地物の魚介「小海鮮」を三門ローカルな調理法で食べまくる!
まず出てきたのは、梅桐魚(メイトンユイ|méitóngyú)の蒸し魚です。このあたりのローカルな蒸し魚は、先に魚に醤油や酒をかけ、ぶつ切りの生姜と一緒に蒸すスタイル。仕上げに熱々のピーナッツ油をかける広東式とは味も雰囲気も異なります。

ちなみに浙江省南部で断トツに愛され、圧倒的に高値がついている魚といえば黄魚(きぐち)です。日本では黄魚をイシモチと訳していることが多いですが、正確にはキグチですね。しかし黄魚は高価なので、この梅桐魚をはじめ、米魚、黄衫魚など黄魚に似た魚が選ばれることも多々。
参考までに、台州きっての高級店「新荣記」で東シナ海の野生のイシモチをオーダーしたら、1斤1,000元(500g約17,000円)なんて値付けも珍しくないほど。値付けにはその土地の価値観が表れます。もちろん、埠頭のそばの小海鮮はもっとずっと安いですけどね。
続いては鰆の醤油煮込みです。台州で魚の煮込みというと、ぶつ切りにして紅焼(ホンシャオ|hóngshāo=赤茶色の煮込み)か家焼(ジャーシャオ|jiāshāo=家庭風の煮込み)が定番。ざっくりとした定義ですが、紅焼のほうが煮詰まっていて汁が少なく、家焼は汁がじゃばじゃばした印象があります。

紅焼は中国のどこでも作られる調理法なので、地域によって使う調味料に違いがありますが、台州ではラードでにんにくや唐辛子などの香味野菜を炒め、水、酒を加え、汁気を強火で煮詰めて乳化させていきます。
うちの店ではエシャロットも使いますが、ここでは玉ねぎ。唐辛子は見た目に反して辛くなく、にんにくがしっかりと効いた味わいでした。ちなみに上海の紅焼は、煮込む前に魚を揚げるか、煎り焼きするのが鉄則。一方、台州はいきなり煮込むという違いがあります。全般的に、台州は素朴な田舎料理なんですよね。
葉先がギザギザで、春菊っぽい雰囲気に惹かれて注文したのが鳳凰菜です。見た目に反して、香りは春菊の三分の一くらい。こちらはラード炒めでいただきました。


続いてはゆで牡蠣です。隣のおじさんが白酒を飲みながら牡蠣を食べていたのを見て、港から上がったばかりの新鮮なものが食べたい!と高まってオーダーしてみました。

これがいざ開けてみたら小さいのなんの。ゆですぎなどではなく、もともとがすごくちっちゃいんでしょうね。残念ですがそういうこともあります。
こちらはムツゴロウの香り揚げ。ムツゴロウは中国語で跳跳魚といい、真っ黒い素揚げに。これは泥臭かったなあ。

くにゅくにゅした雰囲気のこちらは魚の腸の炒め煮。沙魚(中国語でサメの意味)と書いてありましたが、本当にサメなのか?

汁物は、豆皮と呼ばれる湯葉と、薄焼き卵を塩豚で味付けしたスープです。三門の近くには塩豚で有名な仙居という場所があり、この界隈の農家楽(農家レストラン)では、炒めものや煮ものに塩豚の脂を使うことが多いんです。

野菜系は、小さなジャガイモを蒸してから冷ましたものを包丁で軽くつぶし、カラリと揚げて花椒入りの塩炒めで。ジャガイモが割けた部分がカリッとした、その焦げが絶妙なアクセントになるつまみです。見ての通りビールに最高!

そして真打ち!青蟹の登場です。紅焼(煮込み)か清蒸(蒸し)が選べますが、持ち帰りの蟹を清蒸にするので、ここは紅焼をチョイス。

しかし食べてわかりました。この青蟹は“目利き”ができていなかったのです。
「身が詰まっていて、メスは卵が入ってるよ」「おいしいし鮮度がいいよ」と言われたものの、食べてみると、うちのホテルで仕入れている青蟹にはとても及ばないものでした。もっと高くてもいいから、専門市場で最上級のものを選ぶべきだった…! いつも質のいいものを仕入れてくれる、腕利きの業者さんの存在の大切さを実感しました。
青蟹の養殖場を眺めながら目利きの大切さを実感
せっかくなので、海から1kmほど引っ込んだ、河口付近にある青蟹の養殖場も見に行ってきました。15時くらいに訪れたのですが、漁師のおじさんは「今日のぶんは朝出荷したからもうないよ」とのこと。
埠頭のおばちゃんは「野生!野生!(天然の意味)」と言って売っていたので、天然と養殖があることがわかりましたが、どちらがいいのかは目利きできないとわかりませんね。

こうして青蟹を巡る旅を終え、天台に戻ってから、三門に行きたくても行けなかった日本料理のスタッフのために持ち帰った青蟹を蒸しました。

青蟹は、しっかり洗って甲羅を裏返しにした状態で生きたまま中華鍋に並べ、葱(分葱)、生姜を入れてふたをして、とろ火で蟹から出てくる水分で蒸します。半分蒸して半分煮るような感じで、蒸籠に入れないのがポイントです。

弱火で全体に熱が回り、蟹から水が出始めたら火を強めます。その前に火を強くすると甲羅が焦げますのでご注意を。時間は20分くらいが目安です。

味付けは青蟹そのものの塩気で十分。好みで浙江省の米酢をつけていただきます!


ガバリと割ると、溢れんばかりの蟹味噌が! これは当たり。

青蟹の味噌は、日本酒でも白酒でもどっちでもいけます。紹興酒ではなく、透明な酒に合いますね。思えば、上海蟹をたべながら日本酒のみたいとは思わないけど、紹興酒は飲みたくなる。やはり食材との組み合わせには地域性があります。
しかし、このうち2杯は脱皮したての蟹。おばちゃんにやられたなあ~。思えばあの時、大きな青蟹1杯を触らせてくれましたが、全部を1個1個持つことはできなかったんですよね。しかも蟹が縛られていないので、うかつに触ったら危なかった。やはり市場で選別された青蟹につくハチマキには、大きな意味がありました。
語り・写真:山口祐介
聞き手:サトタカ(佐藤貴子)








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