台湾の西南部に位置する高雄は、日本から直行便もある南国都市。漁港隣接の海鮮料理店や、市場に溢れんばかりのトロピカルフルーツなど、生命力あふれる食材の宝庫でもあります。そこで80C(ハオチー)では、今の高雄の魅力を紹介。題して「高雄でもぐもぐ」! |
台湾土産の定番といえば、パイナップルケーキに代表される漢餅(中華菓子)。日本に出店しているメーカーもありますし、これまで何度も買った、何度もいただいた!という方も少なくないでしょう。
そこで、次に台湾に行くなら、ぜひおすすめしたいのが現地で手づくり。オーブンから出したばかりの甘い香りにうっとりしながら、自分で作った焼きたての中華菓子を頬張る…!
そんな夢を実現するため、高雄の舊振漢餅文化館を訪れてみました。
中華菓子の殿堂!老舗メーカーが立ち上げた中華菓子文化センター
ところで舊振(ジゥヂェン)でピンと来た方はなかなかの台湾通。そう、ここは高雄を代表する中華菓子の老舗「舊振南餅店(ジウヂェンナンビンディェン)」が設立した、中華菓子の文化発信拠点。
舊振(ジゥヂェン)は高級感のあるパッケージで、結婚式の引き菓子などにも人気のメーカー。直営店は5つあり、台北の桃園国際空港でも買うことができます(2018年6月現在)。
そんな同社が設立した舊振漢餅文化館では、パイナップルケーキ(鳳梨酥)や、緑豆餡入りの台湾式月餅(緑豆椪)を、同社の点心師から直接教わることができる場所。
2016年にできた建物ということもあり、最新の厨房設備で、快適に中華菓子が作れます。
有名店の味を手軽に再現!緑豆椪(リュドウポン)制作体験
この日教わったのは緑豆椪(リュドウポン)。夏らしく、身体の熱をとる作用がある緑豆の餡をパイ生地で包み、大福くらいの大きさにぷっくりと焼き上げます。
ちなみに緑豆椪の椪(ポン)は、丸く膨らむ形から、もともと凸(トゥ)という漢字を当てていたのですが、やや発音しにくい&聞き取りにくいことから、椪(ポン)に変わっていったのだそう。
体験教室で使う材料は1人4個分で計量済。材料はあらかじめ個々に分けてあり、エプロンなどもすべて完備。手ぶらで参加できるのは旅行者にありがたいですね。
緑豆椪作りのポイントは、パイ生地づくりと成型の2つ。パイ生地は、中力粉×バター×糖水で作る「油皮(ヨウピー)」と、薄力粉×バター×サラダ油で作る「油酥(ヨウスー)」という、2種類の生地を合わせて作ります。
生地は洋菓子のパイを作ったことがある方なら難しくありません。そう、バターを切るようにさっくり混ぜるのがポイントです。もちろん、まったく作ったことがない方もご安心を。不安そうな表情で先生を見つめると、サポートしてくださいますよ!
また、成型は作り手の個性が出やすいところ。生地にあらかじめ用意された緑豆餡をのせ、右手の親指と人差し指を小刻みに動かし、左手で底を押すようにしていくとあら不思議!生地の中に餡が埋没します。
このプロセスは芝麻湯円(胡麻餡入り白玉団子)を作るのと同じ要領。生地の厚みが均等にならないと、焼き上がった時に餡が中から出てきてしまうので注意します。
成型したら、仕上げのお楽しみが食紅スタンプ。「幸福」「吉祥」「如意」「喜悦」など、おめでたい言葉のほかに、絵柄も充実。
待望の焼き上がり!甘い香りに顔がゆるむ瞬間
天板に並べてオーブンに入れたら、焼き上がりまで厨房をガラス越しに臨むロビーでひと休み。この日は大人数だったこともあり、いろいろな中華菓子の試食タイムもありました。気に入ったものがあれば、隣の建物で購入できます。
そして35分後、甘やかな香りとともに登場したのは、ぷっくり丸い緑豆椪!緑豆椪にはあらかじめ席の番号を振ってから焼くので、自作のものがちゃんとわかりますよ。
口にすると、甘さ控えめの餡は、緑豆の風味を軽やかに生かし、ほのかにバターの香りがふわり。
噛めばホロリと崩れるパイの食感が心地よく、ひと口、またひと口といざなわれます。これが自分が作った中華菓子だと思うと、喜びもひとしお!
持ち帰り用に箱も用意されますが、日本まで持ち帰るなら、あらかじめコンテナタイプのジップロック等を持っていくか、街中の商店で容器を購入するのがおすすめ。
ちなみに私は街中で容器を購入し、割れ防止のためにティッシュペーパーを詰め、手荷物にして帰国しました。無事、崩さずに持ち帰れましたよ。
なお、こちらの施設ではパイナップルケーキや緑豆椪、胡麻入りの月餅など、伝統的な中国菓子づくりが体験できるだけでなく、台湾伝統の婚礼菓子づくりにチャレンジすることもできます。
取材に行った6月は、毎週土曜日に体験教室を開催。ほかにも季節の月餅や、親子で楽しめる教室など、さまざまなプランが用意されています。高雄旅行の際にぜひ体験してみては。
舊振漢餅文化館(JZN Cooking Lab)住所:高雄市大寮區捷西路298號 体験教室 |
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台湾を代表する芸術文化センター「衛武営国家芸術文化センター」が10月に誕生!
2018年10月13日、台湾政府の肝入りで、衛武営国家芸術文化センター(衛武営国家芸術文化中心/National Kaohsiung Center for the Arts-Weiwuying)が高雄市にオープンします。
こちらは台湾南部のパフォーミングアーツの拠点として、国内外から注目を集めつつある芸術文化センター。オープンから年末までに170アーティスト、70プログラムを企画しており、現在オープンから約3カ月分の公演がブッキングされているそう。
印象的なのは、屋外と屋内をゆるやかに繋いでいるガジュマル広場(写真上)。ここでは、ヨガや親子のための音楽体験など、無料で参加できるイベントが満載。外国人でも申し込みをすれば、イベントが開催できるそうです。
また、有機的なフォルムの建物の中には、2つのコンサートホール、オペラハウス、劇場の4つの施設があり、いずれも音響や椅子、冷暖房など、あらゆる設備で世界レベルを追求。
この施設の誕生で、台湾には台北の「国家両庁院」、台中の「台中国立歌劇院(台中ナショナルシアター)」、高雄の「衛武営国家芸術文化センター」と、3つの施設が揃います。最新の公演情報は、同施設のオフィシャルサイトをチェックしてくださいね。
住所:高雄市鳳山區三多一路1號
TEL:886-7-262-6666(国番号886)
※当記事は高雄市のアートプレスツアー参加による取材記事です。
text & photo 佐藤貴子(サトタカ)
取材協力:舊振漢餅文化館、衛武營國家藝術文化中心