華ランキング飯店編、いかがでしたでしょうか? 今回はFacebookの「いいね!」の数ランキングではなく、リーチ(どれだけ見られたか)のランキングということで、新店・移転などの話題性のある店や、イベントの料理・特別な仕込みのいる料理が上位に入ってきたようです。

参考までに、同期間(2014年6月9日~12月1日)で「いいね!」を獲得したランキングは、1:一凛(11/12投稿)143、2:古月新宿140、3老虎菜133、4:蜀彩119、5:一凛(8/11投稿)107、6:シェフス104、6:福臨門 家全七福104、8:赤坂四川飯店102でした。
今回は店舗紹介に加えて、編集部の独断にて「こんな方におすすめです」というコメントを記しましたので、店選びの参考にしていただけますと幸いです。

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「よる中華」は、80Cスタッフがディナーに食べた中華料理をFacebookでレポートしているものです。投稿はウィークデーの昼前後。80Cの中華画像で、みなさまの食べたい中華・好みの中華を見つけてくださいね。


Text&Photo 佐藤貴子/ことばデザイン

 


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