台湾料理によく使われる食材で、一度知ってしまうとハマるものいえばタロイモ(芋頭|ユートウ|Yùtou)です。
タロイモはサトイモの仲間で、料理、スイーツ、ドリンクなどで楽しまれている国民的な食材。タロイモの料理やスイーツが好きすぎる人を称する「芋頭控|ユートウコン|yùtóukòng」という言葉もあるほどで、SNSで「#芋頭控」で検索してみると、タロイモ料理が続々出てきます。
タロイモを使った代表的な料理には、芋頭粥(タロイモのお粥)、芋頭米粉湯(タロイモのスープビーフン)、芋頭煮(タロイモの煮込み)、芋頭湯(タロイモ入りスープ)に加え、鍋や粽の具になるなどいろいろな食べ方がありますが、特に台湾で目立つのがタロイモのお菓子、スイーツですね。
かき氷や豆花のトッピングの定番となっている芋泥(タロイモペースト)や、芋圓(タロイモだんご)、タロイモチップス、芋頭酥(タロイモ餡をサクサクした生地で包んだ焼き菓子)、芋頭冰(または芋仔冰、タロイモシャーベット)、タロイモミルクといったドリンクなど、さまざまなバリエーションがあります。
旅行中はあまり利用しないかもしれませんが、台湾のマクドナルドでは「香芋派(タロイモパイ)」が期間限定で販売することも(2024年は10月2日~11月12日が販売期間です!)。また、台湾の「しゃぶ葉」では具材の野菜コーナーにタロイモが並ぶなど、外資系の飲食店もタロイモをしっかり取り入れローカライズしており、さすがと思います。
ほかにも、タロイモで作った餅「芋粿|ユーグゥオ|yùguǒ」(芋粿巧・芋頭巧(台湾語でオークェイキャウ)とも呼ばれます)は、台湾のみならず福建省、広東省沿岸部でも見られるもの。祭祀の際にも食べられており、この一帯の繋がりを感じられる料理のひとつです。
また、台湾人の友人から聞いた話では、「台湾では火鍋にタロイモを入れるかどうか論争がある」のだとか。問題は、スープにタロイモが崩れてドロドロになるのが嫌かどうか?という話のようです。みそ汁にじゃがいもを入れるかどうか、という話に通じて興味深いですね。
日本の里芋もタロイモ!? タロイモの定義とは?
ところで、そもそもタロイモはなにか?と言うと、実はサトイモ科のイモの総称です。断面が白く、ねっとりとして艶のある日本の里芋も、またタロイモの一種と聞くと、ちょっと驚きますよね。
そのため、日本では里芋は里芋、海外産のサトイモ科のイモはタロイモと区別しているのが一般的。地域によっていろいろなタロイモがありますが、台湾では白っぽい断面に紫の筋が入った「檳榔心芋」がよく食べられています。
ルーツを遡ると「檳榔心芋」はインド東部やインドシナ半島が原産で、台湾には16世紀ごろに伝来していたよう。特に産地として名高いのは台中市の大甲。台湾の市場でタロイモ売り場に行くと「大甲芋頭」と書かれた札が見られます。
台湾産のタロイモの特徴は、手のひらよりも大きく育った芋、ねっとり感は少なくほくほくとした食感、ほんのり甘い香り。
タロイモの香りはお伝えするのが難しいのですが、鼻をくすぐられるような甘さがあり、一度覚えると、「あ、タロイモの香りだ!」とわかるようになります。台湾人の友人・知人は「台湾のタロイモは香りが強い」と話してくれる方も多いです。
そんなタロイモ料理が楽しめる店を、次のページではご紹介します。