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これを読めば中国各地の食文化がわかり、中国の地理に強くなる!『中国全省食巡り』は、中国の食の魅力を毎月伝える連載です。
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タコ焼き型の海のゼリー!土筍凍(トゥスンドン/土笋冻/海のゼリー)

好き好き好き好き好きっ好き 土筍凍(トゥ スン ドン)♪…と、この小吃のことを考えたら頭の中で「一休さん」のテーマが流れてきたくらい、僕は土筍凍が好きだ。アモイと言えば、土筍凍。土筍凍なくして、アモイなし。土筍凍、万歳!土筍凍よ、永遠なれ!

のっけから変なテンションになってしまったが、僕だけの好みでは決してなく、土筍凍はアモイや泉州市で広く親しまれている小吃だ。

普通のレストランでも食べられるが、やはり専門店で食べるべきもので、人気店ともなればアモイ人が引きも切らずにやってくる。若いカップル、近所のおばちゃん、肉体労働者風の男性、学校帰りの学生、孫を連れた老婆など客層は幅広く、高級車で店の前にバーンと乗り付けて、100個、200個とテイクアウトしていく客までいる。

海鮮レストランでも食べられるが、やはり専門店の土筍凍は格別。

ひと言でいうなら、煮凝りだ。作り方は単純で、このあたりの海で採れる土筍(トゥスン)という海鮮を刻んで煮て、冷ますだけ。冷めるにつれてゼラチン質たっぷりの煮汁が固まり、半透明の土筍凍(土筍ゼリー)が出来上がる。下の写真のように、一口サイズのドーム状に成型したものが一般的だ。

これが土筍凍。透けている白くて細長いのが土筍(トゥスン)だ。

海の香りがギュギュッと凝縮されたプルプルのゼリーは、驚くほど上品な旨味。醤油などの調味料が入らない分、日本の煮凝りより更にあっさりした味わいだ。そして、ゼリーの中にたっぷり入った土筍のぶつ切りがこれまた旨い。その歯応えは、ムチムチのブリンブリン。噛めば噛むほど、甘味が口の中全体に行き渡っていく。

そのまま食べても美味しい土筍凍を更に美味しくするのがトッピングだ。芥末醤(マスタード)、甜辣醤(スイートチリソース)、香菜、大根の甘酢漬けなどを好みでぶっかけて食べるのである。

こんなの余計じゃないの?と最初は思ったものだが、トッピングの香り・辛味・酸味が上手い具合に土筍凍を引き立てる。それはつまり、こういうクセの強いトッピングを自由に暴れさせてもビクともしない旨味が、土筍凍には備わっているということでもある。

このトッピングを考え出した人は、天才だと思う。

店によってはサイズを選べるところもあるが、僕のオススメは小サイズだ。ひと口で食べられるので、みっしり詰まった土筍の食感を最も楽しめるように思う。

大きいのがよければ、土筍湯(トゥスンタン)を試すといい。「湯」と言うからには土筍のスープかと思いきや、さにあらず。スープを取り分けるような碗に土筍凍が詰まっているのだ。言わば、土筍凍キングスライムバージョン。僕が試した店ではトッピングが刻みにんにく醤油に変わり、一味違った風味が楽しめた。

キングスライム・土筍湯。

土筍とは何か?

さて、そろそろ皆さんの頭の中では「そもそも土筍って何なんだよ!」という疑問が渦巻いているのではないだろうか。

お答えしよう。その正体はサメハダホシムシ。土筍は俗称で、中国語の学名は可口革囊星虫。海底の砂地に棲む大きなミミズみたいな生物で、星口動物というそうだ。見た目に興味がある方は、「サメハダホシムシ」で画像検索して欲しい。

「うげー、なんじゃそりゃ」と思った人にこそ、是非ともオススメしたい。生きているときの姿が美しいとは言わないが、土筍凍になれば原型は止めていないし、いざ食べればその旨さはプリプリブリンのツーン!絶対に後悔しない美味しさだからだ。

土筍凍の断面。土筍がぎっしり詰まっているからこそ、強い弾力が生まれる。
抵抗がある人は、貝の一種だと思って食べればいいのではないだろうか。

人のみならず、食材だって見た目で判断してはいけない。ミミズのような土筍にこんなにも上品で綺麗な味が潜んでいるなんて、実際に食べてみねばわからぬことだ。一度こういう美味に出会うと、未知の食材を見て「気持ち悪い」とは思わなくなる。むしろ、こんな見た目なのに食べられているということは絶対に旨いのだろうなと、却って食指がビクビクと動くようになるものだ。

遥か昔、最初にサメハダホシムシを食べた人は結構な勇気の持ち主だと思う。それに比べて、現代人の僕らは既に安全で美味しいと評価されているものを食べるだけなのだから、目の前にあるハードルは足首より低いはずだ。そんなハードルは軽々と飛び越えて、この美味を楽しもう。

僕なんて、行くたびに毎回お代わりしてしまう。

最後にもう一度。アモイと言えば、土筍凍(トゥスンドン)。土筍凍なくして、アモイなし。土筍凍、万歳!土筍凍よ、永遠なれ!!

≫次回予告:新疆ウイグル自治区トルファン市で食べるべき料理3選(10月20日更新予定)

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