コーラといえば「コカ・コーラ?それともペプシ?」。そんな時代が長く続いたが、ここ数年は国産のクラフトコーラ市場が活況だ。
ハーブや複数のスパイスを配合して生まれる複雑な味わいは、飲み始めるとクセになり、作り手によって異なる個性も楽しい。
ところ変わって中国だが、大陸ではずいぶん前から中国産の可乐(コーラ)が複数存在しており、主にご当地飲料として根付いてきた。※以下、可乐はコーラと記載。

こうした中国ご当地コーラは草本配方、すなわち漢方薬に使われるようなハーブをブレンドして風味付けしているものが多く見られる。
例えば、重慶市が誇る「天府コーラ」は、1980年代に四川省中药研究所の協力を経て誕生したローカルコーラだ。特筆すべきは、白芍(びゃくしゃく:芍薬)を中心とした植物性原料が入っていること。白芍は滋養補血の効果が期待され、漢方薬にもよく処方されている。

また、同じく80年代に河南省で生まれた「銀梅コーラ」は、蜂蜜、酸梅湯にも配合される烏梅(うばい)、スープに重宝する金銀花などがブレンドされている。筆者は飲んだことはないが、青梅を燻製した烏梅の風味が効いているという。
青島はビールだけではなかった!火鍋や漢方薬に通じる崂山(ラオシャン)コーラの原材料

そんな中国ご当地コーラのなかでも、コーラのルーツに通じる“医食同源的な発想”を感じるのが山東省青島市の崂山コーラ(崂山可乐|嶗山可楽)だ。
その理由は、原材料にある。
ボトル裏側の表示をみると、濃縮した棗(なつめ)の汁、水出しコーヒー、白芷、砂仁、高良姜、丁香と、火鍋や漢方薬などにも使われる食材がずらり。
棗は料理やおやつなどに加工されるのでご存じの方も多いと思うが、気血を補い、胃腸を養うほか、緊張の緩和、滋養強壮効果が期待される。
また、白芷(びゃくし)はセリ科で芳香性、頭痛に用いる代表的な生薬。砂仁(しゃにん)は縮砂とも呼ばれ、ショウガ科で辛味があり、健胃整腸作用がある。
高良姜もまたショウガ科で、胃を温め、気血の巡りをよくするもの。丁香は西洋料理でも用いられるクローブのことで、こちらも健胃作用が期待できるものだ。
そもそもコーラは19世紀末、医師不足のアメリカで自然療法が広まり、薬剤師が開発した経緯がある。おなじみのコカ・コーラは頭痛薬を作る過程で生まれ、ペプシコーラは消化不良の治療薬として生まれた。
崂山コーラの風味付けもまた、芳香性の健胃作用のある材料が中心に配合されている。果糖ぶどう糖液糖などが含まれているので甘さはしっかりしているが、かすかに棗を感じる風味は個性そのもの。クラフトコーラとまではいかないが、ご当地コーラとしての魅力がある。

汗がしみ込んだゴザの味。中国で最も飲みにくい飲料と噂される「崂山白花蛇草水」
そしてもうひとつ、青島のご当地飲料といえば、1960年代から作られているハーブ入り炭酸水、崂山白花蛇草水(ラオシャンバイファーシュエツァオシュイ)も見逃せない。

実はこちら、中国のSNS等で“中国で最も飲みにくい飲料”、端的にいうと最もまずいドリンクとして評判の1本だ。
なんだか身体によさそうな名前の正体は、アカネ科のフタバムグラ(Hedyotis diffusa Willd.)。大陸のみならず、台湾、日本、朝鮮半島、熱帯アジアに分布し、道端、湿地に生えている草で、中医学では清熱解毒、利湿通淋(水分の代謝をよくして尿の出を良くする)、消癰(できものをなくす)といった効能が認められている。

こちらは煎じた漢方薬のような茶色のドリンクではなく、エキスを抽出して炭酸水を加えたもの。見た目からまったく味が推測できなかったが、飲んでみると、乾いたイグサのような独特の青臭さと、ほんの少しの苦みがある。
実はこの味わい、中国では「汗水浸过的草席(汗がしみ込んだゴザ)」の味などと評されている。しかし、前述の健康効果に加えて無糖でゼロカロリー、さらに炭酸水なのでしゅわっと爽やか。他のドリンクともブレンドしやすいという長所がある。
試しに、先ほどの崂山コーラに崂山白花蛇草水を合わせてみると、コーラも白花蛇草水も格段に飲みやすくなったのには驚いた。崂山白花蛇草水が入ることで、コーラの甘さが引き締まり、ほろ苦さが加わった大人の風味に変化するのだ。
また、崂山白花蛇草水とコールドブリューのコーヒーを合わせるという飲み方もあるらしい。たしかに、この飲み方も白花蛇草の苦みや草の香りがコーヒーと調和しそうだ。

中国の清涼飲料水というと甘さのしっかりしたドリンクが多いが、甘くない崂山白花蛇草水は、日本の中国料理店でも物珍しさから意外とニーズがあるような気がしている。
今のところ日本には輸入されていないようなので、青島を訪れることがあれば、青島ビールと合わせてぜひ体験していただきたい。
TEXT&PHOTO サトタカ(佐藤貴子)








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