2:白メシとの相性抜群!飯泥棒を注文しよう
長江中流~下流域、洞庭湖の南に位置する湖南省は中国有数の米どころ。日常の食卓には、料理とともにごはん(白飯)は欠かせません。
現地の料理店では、注文しなくても白飯が問答無用で提供されるところもあるほどで、そもそも湖南人は、激辛そのものを愛しているのではなく「白飯にのせて頬張る辛い料理を愛している」という説も。
そこで思い出すのが「湖南人辣不怕(湖南人は辛くとも恐れず)」という冒頭のことわざです。もしかしたら、白飯の存在があるからこそ「辣不怕」なのかもしれません。そんな飯泥棒な料理はこちらです!
濃厚で辛い!汁無し火鍋「干鍋(ガングゥォ)」
食材をスパイシーな調味料で味付けし、火にかけながら熱々の状態で提供する干鍋(ガングゥォ:汁無し火鍋)。なかでもモツを使った干鍋は、湖南省をはじめ、湖北・江西・四川・重慶など広域で愛されており、モツの甘みと唐辛子の辛味は言うまでもなくぴったり!


料理名は、豚の大腸を使った汁なし火鍋は干鍋肥腸(ガングゥォフェイチャン:干锅肥肠)。牛モツを煮込んだものは干鍋牛雑(ガングゥォニウザー:干锅牛杂)などと表記するのが定番。
ですが、紅煒牛雑(红炜牛杂)、すなわち紅色に光り輝く牛モツ料理、なんていう呼び方もするようです。新しい呼称を目にしたとき、中国の料理の表現の豊かさを感じますね。
外カリッ、中ふわっ!湖南名物揚げたまご「金銭蛋」
昔のお金に似たかたちであることから、金銭蛋(金钱蛋)の名がついたたまご料理。輪切りにした“銭形”のゆでたまごを、唐辛子とサッと強火で炒めています。
唐辛子の香りと彩りに、たまごの黄金色が加わり、目にも楽しい一品。外側カリッ、内側ふわっとした食感も豊かです。湖南省名物であることから、湖南蛋とも呼ばれます。
ちなみにこちらの料理は、もともとグランドメニューにはありませんでした。以前、筆者が主催する「中華地方菜研究会」の湖南編イベントにリクエストしたところ、参加者のみなさんから大好評! のちの予約でリクエストが続き、レギュラー化に至りました。
高菜漬け×唐辛子は最強の飯泥棒!姫タケノコたっぷりの「小笋酸辣肉末」
姫たけのこ(小笋)と、湖南省産の乾燥朝天辣椒(辣)・高菜の漬物(酸)・ひき肉(肉末)を炒めた料理。
この味付けは、高菜の酸味と塩気に、唐辛子の辛さが加わって、食欲を刺激するのに最高の組み合わせ。ぱらりと白飯の上に散らしかきこみはじめたら、もう止まりません。「李厨」ではグランドメニューではありませんが、別紙や壁貼りメニューとして追加されることもある一品です。