「池袋で中華を食べよう」となると、まず足が向かうのは池袋駅駅西口から北口エリア。

これまで80C(ハオチー)で紹介してきた店の中でも、冒菜定食の『蜀簽(しょくせん)』、ドクダミ料理を紹介した『品品香(ピンピンシャン)」』、ハラル中華『阿麗婭(アリヤ)』、煎餅果子も出している『串串香麻辣湯』や『阿蘇米線』 、肉まんがおいしい『章記点心』 といったように、このエリアには多くの魅力ある中華料理店が登場。

しかし最近は、東口も中華が熱い!『四川魚料理 蜀魚記(しょくうおき)』は、新たな“熱”の発源地として、池袋東口での存在感をじわじわ大きくしています。

多彩な四川の魚料理を調理するのは、都内の四川料理店などで腕を振るってきた5人の四川人厨師(料理人)。料理長は、2019年10月「麻哥麺(マーゴーめん)」で80C(ハオチー)に登場した、馬さんです!

3月15日のプレオープンから、いち早く情報をキャッチした中国人のお客様を中心に賑わい、話題になっている同店。3月28日のグランドオープンから4月28日までの1ヶ月間は、開店記念サービスとして”恭喜发财(恭喜発財)”88折(12%割引)を実施中です。早速注目の魚料理をご紹介していきましょう。

「蜀魚記」で食べるべき三大四川魚料理はこれだ!

①焼いた魚を麻辣スープに浸して食べる、麻辣烤魚(マーラーカオユィ)

麻辣烤魚

店名の通り、店のイチオシはド迫力の魚をまるまる使った活魚料理! 招牌菜(看板料理)の麻辣烤魚(マーラーカオユィ:málàkǎoyú)では、なんと1.5kgのスズキを使用。運んでくださる店員さんを見ていると、ビッグサイズの四角い鍋を手に緊張感満点、小さな歩幅でそーっと進むほど。

卓上で火にかけ、少し煮込んだら、熱々の麻辣スープが絡んだ頬張りサイズの魚をひとかけらぱくっ。ふんわりとした軽やかな口当たり、そして噛むとプルンと弾力しっかり。魚の下で一緒に煮込まれていたジャガイモ、キクラゲ、豆モヤシにも味が染み、箸がすすむ!

辛さは「小辛」「中辛」「大辛」とわかりやすく3段階設けてありますが、実際はさらに細かな希望に対応してくれます。今回は「小辛以上中辛未満、中辛をちょっと軽くした程度」でいただきました。好みの麻辣度合いで、モリモリ食べましょう!

②煮え滾る油の中にスパイスが躍る!沸騰魚(フェイタンユィ)

器の上に大量の唐辛子と花椒がドッサリ!強烈なインパクトを放つビジュアルが目を惹く沸騰魚(フェイタンユィ:fèiténgyú)も、この店の招牌菜(看板料理)のひとつです。

沸騰魚は、下ゆでした魚にたっぷりの唐辛子と花椒をのせ、熱々の油をじゅわっとたっぷりかけた料理。完成形が似た料理に水煮魚(シュイジュユィ:shuǐzhǔyú)がありますが、こちらはスープで魚を煮込んだのち、熱々の油をかけ、唐辛子と花椒の香りをたたせています。

しかし、現在は両者の定義が入れ替わっていたり、さらには一緒だと説明されることも少なくなく、混沌とした状態にある模様。料理長の馬さんによると『蜀魚記』は老式(昔ながらの製法)で、ゆでた魚に油をかけて作っているそう。

中辛で注文しても、大量の唐辛子に埋もれるビジュアルに驚かされますが、見た目の印象に比べて辛さは穏やかに感じることでしょう。こちらも辛さは加減できます。

そして、メニューや店内掲示に書かれていないのですが、『蜀魚記』で沸騰魚を食べると“2度美味しい”特典があるのです。それは、鍋に広がるたっぷりの唐辛子と花椒を刻んだ「辣椒碎|ラージャオスイ」がもらえること

炒飯など炒めものに加えたり、麺にちょこっとのせてアクセントにも。お店の方に尋ねると、1週間ほど使えるとのこと。注文したら辣椒碎を持ち帰りたい旨を伝え、家でもお楽しみください。

沸騰魚の注文で辣椒碎のお土産ができるとは二度おいしい!

③揚げた魚を豆板醤ソースで煮込む「大千干焼魚(ダーチェンガンシャオユィ)」

大千干焼魚。他の魚料理同様、辛さはお好みでリクエストOKです。

そして3つ目。先の2品に比べるとまだオーダー数は少なめですが、好奇心旺盛な80C(ハオチー)読者の皆さんにぜひおすすめしたいのが、大千干焼魚(ダーチェンガンシャオユィ:dàqiāngānshāoyú)、揚げ魚の辛味ソース煮込み。四川省内江生まれの著名な画家・張大千の家に代々伝わった料理です。

辛さと香りのもとは、泡椒(発酵唐辛子)、豆板醤、炒酥肉粒(細かく賽の目切りにした豚バラ肉のカリカリ炒め)、香味野菜などで作った辛味ソース。このソースで揚げた魚を「見油不見汁(油は見えていてもソースが消える)」まで煮込みます。

ソースの味わいをしっかり吸い込んだ魚は、文句なしにクセになるうまさ。揚げた豚バラ肉が甘みと食感のアクセントになっていて、全長40cm超、迫力あるサイズのスズキもたちまち完食間違いなし!ぜひ食べてほしい逸品です!

魚種はおまかせも指定もOK!タッチパネルか生け簀で選ぼう

なお、魚料理の魚種は、店おまかせもできれば、自分で選ぶこともできます。タッチパネルから料理を選択した場合、魚種はお店におまかせ。活魚料理はスズキ、魚頭(文字通り魚の頭)料理はヒラメが多い模様です。

自分で選びたいときは、生簀から食べたい魚を選んでから、調理方法を決めます。生簀にいた魚貝類の一例を挙げると、鲈鱼(鱸魚|スズキ)、比目鱼(比目魚|ヒラメ)、鲤鱼(鯉魚|コイ)、鲫鱼(鯽魚|フナ)、鲍鱼(鮑魚|アワビ)などがありました。

どちらを選んでも、豪快な活魚料理をモリモリ堪能したい!という欲望をきっと満たしてくれることでしょう。

注文はタッチパネル式。魚種を選びたいときは生け簀を見て注文します。
店内にある生け簀。こちらから好きな魚を選べます。

四川省の郷土料理と現代中国スイーツに萌える

『蜀魚記』は魚以外の料理も充実。スモーキーな薫り広がる自家製の腊肉(ラアロウ:干し肉)、フワッとトロッとした食感の脳花(ナオファ:豚の脳みそ)、カボチャと牛肉が一体と成す、軟らかな粉蒸肉(フェンジェンロウ:米粉をまぶして蒸した牛肉料理)など、定番の四川料理が食べられます。

毛並みの再現度が高い小狗冰淇淋(ワンちゃんアイスクリーム:チョコ味)も注目の一品。写真映え間違いなし!

茶树菇炒腊肉(茶樹茸とラーロウの炒め)。腊肉は自家製の干し肉。
金瓜粉蒸肉(カボチャと牛肉の米粉蒸し)。
剁椒蒸脑花(刻み発酵唐辛子と豚脳味噌の蒸し物)。
小狗冰淇淋(ワンちゃんアイスクリーム)

料理と一緒に楽しめるドリンクは、白酒に漢方薬材を漬け込んだオリジナル養生酒や日本酒など幅広い品揃え。ノンアルコールは、中国でおなじみ『元気森林』シリーズや『維他奶』レモンティーなどが並びます。

マカ、朝鮮人参などを使った自家製のオリジナル養生酒。ソーダなどで割って飲めます。

昼夜通し営業で、いつでも四川の魚料理が楽しめる!

さらにうれしいのは、なんと昼夜通し営業ということ!ダイナミックな魚料理をはじめ、グランドメニューを終日楽しめるほか、平日限定でランチセットも提供しています。

ランチセットはメイン1品、小菜、ライス、汁のない料理にはスープも付いて、限られた昼休みにスピーディーに満足できる内容。

さらに充実を図ろうと、魚or肉or豆腐料理のいずれかに、野菜料理が加わったメイン2品のボリュームセットや、デザート付きのセットなど、ラインナップをブラッシュアップ中。新たなセットが生まれる可能性もあります。

ランチセットがタッチパネルに載っていなくても、店員さんに確認してみてくださいね!

香辣鱼头(香辣魚頭:魚の頭のピリ辛煮)・蒜茸油麦菜(油麦菜のニンニク炒め)・小菜・ライス・スープ(卵と豆苗)がセットに。この日の魚はヒラメでした。
酸菜鱼(酸菜魚:白身魚切身の酸菜煮込み)。思わず「すごっ、こんなに!?」とつぶやいたボリューム感に、圧倒されます。こちらは酸菜魚のスープは飲めるため、別途スープはついていません。

客席間の炎の演出や、可愛らしい壁画など、華々しい店内装飾も『蜀魚記』のみどころ。今の中国を感じるひとときを楽しんでください!

客席の間に燃える炎が!今までにない演出です。
壁のアートにも注目してみてくださいね。
蜀魚記(しょくうおき)

東京都豊島区南池袋1-26-2 近代グループビルディング3号館 7階(MAP
TEL 03-6812-1600
営業時間 11:00-23:00(通し営業)
ランチセット提供時間 平日11:00-14:30L.O.
年中無休

☆池袋東口五差路、グリーン大通りと東栄会本町通りの交わる角のビルです。
☆ビルの1階にはエレベーターが2台ありますが、7階へ昇れるのは右側のエレベーターのみです(ビル名記載の下にあるエントランスを入ってすぐ)。


text & photo :アイチー(愛吃)
『中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう』主宰。中華料理にまつわるコーディネート、アドバイス、監修などを行う。一つの「食」を愛し、味も知識も徹底的に極めた「偏愛フーディスト」がプロデュースする期間限定レストラン『偏愛食堂』中華料理担当として、多彩な中華地方菜の楽しさを伝える。