上野の湖南料理店で夜の食事の約束をしていた日のことです。
到着が約束の時間ギリギリになりそうだったのですが、ひと駅前の上野広小路駅で降りて、アメ横を通っていくことにしました。
なぜなら、見るたびにカオス度を増していく中国小吃のお店の進化っぷりを確認したかったから。
この日もそんな期待を裏切ることはなく、山手線のガード下のお店の、テントを張り出したその下の座席で食べているお客さんの麺料理に、目が釘付けとなってしまいました。
ドンブリの中の麺が、超幅広麺だったのです。
これは、このところ都内でも提供するお店がジワジワと増えてきているビャンビャン麺ではありませんか。
そこで、所狭しとお店に貼り出されているメニューを確認してみましたが、めちゃくちゃ画数の多い漢字のビャンは見つけられませんでした。
しかし、油泼手打面の日本語名には西安風とあり、牛肉手打面の麺をリフトした写真には幅広麺が写っているではありませんか。
その他の手打面の写真も、よく見ると全て幅広麺のようです。
西安の幅広麺=ビャンビャン麺に違いないと言うことで、翌日早速食べに行って確かめてみることに。
手打ちと書いてあるものの、ガード下の狭い厨房で本当に手打ちしているのか半信半疑だったので、注文時に「ここで手打ちしてるんですか?」と聞いてみると、「そう。ビャンビャン麺ね」と、いきなり欲しかった答えがもらえてしまいました。
それでもまだ、本当にホントかなと思いつつ出来上がるのを待っていると、お皿の返却口の前の席だったため、うまい具合に厨房をのぞくことができ、麺棒で生地を伸ばし、ちゃんとビャン!と打っているのが確認できました。
これはもうビャンビャン麺確定です。
注文したのは油泼手打面(西安風ペペロンチーノ手打ちラーメン)。
イタリア料理のペペロンチーノは、正式にはアーリオ・オリオ・ペペロンチーノ。
アーリオ=ニンニク、オリオ=油、ペペロンチーノ=唐辛子。
油泼面(ヨウポーミェン)は、粉唐辛子とおろしニンニクに熱した油をかけて仕上げる麺。
すなわち、油泼ビャンビャン麺とは、西安風ペペロンチーノ手打ち麺なのです。
価格が600円と言うのも激安でおなじみのアメ横らしい価格です。
ビャンビャン麺専門店の「西安麺荘 秦唐記」が、日曜日にツイッターフォロワー限定で油泼面500円というサービスをしていますが、通常価格として600円というのは、国内ビャンビャン麺の最安値なのでは?
麺のほうはモチモチというよりも、もはや薄い餅といったしっかりとした噛み応え。
幅の方もバラつきはあるものの、最大のところで4cmオーバーはあろうかという、国内標準を越えたワイドでワイルドな麺です。
辣粉たっぷりの見た目ほどは辛くなく、ニンニクや黒酢ダレと相まったピリ辛加減に、いい感じのジャンクフードっぽさがあり、クセになります。
そしてそれにさらに拍車をかけるのが、アメ横のガード下の露天というロケーション。
まるで中国の街角の店で食べているかのような雰囲気で、一層気持ちを盛り上げてくれます。
平成福順 アメ横店 住所: 東京都台東区上野6-10-7 アメ横プラザA11号 (地図) アクセス:JR 上野駅、御徒町駅/京成上野駅/地下鉄 上野広小路駅、上野御徒町駅、仲御徒町駅 電話:03-3834-8221 営業時間:10:00~20:00 |
【おまけ】
text & photo 小杉勉