「肉松小貝」初体験はここで!中華SNSで人気の中華洋菓子店2選

ひと言で肉松小貝といっても味わいは店によってさまざま。製造・販売している中華洋菓子店の中でも、昨今中華SNSで話題の2店をご紹介したい。

肉松に4種類のバリエーション!いちごやカニ味もある『TATAKO喜七』の肉松小貝

板橋駅から徒歩数分の場所にある『TATAKO喜七』は、小さな工房に隣接した中華洋菓子のテイクアウト専門店。エッグタルトがメインの店だが、昨年から肉松小貝も製造・販売を始めている。

旧中山道のそばに設置された看板。肉松小貝も推し商品のひとつだ。
インパクトある『TATAKO喜七』の塗装。左側にスライドドアから入店する。

ラインナップは、定番の肉松×海苔に加えて、いちご味、ココナッツ味、カニ味の肉松をまとった4種類。もちろん、カニは海産物の蟹だ。

肉松小貝は4個入1,200円。バラ売りは1個300円。餅入りは310円(各税込)。その日作ったものが冷蔵ケースに入っている。
左上から時計回りに、カニ、いちご、ココナッツ、基本の味。

味の要となる肉松は、鶏むね肉をベースに店内で手づくりしているというこだわりよう。ベースとなるスポンジ生地は、台湾カステラのように肌理細かく、弾力に富む。

そんな肉松とスポンジ生地の間に入るのは、酸味の少ないマヨネーズを加えた特製のクリーム。これをスポンジとスポンジの間に薄く挟み、表面にも塗ることで、絶妙な味のつなぎとしているのだ。

『TATAKO喜七』の肉松小貝。回りにまぶされているのは鶏むね肉で作った肉松(肉でんぶ)。散らした海苔もうまみを添えている。

たっぷりとまぶした肉松は甘さも食感もしっかりしており、皿にこぼれた分はそのまま酒のつまみとなりそうな存在感。バリエーションではココナッツと肉の相性のよさは言わずもがな。カニは肉とも魚介ともつかない、新たな地平が見えた。

また、いちご味の肉でんぶは日本人向けに開発した味だそう。見た目を裏切らず、しっかりといちごの風味があり、シンプルな肉松小貝よりもより洋菓子に寄った味わいが楽しめる。

いちご味の肉松小貝。肉松の甘じょっぱさにいちごがのってきるが、日本人向けというだけあって、むしろ食べやすいような印象もある。

同店の肉松小貝は、いずれも甘さとしょっぱさのバランスが絶妙。ラインナップにはSNS映えする餅入りもあるが、初めて肉松小貝を食べるなら、餅入りではないほうが、クリームなどの味わいがしっかり感じられておすすめだ。

甘さ控えめ、でんぶはふわふわ!味のまとまりがよい『發財暴富』の肉松小貝

池袋駅北口から北に10分ほど歩いたところに店を構える『發財暴富(ファーツァイバオフ)』もまた、肉松小貝を売る人気店だ。

『發財暴富(ファーツァイバオフ)』外観。

前出の『TATAKO喜七』は肉松のバリエーションがあったのに対し、『發財暴富』スポンジケーキで挟んだ中身のバリエーションが楽しめる。

ラインナップは、スタンダードな肉松×海苔味に加えて、餅入り(麻薯)、タロイモ入り(芋泥)、塩卵入り(咸蛋黄)の4種類。食材のチョイスに中国らしさを感じさせる。

商品名にピンインが振ってあるので、日本語が苦手な店員さんにも、この通り読めば通じるかも?

小貝のかたちは、四角く焼いた黄色いカステラを切り分けたスクエアタイプ。肉松は甘さ控えめのふわふわとした食感で、マヨネーズが効いたソースの軽い酸味が隠し味になっているようだ。

すべてを同時に口に入れてみると、甘さとしょっぱさのメリハリがあるというよりは、全体がおだやかにまとまっているのが印象的。その点では、初めての人にも食べやすい肉松小貝といえる。

縁起のよさそうな招き猫パッケージ。肉松小貝は2個650円(税込)。
ふわふわの軽やかな肉松。
スポンジはしっかりとした黄色。写真ではわかりにくいが、クリームは白っぽい。

進化し続ける中華洋菓子を今の東京で。

こうした中華スイーツや点心類は、数年前に中華SNSのみで個人販売をしている人をちらほら見たが、コロナ禍の間に実店舗が増えてきている印象だ。

このような店の多くは若い中国人が手掛けており、日本の製菓学校に留学し、卒業後に開業した方もいる。話を聞いた店のスタッフからは「コロナ禍で帰国できなくなり、現地で食べられているスイーツを食べたいと思って作り始めたのですが、このまま日本でやり続けてもいいかも…」というエピソードも耳にした。

日本では、カステラで羊羹を挟んだ「シベリア」のような和洋折衷の菓子が生まれ、昭和遺産的な味わいとなっているが、今ではクリームどら焼きや抹茶スイーツをはじめ、日本の素材をベースにした洋菓子が数えきれないほど定着している。

中国でもまた、自国の素材とセンス、西洋的な技法の融合で、日本的な感性では生まれない中華洋菓子が日々誕生している。それを思うと、肉松小貝が定番を経て、昔懐かしい菓子になる日も、そう遠くないのかもしれない。

記事でご紹介した店

TATAKO喜七
東京都板橋区板橋1-54-7(MAP
※最寄駅:JR板橋駅または都営三田線新板橋駅
TEL 03-5980-9285
営業時間 12:00-21:00(土日は~20:00まで)
火曜定休

發財暴富
東京都豊島区池袋4-24-1(MAP
TEL 080-4164-0627
営業時間13:00-21:30
不定休

※定休日や営業時間等は予告なく変更の可能性がありますので、詳細はお店にご確認ください。


TEXT&PHOTO サトタカ(佐藤貴子)