濃厚な月餅に負けない飲みものとは?コーヒー&中国茶で味わってみた

「せっかくならば」と欲張って、ドリンクとの相性も考えてみた当企画。まず、1品目の蓮蓉餡と塩卵の月餅は、向井さん持参の岩茶でスタートです。

向井「私的苦手ポイントでもありますが、月餅が甘くて重たいので、それに応えられるのはプーアル(普洱)の熟茶だろうと。しかし広式月餅が多いという話もあり、それではあまり面白くないなということで、烏龍茶の中でも力強さが特徴的な岩茶(巌茶)をチョイスしました」

そんな意図でチョイスされた一杯目は、「甘露」でも提供している福建省武夷山の「巌茶肉桂」(1,300円 税別)。

ツボイ「想像していた岩茶より上品。伍仁、芋餡、冬瓜餡、酥皮(パイ生地)には合いますね。一方蓮餡、紅豆、黒胡麻には負けてしまうかも」
アイチー「深く焙煎された岩茶は、中秋の季節にも気分が合いますね」
サトタカ「エグみがなく、ボディはしっかり目。この岩茶は秋にぴったり」

2つ目は、向井さんが自宅から持参した清香タイプの岩茶。

アイチー「上品な香りと穏やかな表情。でも月餅のパワーに推されてしまうかなあ」
サトタカ「こちらは先ほどの巌茶肉桂の後に飲むと、薄まったように感じてしまうかも」

続いては、ぴーたんが持参したプーアル生茶と金芽紅茶。

プーアル生茶はプーアル茶に使う茶葉を緑茶の製法で作ったもの。こっくりとしたプーアル熟茶と異なり、すっきりとしてほんのり苦味もあるものもある、強めのお茶です。一方、金芽紅茶は白い産毛に覆われたゴールデンチップ。どちらも雲南省産です。

ツボイ「先ほどの清香タイプの岩茶と金芽紅茶は、茶にもっと温度がほしい感じですね。中国茶用の小さな茶杯ではなく、少し大きめの茶杯に入れたほうが冷めにくいので、月餅ともっとあう気がします」
ピータン「プーアル生茶は、月餅の脂分とお茶の苦みの波長が合いませんね」
サトタカ「紅茶ならアッサムのような濃くふくよかな味わいの茶葉で、ミルクティーも合いそう」

なめらかな口当たりに深いコク。驚きのフレンチローストコーヒー

そしてコーヒーを淹れたのは、すべての月餅の試食が終わった締めのタイミング。豆は堀口珈琲「インドネシア LCFマンデリン」フレンチローストです。

「LCF」とはリーディングコーヒーファミリーの略。栽培や精製などの生産過程で、農園と長く堅いパートナーシップを築くことによって、より高品質の豆づくりを追求しているグループを意味します。

アイチー「マンデリンは知名度のある豆で、多く流通しているので『あ〜、飲んだことあるよ』という人も多いよね。でもLCFマンデリンは、飲み慣れた人も新たな香味にビックリして、以後虜になる人が多いって言われてるの。

月餅とのペアリングに、お茶もあるってことだったので、コーヒーの出番は終盤〜食後だと思ったんだよね。そこで月餅の重厚で濃厚さな味わいを食べ重ねた後の口と胃に適するであろう焙煎度としてフレンチローストは即確定!

淹れたては口当たりが滑らかで、少し時間が経ったあと、苦みや甘みが複雑に見え隠れしつつしっかり味わえるコーヒーがこれ。油分たっぷりで重々しくなってきた口元や胃をスッキリさせつつ、味わいも月餅に負けないであろう!ということで選択したよ」

この深い考察には一同「おお~」。28年モノのグラインダーでゴリゴリと豆を挽き、淹れてみると…

ツボイ「ひと口目は滑らかなのに、月餅の甘さと脂をリセットさせる強さと、独特の風味がありますね。最後までブラックで飲み干したくなります」
サトタカ「マンデリンはブレンドのベースになったりするけど、この豆一種類の力強さと、酸味がなくても口当たりの滑らかさと複雑味のある味わいで、おっしゃる通り最後までブラックで飲み飽きない」
ぴーたん「コーヒーの苦味と香りにほっとします」

飲み終わりも胃が疲れず、むしろスッキリ感からか食欲がわいてくる印象。そこにアイチーからさらなる提案が。

アイチー「途中で生クリームを入れてみて!フレッシュクリーム(乳脂肪分35%)を入れると、スマトラの森林を思わせる独特の香りが立つような味変を楽しめるの。ミルキーさが加わると、月餅の生地を中心に、ブラックの時と異なる相性の良さがあるなぁ、と思って」
ツボイ「スマトラの森…。スマトラ虎がいるあの森?」

たしかにボディのしっかりした濃厚なコーヒーとクリーム、月餅はそれぞれを活かしあう強いトライアングル。

サトタカ「この流れだと、月餅と牛乳もいけるね」
ツボイ「北京留学時代、ロシア人のルームメイトがその組み合わせで食べてました」
サトタカ「子どもは牛乳、ちょっと大きくなったらカフェオレやクリーム入りコーヒーって合わせ方もいいね。同様にティーオレも合いそう」

フィニッシュのコーヒーが、皆の頭も舌も気持ちもスッキリとさせ、最後にいい印象を残した模様。最後に飲むことを想定してのアイチーさんのチョイスはさすがでした。ここまではメンバーが好みの月餅ですが、それ以外の月餅も個性さまざま。食べ比べた横浜の月餅をご紹介します。

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