炒めもの、煮もの、天ぷらをはじめ揚げものなど、幅広く活用できるしいたけ。自然環境下で原木栽培の場合、収穫の時期は春と秋の2回。つまり今がしいたけの旬だ。

そこで今こそ“やりどき”なのが、家でしいたけを育てることだ。SNSなどで見たことのある方も多いと思うが、森産業の「しいたけ農園」ですぐできる。そう言われてもリアリティがないかもしれないが、成功者のしいたけ農園(冒頭の写真)を見たら、心が動く人もいるのではないだろうか。

ちなみに現在スーパーに出回っているしいたけは、ほとんどが菌床栽培である。それにより通年の栽培と収穫を可能にしているわけだが、家でやる場合はしいたけ栽培のための空調管理が難しいため、実際の旬に近い環境の方が育てやすい。つまり、今だ。

原木栽培のしいたけ。こちらはハードルが高い。(photo by shutterstock)

私が栽培したのは2020年の4月。前述の通り、今の気候はしいたけの旬でもあるので、非常に生育状態がよかったしかも菌床は、除菌ティッシュの筒ほどの大きさで、狭い家でもまったく問題ない。

今春、新しいことを始めたいけれど何も思いつかない。身近に育つものがほしい。そんな方は、短期間で達成感が味わえるしいたけ栽培をしてみてはいかがだろう。10日もすれば、穫れたての瑞々しいしいたけがあなたを待っている。

今日からしいたけ農園主!インテリアと実益を兼ねたしいたけ山を手に入れよう

「しいたけ農園」の外箱の記述によると、栽培可能時期は栽培温度が10℃~20℃を確保できる時期。6月~9月の高温時期の栽培は温度管理が重要になるため、やはり今がやりどきだ(しつこい)。

「しいたけ農園」の栽培説明書。夏~初秋限定のきくらげをはじめ、季節限定キットもある。

栽培方法はこの上なく簡単。最初に栽培ブロック全体を水で濡らし、表面が乾かないよう、1日1度霧吹きで湿らせるだけでしいたけが育つ。以下、ダイジェストでしいたけ栽培日記をご紹介する。

<1日目>ずぶ濡れにする

栽培ブロック全体を水で濡らして湿らせることが、このしいたけ栽培で一番労力がいるところである。あとは毎日霧吹きを吹くだけだ。

<2日目>変化なくじらされる

栽培ブロックの周りを湿らすようにして放置。すぐには顔を出さず、じらしてくれる。

写真は栽培容器(写真の透明のもの)がセットになったもの。容器が不要の場合は栽培袋付きのものがあり、そっちの方が安い。

<3日目>目玉のおやじになる

植え付けられていたしいたけ菌が膨んできた。目玉がたくさんあるようで気持ち悪いが、ずっと見ているとポップコーンのようにも見えてくる。

<4日目>太い首で空を仰ぐ

目玉のおやじの首(軸)が伸び、傘ができると、ぐっときのこらしさがでてくる。皆が空のほうに向かい、むーんと伸びているのが愛おしい。

<5日目>ブラウンマッシュルーム×ホンシメジ化

ひと回り大きくなり、ホンシメジのような軸の太さと、ブラウンマッシュルームのような丸い傘に変化。

<6日目>ミニしいたけになってきた

いきなり小さなしいたけの風格を醸し出してきた。子供から大人への転換点。

窓辺のしいたけ。

<7日目>成長して密になる

大きいもので傘が3~4cmに成長。それぞれが膨らみ、密になってきた。

<8日目>丸っこく厚みのある美ボディ

完全にしいたけ。傘の淵がくるっと巻いてきた。まるで店で売っているような、形のよいしいたけだ。

成長ぶりを夫に見せたら、「近未来の建築みたいじゃない?青空バックに撮ったらかっこいいよ」。(え、きのこってじめじめしたとこで育つんじゃないの…)とは思ったが、違う世界観なのでやってみたらなかなか壮観。

ベランダにて撮影。インテリアと実益を兼ねた自分だけのしいたけ山。

<9日目>そして収穫を迎える

今日穫るか、それとも明日まで待つか。悩んだ末、巻いていた傘が少し広がってきたため、収穫を決意。

もぎ取ると、傘の裏に白くきれいなヒダができていた。

収穫できたのは全部で92個。初日に全部取り切らず、小さいものは翌日に収穫した。

大きさで分類すると、小48個、中24個、大20個の合計92個。手で持ち上げられるほどのきのこの山に、これだけ生えていたとは…!野菜などの栽培経験がなくてもまず失敗しないので、手軽に成功体験を得るにはもってこいだ。

これだけでも達成感があるが、胃袋に収まるまで楽しみは終わらない。あらかじめ想定していた3つの中華料理を作った。

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