台湾旅行で必ず食べたい! という方が多いのが、屋台で人気の蚵仔煎(中国語読み|クーザイジェン:kē zǎi jiān、台湾語読み|オアチェン:ô-á-chian)。

蚵仔煎とは、台湾式の牡蠣入りたまご焼きのこと。小粒の牡蠣を鉄板などでジューッと炒め、粉漿(生地)をたらし、たまごや小白菜を加えて焼き上げたら、熱々のところに甘辛いタレをとろり。

ぷりぷりの牡蠣、もちもちの生地、とろりとしたタレが三位一体となった味わいは台湾らしさ満点! 日本では牡蠣オムレツと訳される場合が多いのですが、オムレツというよりは牡蠣入りお好み焼きに近いものといえますね。

中国南方沿岸部から台湾へ。特徴はぷるぷる生地と甘辛タレにあり!

そんな蚵仔煎のルーツは、福建省食べられている海蛎煎(ハイリージェン:hǎilìjiān)や、広東省潮仙地区(潮州・汕頭)でたべられている蠔烙(蚝烙:ハオラオ:háolào)にあるといわれています。

香港の潮州料理店で食べた「仙頭蠔烙」。2020年撮影。

これらは大陸から台湾に渡って蚵仔煎として定着。ですが、台湾では中国語ではなく、台湾語でオアチェン(ô-á-chian)と呼ぶのが一般的です。

台北・寧夏夜市の「圓環邊蚵仔煎」。大きな鉄板で蚵仔煎を焼き上げます。photo by Yuka
台北・士林夜市の蚵仔煎。
台北・寧夏夜市の「圓環邊蚵仔煎」外観。

なかでも台湾らしさの決め手は粉漿(生地)とタレ。蚵仔煎は、口にするともっちりとして、ビヨ~ンとのびるような質感がありますが、これは粉漿(生地)に地瓜粉(さつまいもデンプン)を使うことで生まれます。

地瓜粉は、加熱するとプルンとして、油で煎り焼いた部分はカリッとした歯ごたえに仕上がるのが特徴。しかし、粉と水をバランスよく配合するのは素人にはなかなか難しく、私も何度も蚵仔煎づくりに挑戦していますが、味はよくても、納得のいく食感にはたまにしか出会えません。

台湾料理教室で作った蚵仔煎。加熱して半透明になる生地が特徴です。

そしてもうひとつの特徴が、甘辛いタレです。味わいは店によって異なりますが、海山醤や醤油膏などをベースに作ることが多いよう。

タレの複雑な奥行きのある味わいは、蚵仔煎を引き立てる名脇役であり、味わいを決める陰なる主役といえるでしょう。

台北・士林夜市の「忠誠號蚵仔煎」の蚵仔煎(写真左下)。

次のページでは、そんな蚵仔煎が食べられる、都内および都内近郊でおすすめの店をご紹介します!

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