台湾の屋台料理の代表格、ピリ辛の胡椒餅。スパイスや肉の香りを楽しみつつ、肉汁を飛ばさないよう焼きたてのアツアツを頬張るのが台湾旅行の楽しみ、という方もいるのではないでしょうか。
ここ数年は日本でも胡椒餅を提供する店が増えており、専門店も登場しています。そこで今回は、胡椒餅の由来と、都内で胡椒餅を楽しめるお店を紹介します。
肉まん?それとも総菜パン?台湾小吃・胡椒餅とは何か
胡椒餅とは、小麦粉の生地で肉餡を包んだパンのような軽食のこと。具は胡椒をはじめ五香粉などのスパイスを混ぜた豚肉(または牛肉)と葱で、インドのナンを焼くときような窯に貼り付けて焼き上げます。
見た目はこぶし大のコロンとした形で、食べるとかなり胡椒がかなり効いているのも大きな特徴。胡椒特有のドライな辛さはクセになる味なので、刺激を求めている人にはぴったりのおやつですね。
ルーツは胡椒が効いていなかった!胡椒餅の歴史
今ではすっかり台湾名物となった胡椒餅ですが、そのルーツは中国福建省福州市の葱肉餅といわれています。事実、台北の胡椒餅の有名店の店名には「福州」と入っているものが多く見られ、台湾に渡った福州人が広めた名残が感じられます。
福州の葱肉餅と台湾の胡椒餅との大きな違いは胡椒の量。福州の葱肉餅は葱と肉が餡の主材料で、レシピを見てもたいした量の胡椒は入っていません。
また、台湾の胡椒餅が広まっている一方で、福州の葱肉餅は今では少なくなった懐かしの味になりつつあるようです。
福州出身で、国立で料理教室を主宰している小紅さんに話を聞くと「数十年前は比較的よく見かけたけれども、ここ数年は探さないと見かけない貴重なものになりつつある」とか。2019年に探して、道端で見つけることができた葱肉餅がこちらの画像です。
では、葱肉餅はなぜ胡椒餅になったのでしょうか。
台北に店を構える「福州元祖胡椒餅」を取り上げた動画サイト『愛爾達旅食生活誌』では、福州から台湾へ渡った初代は、葱肉餅と同じく葱と肉を餡にしていましたが、2代目は胡椒を加えたというエピソードが紹介されています。
また、当時台湾で作られた葱肉餅は福州餅と呼ばれていました。のちに胡椒がたっぷり加わるようになると、「福州(Hok-chiu)」と「胡椒(Hô͘-chio)」の台湾語の発音が似ていることから、「福州餅(Hok-chiu-piáⁿ)」から「胡椒餅(Hô͘-chio-piáⁿ)」へと呼び方が変化していったという話もありました。
店が独自に味を変え、他店も倣っていくうちに、それが台湾のスタンダードになっていったのは興味深いところです。そしていつしか、胡椒のインパクトが台湾の胡椒餅を際立つ存在に押し上げていったのではないでしょうか。
さて、そんな胡椒餅。嬉しいことに最近は日本各地に専門店が増えてきています。今回は都内にある美味しい胡椒餅の店を次のページで紹介します。
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