陳建太郎さんと現地四川料理ガイド著者のトークと料理を満喫!四川をキーワードに盛り上がったイベントレポートです。

涙を流し口から火をふく四川料理の会
at 赤坂四川飯店レポート

今すぐ四川省に飛んで行けなくても、四川の街角で食べるような、本場さながらの四川料理をとことん味わっていただこう―――!
そんな心意気で企画された『涙を流し口から火をふく、四川料理の会』が11月15日(土)に開催されました。

当イベントは、現地四川料理ガイド『涙を流し口から火をふく、四川料理の旅』の出版記念パーティーを、著者であり『おいしい四川』主宰の中川正道さん、赤坂四川飯店、80C(ハオチー)で共催したもの。

四川好き、中国料理好き、プロの料理人など53名が集ったこのイベント。とことん食べて飲んで、口から火をふき各々が四川に思いを馳せた、熱い会の全貌をレポートします。

『涙を流し口から火をふく、四川料理の会』宴会場名はこのイベントにふさわしく「成都」。

あの陳建太郎さんと著者の中川さんが登場!

イベントは「おいしい四川料理を食べながら、みんなが交流できるスタイルで」ということで、著者の中川さんの挨拶に始まり、テレビ等でもおなじみ四川飯店三代目・陳建太郎さんのトークでスタート。

左が中川正道さん、右が陳建太郎さん。
左が中川正道さん、右が陳建太郎さん。

実はこの2人、この日まで実際に会ったことはなかったものの、建太郎さんが『涙を流し口から火をふく、四川料理の旅』の帯文を書いており、また中川さんと同時期に四川省成都市に留学していたこともあるという“四川つながり”

中川さんが成都の仲間と一緒に立ち上げ、本の元となったウェブサイト『おいしい四川』のFacebookページに建太郎さんが「いいね!」していたことから、同志としてゆるやかな縁があったそうで、「僕が直接建太郎さんにメッセージを送って、本の帯文を書いてほしいとお願いしたんですよ」と中川さん。そのせいでしょうか、なんだか初めて会ったとは思えない打ち解け感です。

四川飯店の本気を見た! 香りと辛さを楽しむ全11品

当日のメニューは中川さんと建太郎さんが2人でチョイス。内容は、本に掲載されている料理の中から厳選された11品と、お店のサービスで出していただいた杏仁豆腐。待望の料理が提供されるや、歓声とともに行列&食事会のはじまりです。


参加されたお客さまのお皿をパチリ。四川料理がてんこ盛り!

冒菜
冒菜(マオツァイ)
本の29ページで紹介されている冒菜(マオツァイ)は、四川省の味噌汁的な存在。内臓系がこっくり煮込まれ、辛さよりも深うまイイ味わいで、いつまでもすすっていたくなるおいしさ。中川さん曰く「四川の女の子が一番好きな料理」だそうですよ!

回鍋肉
回鍋肉(ホイグォロウ)
四川の代表的な家庭料理で、日本でも知名度の高い回鍋肉(ホイグォロウ)は、下ゆでした豚ばら肉をスライスし、にんにくの葉とともに香ばしく炒める料理。もちろんここでも本場のスタイルで提供です。

担々麺
正宗担々麺
担々麺はゆでたての麺をその場で和えてご提供。白くもちっとしたストレート麺は四川飯店伝統の特注品。甜麺醤が入ったコクのある味わいは、「他の汁なし担々麺と違う」とおかわりの列が続々!

咸焼白
咸焼白(シィェンシャオバイ)
咸=しょっぱい味、焼=汁気がなくなるよう煮込む調理法、白(白肉)=豚バラ肉という言葉を組み合わせた伝統的な四川名菜。担々麺の肉みそに混ぜ込む漬物としてもおなじみ、芽菜(ヤーツァイ)を、豚ばら肉とともに蒸し煮にした一品。

咸焼白
樟茶鴨子(ヂャンチャーヤーズ)
四川ダックの異名を持つスモークダック。樟脳(しょうのう)の原料になるクスノキの葉とお茶を使って燻製にする料理。皮も肉もまるごと薫り高く、一度食べたらやみつきの味!

当日のお品書き

① 涼粉(緑豆デンプンの冷菜)
② 夫妻肺片(牛タンとハチノスの麻辣和え)
③ 豆腐魚(鯉の豆板醤煮込み)
④ 干鍋田鶏(蛙の干鍋醤炒め)
⑤ 樟茶鴨子(スモークダック)
⑥ 咸焼白(豚肉のヤーツァイ蒸し)
⑦ 回鍋肉(ホイコーロー)
⑧ 陳麻婆豆腐(陳マーボードーフ)
⑨ 冒菜(四川の人々が愛するマオツァイ)
⑩ 正宗担々麺(汁なし担々麺)
⑪ 水煮魚(白身魚の山椒オイル煮)
⑫ 鮮果杏仁(フルーツ入り杏仁豆腐)

 

鼻呼吸禁止令、発令!
四川の香りにむせ返る「水煮魚」実演

さらに会場の一角では、本の表紙になった「水煮魚(シュイヂュウユィ)」、別名「沸騰魚(フェイテンユィ)」を建太郎さんがゲストの目の前で調理するという見どころも。

香り出しに使う香辛料を見てみると、青と赤の2種類の花椒に、朝天、子弾頭の2種類の唐辛子、叩いて刻んだたっぷりのニンニク。さらに唐辛子と花椒をベースにした香油も用意されています。

この日の川魚は鯉で、量はたっぷり1kg。チシャトウ、セロリ、芽もやし、きゅうりを手際よく炒め、鯉を油通しした後、赤々とした汁に絡めてザーレンですくい取れば、会場はすっかり四川の香りに…!

続いて野菜とぷりぷりになった鯉を器に入れたら、さきほどの香辛料を「サービスサービス」と言いながらモリモリ乗せる建太郎さん。そして「みなさーん、鼻で呼吸をしないでくださいね」と注意喚起をした後に…

もうもうと熱された油を回しかけると…、

涙を流し、口から火をふく「水煮魚」のできあがりです!

 

 

 

 

 

 

 

1日に10軒巡ったツワモノも!
四川料理をキーワードにしたアットホームな交流会

続いて会場は、2人による料理の解説や著者サイン会、現地情報の交換など、あちこちで四川と料理の話題に花が咲きつつ、最後は2人を囲んで大撮影会状態に。

会場内には「発売直後の9月上旬にこの本を持って成都に行きました」という四川料理人もいて、「成都の街中の店であれば、比較的距離が離れていないため、本に書いてある住所を見せるとほぼ確実にたどり着けましたね。だいたい1日に10軒は巡りました」とのこと。これには中川さんもびっくりです。

また、建太郎さんも「四川飯店では毎年四川省に研修に行っていますが、次に訪れる時はこの本を絶対持っていきます!」としっかりPR。終始笑顔で会場を盛り上げてくれました。

こうして四川の香りに包まれた会は、あっという間にお開きの時間に。「なんで四川料理にここまでするのか?と思いつつも、こうして四川料理を通じていろんな方にお会いできて本当によかったです」と、〆の言葉で中川さんは感無量。

帰りしなには「四川飯店の底力を見ましたね。料理が途切れないのがすごい」「こんな会なら何回でも来たいです」「成都に行く前に四川料理の予習ができてよかった」「この本を片手に、成都へのチケットを探してしまっている自分がいます」と、お客さまからうれしいお言葉も…!

このイベントを通じて、それぞれに四川料理への想いをお持ち帰りいただけたのなら80C(ハオチー)としても感無量。中華好きの輪がちょっと広がり、この先がちょっと楽しみになりそうな手ごたえを感じつつ、会の幕を閉じたのでした。


Text & Photo 佐藤貴子/ことばデザイン