INDEX|自家製中華干し肉、腊肉(ラーロウ)を作ろう

① 肉の選び方
② さっぱり塩燻製
③ こっくり醤油味←いまココ
④ 腊肉料理2選
⑤ 手抜き干し肉
⑥ 腊肉の地域性

続いてご紹介するのは、醤油漬けタイプの腊肉です。漬け汁には醤油、酒、さらに八角や桂皮など、複数の香辛料を加えるため、中国料理らしい香りのよさと、奥行きのある味わいが楽しめます。

ちなみに上海およびその近郊で作られる腊肉は醤油漬けにするものがが多く、食べる直前に蒸した時の色合いは“うま茶色”とでも名づけたくなる、ソソる色。

日ごろ都内の中国料理店を食べ歩いていると、醤油漬けの腊肉を作っている店が多い印象を受けますね。プロの味というと醤油漬けタイプをイメージされる方が多いかもしれません。

こちらも塩燻製タイプ同様、材料さえ揃えば、ほぼ失敗なく作れます。前ページに続き、田村亮介シェフのレシピをご紹介します。

材料(※豚バラ肉1本あたりの分量)

・豚ばら肉ブロック…300g前後
・醤油…100cc(ここではキッコーマンを使用)
・紹興酒…65cc
・砂糖…3g

香辛料
・八角…1個
・花椒…15粒
・唐辛子(乾燥・ホール)…1~2本
・干し椎茸…1枚(小)
・甘草(輪切り)…8片
・桂皮…1片
・生姜(生・薄切り)…1枚

 

香味醤油味の腊肉の作り方

① 漬け汁を作る

ボウルに調味料を合わせ、香辛料を加えます。写真は肉3本分の分量です。干し椎茸は水で戻さずに、乾燥したまま入れてください。

写真の分量はバラ肉3本分です。甘草は漢方薬店で購入できます。
② 肉を漬ける

肉を漬け汁のボウルに入れて浸します。全体が浸るようにまんべんなく漬け汁をかけて。

③ 冷蔵庫で3日置く

漬け汁ごと肉をビニール袋に移し、軽く揉んで肉になじませた後、袋の口を縛って冷蔵庫で3日寝かせます。
「最初から漬け汁をビニール袋に入れても作っても楽ですよ。キッチンポットに厚手のビニール袋を被せて固定し、その中に漬け汁を入れると作りやすいです」(田村シェフ)。

④ 3日後の肉を確認

こうして3日間漬けた肉が下の画像。皮付き豚バラ肉で作ると、漬け汁の塩分でやや脱水され、皮が若干縮みます(写真左)。

⑤ 約2週間干す

ここからは塩燻製と同じ作業。肉の表面の水分を厚手のキッチンペーパーで拭き取ったら、叉焼用フック、またはワイヤーハンガーを変形させて肉に刺し、風通しのよい場所で2週間ほど乾燥させます。

左が醤油漬け、右が塩漬け。漬け込む材料で色が変わります。

香味醤油味の腊肉完成!

こちらが2週間干した醤油味の腊肉です。肉は茶色く締まり、棒のように乾いた状態。皮にポツポツと見えるのは、肉に刺した穴の跡です。

干す日数は、天候やお好みで加減しても大丈夫。干せば干すほど肉は硬く締まっていきますので、まずは2週間で作ってみて、2回目以降で調整してもよいでしょう。

残った漬け汁は、豚の薄切り肉などを軽く漬け、野菜と一緒に炒めものなどにすれば再活用できますよ。

保存はラップで包み、冷蔵庫に入れて約1か月間が目安。20分ほど蒸した後、薄切りにしてお酒のおつまみしてもいいですし、いろいろな料理に活用できます。

次ページでは、簡単でおいしい田村シェフおすすめの腊肉料理2品をご紹介します。

NEXT▶おつまみ、煮もの、炒めもの…!自家製腊肉(ラーロウ)で家の料理を楽しもう!

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① 肉の選び方
② さっぱり塩燻製
③ こっくり醤油味←いまココ
④ 腊肉料理2選
⑤ 手抜き干し肉
⑥ 腊肉の地域性

TEXT サトタカ(佐藤貴子)
PHOTO 丸田歩