マツコさんが実食!貴州の酸湯系火鍋&伝説の料理人の子孫が受け継ぐ極上スープ系火鍋

辛くない火鍋つけだれの世界進化形麻辣火鍋マツコ実食火鍋

番組で、大陸の火鍋マップを紹介した際、局地的に火鍋の種類が多い地域がありました。そう、貴州省です。

中国の西南部にある貴州省は「三天不吃酸、走路打窜窜(3日酸を食べなければ、足下がおぼつかなくなる)」と言われるエリア。発酵の酸味とうまみを生かし、そこに唐辛子を加えた酸っぱ辛旨系の味付けがお家芸です。

なかでも貴州省に住む苗族(ミャオ族)や侗族(トン族)などの少数民族は、「酸」と呼ばれる発酵調味料を自家製する方が多いです。酸になる食材はトマトや蕨などさまざま。基本的に甕の中で乳酸発酵させ、火鍋をはじめとする料理の“味のもと”として使っています。

激安食べ放題店の仮面を被る、隠れ貴州料理店。「王さん私家菜」の紅酸湯(ホンスァンタン)

外観は完全に激安食べ放題中華料理店ですが、在日貴州人に「隠れ貴州料理店」として人気なのがこちらの店。グランドメニューにはありませんが、事前予約で作ってもらえる裏メニューが紅酸湯(ホンスァンタン)こと発酵トマトの火鍋です。番組では酸湯火鍋と紹介されていました。

王さんは貴州省東南部出身の苗族で、鍋の素となる「紅酸(ホンスァン)」の作り方は叔母さんから教わったもの。発酵したトマトと唐辛子の旨味、酸味、辛味に、レモングラスに似た香りの木姜油(ムージャンヨウ)の香る鍋スープは、麻辣火鍋のみ火鍋だと思っていたならば衝撃の味。どちらかというと、東南アジアを彷彿とさせるテイストもあります。

具は野菜などの盛り合わせに豚肉、牛肉、羊肉(いずれも冷凍ロール肉)が基本。事前にリクエストすれば鮮魚の注文もOKです(魚を使うと「酸湯魚」と呼ばれます)。さらに焙煎唐辛子とドクダミが入ったつけだれもガチ。

火鍋に追加で料理を頼むなら、グランドメニューではなく、壁に貼られた貴州料理に挑戦してみましょう。新しい味覚の扉が開くこと請け合いです。[紅酸湯は要予約

飲むたび身体に染み渡る!滋養系スープ火鍋「四川料理 花重」 

四川料理 花重

中国料理をはじめ、食の世界にどっぷり浸った方であれば、趙楊(ちょうよう)氏の名前を知らない人はいないはず。

四川省の省都・成都市の迎賓館であり、国賓をもてなしてきた「金牛賓館」。その料理長に20代で抜擢され、のちに奥様となる日本人女性と巡り会い、輝かしいキャリアを捨てて来日。以来、日本に知られざる四川料理を伝え、惜しまれつつ店を閉じた伝説の料理人です。

そんな趙楊氏を支え、直々に料理を学んだ娘さん夫婦が開いた店が「四川料理 花重(かえ)」。いつ訪れても店内はスパイシーな香りに満ち満ちて、座っているだけで食欲がわいてしまいます。

同店の火鍋は、すべて丁寧にとられたスープがベース。麻辣火鍋の脂を丁寧に取り除き、飲んでおいしいスープに高めた麻辣湯、自家製発酵野菜と魚のスープでつくる酸菜魚湯、きのこをベースにしたアガリクス薬膳湯、馥郁たる黄酒の香り漂う老酒清湯など、基本のラインナップが充実しています。

さらに秋は上海蟹、冬は豚足と白いんげん豆など、食材の旬と日本の気候風土に合わせ、名菜を火鍋にアレンジしたスープも必食! 具も豊富ながら、ついついどのスープも飲み過ぎてしまい、最後には腹パンに…![要予約

火鍋は体験!酸いも辛いも旨いもある

思えば、単語は耳にしたことがあっても食べたことがない、という人が多いであろう火鍋。興味があっても、辛いものが苦手だったり、何が入っているかよくわからないのでちょっと怖い、という方もいますよね。もし、この番組を機に、火鍋の全体像がわかり、食べてみたい火鍋が見つかったなら、出演者冥利に尽きます。

ここで詳しくご紹介した以外にも、牛の第一胃袋の中の半分消化した草を鍋汁にした牛瘪(ニウビエ)、蕨の発酵液を使った腌湯(アンタン)など、大陸に行けば日本ではちょっと再現できない火鍋もわんさかあります。興味のある方は足を伸ばしてみると、新たな火鍋の世界に開眼するかもしれません。

80Cでも、引き続きユニークな火鍋があればご紹介していきますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いします。


TEXT&PHOTO サトタカ(佐藤貴子)
MOVIE ぴーたん(大珍樓のヤギ鍋)