ファイクワンの全貌と謎の雲南鍋を紹介する<前編>はこちらからご覧ください。

「飯米粒」と書いて「ファミリア」と読む!日本でもタイでもレアな江西省の養生スープとは?

続いて訪れたのは、ちょっと珍しい江西省名物の瓦罐湯(ウァグァンウェイタン/瓦罐煨汤)が食べられる「飯米粒(ファミリア)」です。

飯米粒(ファミリア)は当て字ですね。店頭に置かれている大きな瓦罐が目印です。

瓦罐湯とは、純水(不純物をほとんど含まない水)と具を入れた容器を大きな甕の中に入れ、木炭の熱で8時間以上加熱して作られる薬膳スープのこと。具の組み合わせによって、抽出される風味や効能は変わります。

素材のエキスがぎゅぎゅっ!江西省伝統の養生スープ

メニューを見ると、スペアリブを使ったスープは15種類、生薬を用いた滋養スープは10種類、肉餅(肉団子のようなもの)を入れたスープは5種類で、全30種類!スープ名の右側に、それぞれの効能と価格が記されています。

左側で料理の由来を紹介。右側はスペアリブ(排骨)を使ったスープのバリエーション。なんと15種類!
左が滋養目的のスープ、右側が肉だんごのようなものを入れたスープ。店のwechat(微信)、QQアカウントもあります。まさに中国!

しかし、この日用意されていたのはこのうちの5~6種類。私は普段からむくみがちで、若干貧血気味のなところもあるので、補血健腎(血を補って腎臓をすこやかに保つ)効果が期待できる、香菇土鸡汤(香菇土鶏湯:椎茸と地鶏のスープ)にしてみました。

瓦罐(甕:カメ)の中はこんな感じ。
鸡(鶏)と蓋に書いてあります。香菇土鸡汤(120バーツ)

蓋を開けてみると、スープの具は鶏肉、椎茸、棗(なつめ)。水と具しか入ってないはずなのですが、全ての素材の風味がしっかりと抽出されています。口に含めば、あっさりしているのに滋味深く、シンプルなのに物足りなさがない。これはかなりおすすめです。

具は鶏肉、椎茸、棗。

四川や雲南の家常菜も充実。しかし当たりはずれアリ

メニューを見ると、看板メニューの瓦罐湯(ウァグァンウェイタン)以外は、四川省や雲南省の家常菜(家庭料理)が多い印象。今回はその中から、酸辣土豆(スゥァンラートゥドウ:酸っぱくて辛いじゃがいもの炒め物)と紅焼肉(ホンシャオロウ:皮付き豚ばら肉の醤油風味煮込み)をオーダーしてみました。

酸辣土豆(120バーツ:写真手前)と紅焼肉(180バーツ)

酸っぱ辛く炒めたシャキシャキのじゃがいもは、中国の食堂でよく見る料理で私のお気に入り。これはまさに中国の味そのもの!

一方、紅焼肉は大きな角煮状の肉かと思いきや、小さくカットされたの肉が白菜の煮込みに入っており、メニューの写真とも自分の想像ともギャップ大でした。

お店の方にはあまりお話を聞けませんでしたが、オーナーはタイ人の方。店の従業員は、彼ら同士も、私にも中国語で話していたので、恐らく中国本土の方でしょう。結論としては、看板メニューが大当たり。日本でもタイでもなかなかお目にかかれない、瓦罐湯(ウァグァンウェイタン)は試す価値ありですよ!

飯米粒(ファミリア)
MRT Huay Kuang駅 1番出口より徒歩約5分
営業時間 11:00~23:00
不定休
※今回注文したのは二菜一湯(酸辣土豆、紅焼肉、瓦罐湯:香菇土鶏湯)、白米2人分で460バーツ(約1,536円)でした。

 

バンコクでガチ四川!店内100%中国人の真蜀味火鍋(ヂェンシュウェイフゥオグゥオ)

最後にご紹介するのは、四川料理の代表格・麻辣火鍋の専門店。麻辣火鍋を出す店は他にも何軒かあったのですが、こちらは断トツでお客さんが入っている繁盛店です。ネットでの口コミ評価も非常に高いにも関わらず、日本人のブログ等では全く取り上げられていない…。これは狙い目ですよね。

さっそく着席すると、注文表が渡されます。枠に必要な個数を記入すればよいのですが、ここは写真付きのメニューがないので、若干ハードルが高いかもしれません。でも、日本人は漢字が読めますし、なんとなく雰囲気でわかるものが多いはず。

注文票。麻辣火鍋に欠かせない毛肚(センマイ)や猪脳花(豚の脳みそ)等もあります。

私は今回、鍋のスープに鴛鴦鍋(おしどりなべ:辛くない清湯と、辛くて痺れる麻辣の二色鍋)をチョイスしました(注文票左上)。さっそく到着した鍋の中を見てみると…

鴛鴦鍋。左が清湯、右が麻辣。

なんと麻辣味は、本場四川省と同じ牛脂がベース!さすが「正宗(本物)」と謳っているだけありますね。

火鍋の具。

具は五花肉(豚バラ肉)、平菇(ひらたけ)、蔬菜拼盘(野菜の盛り合わせ)、鵪鶉蛋(うずらの卵)、香菜肉丸(香菜入り肉だんご)をオーダー。牛脂が溶けてスープが沸くまで少々時間がかかるため、サイドディッシュを注文し、つまみながら待つのもおすすめです。

自助油碟(セルフサービスのタレコーナー)。成都の麻辣火鍋タレの定番、オイスターソースもあります。

お好みで、セルフサービスで作る火鍋のつけだれ(自助油碟)も。こちらは人数毎に30バーツ(約99円)かかります。火鍋の楽しみ方も、中国語で書いてありました。

センマイ、鴨の腸、肉団子、麻辣牛肉、幅広の春雨がおすすめの具。鴨の腸は8秒、センマイは10秒程度が加熱時間の目安とか。まず肉や内臓の後に野菜を入れるのがお決まりです。

ひと口食べれば心は成都…!おすすめの具は鴨腸

さて、肝心のお味ですが、これが見た目通り期待を裏切らないホンモノの麻辣火鍋。一瞬成都にワープしちゃったかと錯覚するくらい、とことん四川の味なのです。

当初はあまりおなかが空いていなかったので、具は控えめに注文したものの、食べ始めるとおいしくて、店おすすめの鴨腸(鴨の腸)と寛粉(幅広春雨)を追加。

手前が鴨腸で奥が寛粉。鴨腸はコリコリ、寛粉はモチモチ!

鴨腸は8秒しゃぶしゃぶするだけ。いつもは内蔵系を敬遠しがちなのですが、これは全く臭みがなく、食感もよく、注文して大正解!

また、清湯(チンタン)は、いろいろな具から旨みが出て、最後にとってもおいしいスープになりました。麻辣スープでカッカした口の中を清湯スープで整えて、あ~幸せ。

余裕があったら、〆に卵炒飯を食べたかったのですが(四川の火鍋の〆は、卵炒飯が定番なのだそうです)、ちょうどお腹いっぱいになったのでこれにて終了。

店は19時過ぎごろがピークのよう。

店内を見渡すと、入店した18時過ぎは先客がいなかったのに、いつの間にか満席に。みんなお財布とスマホを持ってぶらりと入って来た感じだったので、きっと近所にお住まいの中国人の方たちですね。

ここは私たち以外、店員さんもお客さんも全員が中国人。ですが、取材の狙い通りバンコクにいながらにして西川口のニューチャイナタウン気分を味わえ、思わずほくそ笑んでしまったのでした。

真蜀味火鍋(ヂェンシュウェイフゥオグゥオ)
MRT Huay Kuang駅1番出口から徒歩約6分。※雲南石鍋魚のすぐ近くです。
営業時間 11:00~22:30
不定休
※今回注文したのは鴛鴦鍋の鍋底、7種の具材、タレ(2人分)、水、氷で765バーツ(約2,547円)でした。

 

ドアを開ければそこは中国大陸だった!

こうしてファイクワンの中国料理店を訪ねて3日間歩いてみたわけですが、東京・池袋のように店が密集した繁華街というよりは、中国人の暮らしの息吹が感じられる西川口に近い印象を受けました。

メインストリートを歩くと、中華系の店が密集というより点在しているため、一見、中華街化していないようにも感じます。しかし、中国料理店の扉を開ければ「どこでもドア」で中国に来てしまったかと錯覚するくらい、店の雰囲気、味などすべてが中国そのもの。タイの香りはそこにありません。

また、現地在住の中国人向けに営業しているところがほとんどなので、繁華街にあるような有名中華料理店と比べると、だいぶリーズナブルな価格設定なのもうれしいところ。

5年後、10年後、さらに中国人がこの街に集まれば、提供される食のバリエーションも増えていくはず。きっとこれからもビジネスチャンスを求めてやって来る中国人の手によって、ファイクアンは拡大し続けていくのでしょう。

ちなみにファイクワンの近くには、インスタ映えスポットとして人気があるラチャダーの巨大夜市・トレインナイトマーケットがあり、現地在住中国人のみならず、観光客からも注目されるエリアにもなりつつあります。バンコクを訪れた際は、新中華街とセットで立ち寄ってみてはいかがでしょう。

ラチャダーのトレインナイトマーケット。

以上バンコク・ファイクワンから、80C(ハオチー)特派員マサラがお伝えしました!


text & photo マサラ

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