にんにく炒め、餃子、スープ…いざ、めくるめくクレソン料理の世界へ!
クレソンを多食する広州。最も単純な食べ方は、「炒める」だ。但し、クレソンの場合、単なる「清炒(塩炒め)」よりは「蒜蓉炒(にんにく炒め)」にすることが多い。個性の強いクレソンには強い味付けの方が合うということだろう。
クレソンの独特の苦味と香りがにんにくでいなされ、実に旨い。この量もペロリだ。
ほのかな苦みと爽やかさと。飲茶の世界は餃子にクレソン。
クレソンは、餃子の具としても活躍する。飲茶の点心で出会った爽滑西洋菜餃は、小麦粉の皮で作った水餃子で、「爽滑=つるっとなめらか」な皮の中には、クレソンと海老・豚肉の餡がたっぷり。旨味たっぷりの具の中で、クレソンの香りや食感が良いアクセントになる。
一方、松子西洋菜餃は、浮き粉で作った蒸し餃子だった。むっちりした半透明の皮の中には、松の実とクレソンがぎっしり。松の実の小気味よい食感とクレソンの個性が響き合う。
乾物を煮てよし、生のまま後入れもよし。煮込みスープにクレソン。
お次は、煲湯(広東式煮込みスープ。詳しくは、こちら)。「スープは2時間煮込まなければただの水」と公言し、スープに対しては中国一のこだわりを持つ広東人は、当然、煲湯にもクレソンを活用する。
生のクレソンを煮込みの最終段階で入れる場合もあれば、西洋菜干(干したクレソン)を最初から入れて煮込む場合もある。いずれもクレソンのほろ苦さと香りがスープに奥行きを生む。
もっとも、広東人も毎日2時間スープを煮込むのは大変なようで、牛肉とクレソンをさっと煮るだけの西洋菜滾牛肉湯というスープもある。「滾」とは煮えたぎる湯で短時間火を通す調理法で、大量のクレソンをグラグラ煮てから、下味をつけた薄切り牛肉を入れる。
クレソンと牛肉の相性の良さがよくわかる料理である。さっと煮た柔らかな牛肉を頬張ると、クレソンの香りとほろ苦さがからみ、とても爽やかだ。
思いのほかしっかりした旨味があり、食べ応えも十分。簡単なのに、新鮮な味わいを楽しめるのがいい。僕の本にもレシピを載せてみたので、ご興味がある方はぜひ。
続いては、クレソンの大量消費に打ってつけの食べ方をご紹介する。