『新橋亭』の焼売を最高においしく食べたい!そのタイミング&食べ方は?
以前、新橋亭に食材を配達していた営業マンから聞いた話がある。
「新橋亭の焼売が一番おいしい時間は朝10時半なんですよ。開店前に蒸したてを厨房で立ったまま食べるのが最高なんです」。
それはそうだと思っていたが、この取材で理由がわかった。肉の粒を残し、ふわっと調味料をまぶすからからこそ、肉粒の間で脂(ラード)がぴゅるぴゅると対流する“蒸したて”がベスト・オブ・ベストなのだ。
大きな蒸籠の蓋を開けると、飛行機が雲の中に突入したかのように湯気で視界が遮られ、一瞬湯気が引けたとき、てっぺんにキラキラ光る肉汁を湛えた焼売が現れた。
しかし、誰もが厨房で立ち食いすることはできない。ならば、いつどのように食べるのがベストか。
答えは、開店同時の11時に店を訪れ、店内で食べる。つまり、限りなくできたてに近いタイミングを狙うのだ。座ったら大至急焼売を注文したいところだが、それだけだと気が引けるので、焼売がセットになったランチセットもいいだろう。
1個90gの重量級だけに、食べ方に戸惑うかもしれないが、ここは運ばれたらすぐに上からガブリといこう。なぜなら焼売を箸で割ってしまうと、底にたっぷりと溜まったとろけるラードが皿に食われてしまう。
一口食べれば、まるで肉粒が立った小籠包の如し。蒸した直後は、焼売の皮の中でクリアな脂が対流しており、そのいきいきとした食感に思わず目を細めることだろう。
店では千切り生姜を添えて出されるので、まずはそのままガブリ、次いで生姜と黒酢を一緒にガブリ。すると、二口目はぐっと味わいが引き締まり、もう三口、さらに四口と食べたくなる。
ちなみにこの焼売の作り方は、餡べらを使うか、菜箸を使うかの違いこそあれ、今も上海の古い街で見られる焼売の作り方とほぼ一緒というのが興味深かった。
『新橋亭』の焼売が誕生したのは1940年代後半から50年代の話。創業者が1940年代前半まで上海で腕をふるっていたことを考えると、ここにオールド上海の味が宿っているのかもしれない。
新橋亭 新館
※記事では『新橋亭』と記載していますが、現在の旗艦店であり、今回取材した店舗は『新橋亭 新館』になります。
〒105-0004 東京都港区新橋2-4-2(MAP)
営業時間 11:00-22:00
TEL 03-3580-2211
定休日 年末年始(12月31日-1月3日)
オフィシャルサイト
TEXT サトタカ(佐藤貴子)
PHOTO キッチンミノル
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